◇ 忍び寄る世界貿易不況の影 = FRBが強調するように、たしかにアメリカの景気は好調を持続している。たとえば5月の失業率は3.8%で、18年ぶりの低さ。小売り売上高は前月比で0.8%増と、予想をはるかに上回った。消費者物価も前年比2.8%上昇している。これならFRBが利上げを速めるのも当然と言えるだろう。だが、そこへ立ちふさがったのがトランプ主導の貿易戦争だ。その悪影響が大きくなれば、利上げは難しくなる可能性がある。
それだけではない。大半の新興国が、アメリカの利上げによる資金の流出と貿易戦争のダブル・パンチに苦しみ始めた。自国の通貨を防衛するため、アルゼンチンやブラジル、インドネシアやフィリピンなど多くの国が利上げを余儀なくされた。利上げは景気の悪化を招き、貿易戦争は輸出を阻害する。それが時間とともに世界に拡散して行く。
そうした環境のなかで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が「量的緩和政策を年内で打ち切る」と発表した。ECBは15年1月から量的緩和を開始、現在でも国債などを月300億ユーロ買い入れている。それを年内で取り止めるというわけだ。アメリカの引き締め促進に刺激された感じもあるが、世界経済の動向しだいでは実現できない可能性もあるのではないか。
アメリカやヨーロッパの中央銀行が、金融政策の方向を緩和から引き締めに転換しようとしているのは、次の世界同時不況に備えるためでもある。この観点からすると、日本の場合は全く身動きがとれないまま。したがって不況がやってきても、財政面からも金融面からも対策を講ずる余地がない。世界貿易不況の影が見え始めただけに、とても心配である。
≪22日の日経平均 = 下げ -176.21円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
それだけではない。大半の新興国が、アメリカの利上げによる資金の流出と貿易戦争のダブル・パンチに苦しみ始めた。自国の通貨を防衛するため、アルゼンチンやブラジル、インドネシアやフィリピンなど多くの国が利上げを余儀なくされた。利上げは景気の悪化を招き、貿易戦争は輸出を阻害する。それが時間とともに世界に拡散して行く。
そうした環境のなかで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が「量的緩和政策を年内で打ち切る」と発表した。ECBは15年1月から量的緩和を開始、現在でも国債などを月300億ユーロ買い入れている。それを年内で取り止めるというわけだ。アメリカの引き締め促進に刺激された感じもあるが、世界経済の動向しだいでは実現できない可能性もあるのではないか。
アメリカやヨーロッパの中央銀行が、金融政策の方向を緩和から引き締めに転換しようとしているのは、次の世界同時不況に備えるためでもある。この観点からすると、日本の場合は全く身動きがとれないまま。したがって不況がやってきても、財政面からも金融面からも対策を講ずる余地がない。世界貿易不況の影が見え始めただけに、とても心配である。
≪22日の日経平均 = 下げ -176.21円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】