経済なんでも研究会

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史上最大の 減産協定 : 主要産油国 (上)

2020-04-16 08:02:40 | エネルギー
◇ トランプ大統領の大手柄か = サウジアラビアを盟主とするOPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアやメキシコなど非加盟の産油国が12日、史上最大の減産を実施することで合意した。当面5-6月は日量970万バレルを減産する。この減産量は、世界生産量の1割に当たる大きさ。コロナ肺炎の流行で石油に対する需要が激減、大幅に下がった国際価格のテコ入れが目的だ。

OPECとロシアなどの主要産油国は、国際価格の上昇を狙って3月にも協議を重ねていた。しかし、このときはサウジアラビアとロシアの意見が対立して会議は決裂。たとえばニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は、18年ぶりに1バレル=20ドル近辺にまで低落した。そのとき産油国が目標とした減産量は、日量150万バレル。今回の減産計画がいかに大きいかが判るだろう。

こうした状況をみて、仲介役を買って出たのがトランプ大統領である。アメリカはシェールの開発で世界最大の産油国となったが、市況の低迷で業者は四苦八苦。油田が多いテキサス州やフロリダ州はトランプ大統領の票田でもあるので、減産協定の成立に奔走した。結果として成功したわけだが、アメリカの油田は民営だという理由で減産協定には加わっていない。にもかかわらずメキシコの減産分30万バレルを肩代わりするとも伝えられており、真相はやぶのなかだ。

ところが世紀の大減産計画が発表されても、原油の国際価格は上がらない。今週初めのWTI価格も22ドル台にとどまっている。これはコロナ不況による石油の需要減少が、日量2000万バレルから3000万バレルにも達すると推定されているからだ。しかし主要産油国は財政収入が減ってしまうから、これ以上の減産は不可能。当分は970万バレル減産のまま、コロナ肺炎の終息を待つことになるだろう。

                                  (続きは明日)

       ≪15日の日経平均 = 下げ -88.72円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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