経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2018-12-25 08:14:45 | 株価
◇ 本降りになった株式市場 = 株価の下降局面入りが鮮明になった。ダウ平均は先週1655ドルの値下がり。日経平均も1209円の下落だった。日米ともに、12月は3週連続の下げである。年初と比較してみると、ダウ平均は2274ドル、日経平均は2599円の値下がり。日経平均は過去6年にわたって上昇してきたが、どうやらことしはその記録が途切れそうだ。

FRBは先週19日、予定通り政策金利を引き上げた。ニューヨーク市場では、この利上げが株安のきっかけになったと報じられている。だが12月の利上げは、広く市場に浸透していた。それよりも市場は、FRBが来年から引き締めのテンポを落とすことに強く反応したのではないか。つまり景気の先行きに対する警戒感を深めたために、株を売ったのだろう。

東京市場でも、海外投資家の売りが激しくなってきている。しかも、ここへきて円相場が上昇に動き始めた。市場では、円の動向にきわめて神経質になっている。同時に下値の抵抗線を探る動きが活発に。だが初めに出た「2万1000円」はすぐに吹っ飛び、いまは「1万9000円」という声さえ聞かれるようになっている。

今週は25日に、11月の企業向けサービス価格。27日に、11月の住宅着工戸数。28日に、11月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計。アメリカでは27日に、10月のFHFA住宅価格、11月の新築住宅販売、12月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、11月の中古住宅販売が発表される。なお30日に、アメリカを除く11か国のTPP(環太平洋経済連携協定)が発効する。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-12-23 09:12:18 | SF
2018-12-23-Sun CATEGORY: 政治・経済


第7章 終 局

≪64≫ 2100年 = 地球は22世紀を迎えた。早いもので、ぼくが地球に帰還してから、もう39年の歳月が流れたことになる。マーヤのおかげもあって元気に暮らしているが、御年なんと80歳だ。それに気になることがある。

それは左胸のプレート。地球では着衣に隠れて見えないようになったが、裸になれば緑色の≪14≫という数字がくっきり。マーヤの黄色の数字は≪19≫だ。どうやらダーストン国の滞在期間と帰りの宇宙船に乗っていた年月が、ダーストン星の時間で計測されたらしい。ダーストンの1年は168日だから、通算すると6年ほど長くなってしまうわけだ。

このプレートの意味するところが地球上でも効力を発揮するとすれば、ぼくの寿命はあと14年ということになる。ダーストン星を訪れ、ロボットを妻に迎えるという数奇な運命を味わってきただけに、もう思い残すことはほとんどない。しかし“終活”については、そろそろ考えておかねばなるまい。

日本経済は見事に立ち直ったが、政治の世界は相変わらずドロドロしたままだ。カネ余りの恩恵を受けて一握りの大金持ちが誕生する一方で、大多数の国民は苦しい生活を強いられている。この貧富の差が、政治への不満となって現われる傾向は世界共通。だから誰が政権の座についても、長持ちはしない。

そんなとき、肝を冷やす事件が起こった。女性だけで結成した「女の党」が野党第1党に躍り出ると、余勢を駆って政権を獲るため新しい党首を探している。その有力候補に、なんと『二階堂摩耶』の名が挙がっていると、週刊誌が大々的に報じたのだ。

続いて「神の粉を発明して、日本経済を立て直した救世主」とか「摩耶さんが出馬すれば、衆院の過半数は間違いない」とか。さらには「次は摩耶総理。男性の期待も大きい」などという記事も飛び出した。

これは困ったことになった。そんなことになれば、マーヤの生い立ちや学歴、家族関係などが徹底的に洗われるだろう。いったい、どう対処したらいいんだろう。さすがのマーヤも、最近は外出を控えるようになってしまった。

2人で考えあぐねていたとき、ぼくの心のなかには別の心配事が芽生えてきた。ぼくがあと14年後に死んだら、マーヤはひとりで生きて行かねばならない。この地球で、彼女はロボットであることをひた隠しに隠して生きて行かねばならないのだ。そのことも考えてやらねば、ぼくは安心して死ねない。

そして突然のひらめき。決断したら、早く実行しなければならない。

                          (続きは来週日曜日)   

政府経済見通しを 採点する

2018-12-22 08:46:14 | 景気
◇ 来年度は1.3%成長を見込む = 政府は18日の閣議で、19年度の経済見通しを了承した。それによると、実質GDP成長率は1.3%。名目GDPは566兆1000億円に達し、成長率は2.4%と予想している。また消費者物価は1.1%上昇すると想定した。個別の項目では個人消費が1.2%の増加、住宅投資は1.3%増加などとなっている。消費増税対策や防災のためのインフラ投資などが、景気を下支えすると判断した。

政府の経済見通しは、往々にして大きめに出がちだといわれる。というのも税収は名目成長率に比例するから、予算を組みやすくするため成長率を大きめに設定する傾向が強い。じっさい民間の調査機関は、来年の実質成長率を1%未満と予測しているところが多い。たとえば一例として、ちょうど1年前に政府が設定した18年度の経済見通しを採点してみよう。

18年度の実質成長率は1.8%、名目成長率は2.5%。物価は1.4%上昇というのが、政府の見通しだった。ところが現時点で政府が見込んでいる数値は、成長率が実質も名目も0.9%に過ぎない。物価も1.0%の上昇にとどまると推定されている。もちろん米中貿易戦争など不測の事態が発生したから仕方がないが、数値だけからみれば合格点は付けにくい。

政府が自ら作成した経済見通しの実現に失敗したことは、政府・与党の“失点”だとも言えないことはない。にもかかわらず、最近の政府は「なぜ失敗したか」の検証もしていない。もし「あまりにも激動する世界情勢のなかで、正確な見通しを立てることは困難だ」と言うのなら、そもそも経済見通しなど作る意味がない。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -226.39円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

形勢逆転した イタリア vs. EU

2018-12-21 08:06:30 | EU
◇ 国民投票までちらつかす = つい1か月前までは、出来の悪い生徒とその生徒を叱咤する厳格な教師の関係だった。イタリアのコンテ首相はEUに提出した19年予算案を差し戻され、さらに修正した予算案も認可されず。EU側はイタリアの財政赤字がGDPの130%に膨らんでいる点を指摘、もっと予算規模を縮小しないと制裁を科すると脅していた。

その関係が一気に逆転した。原因は、フランスで起きたマクロン反対のデモ騒ぎである。燃料税引き上げに反対するデモは、マクロン大統領の辞任を求める全国運動に拡大。政府はこれを鎮めるために、燃料税引き上げは事実上の停止。さらに最低賃金の月額100ユーロ(約1万2800円)引き上げや、残業収入の無税化などの施策を打ち出す羽目に陥った。

この結果、フランスの19年予算はGDP比で3.2%の赤字に。EUが決めた3%以内の原則を超えてしまった。なにしろフランスは、ドイツとともにEUを支える大黒柱。EUとしては、そのフランスに制裁を科すわけにはいかない。するとフランスには目をつぶって、イタリアだけを怒るのもどうか。やむなくイタリアの予算案を承認することになった。

これでイタリアは、政府も国民も元気を取り戻した。閣僚のなかには「フランスと同等に扱え」と公言するものも出る始末。国民の間では「EUと戦うコンテ内閣」を支持する空気が強まった。マスコミのなかには「いま国民投票を実施すれば、EU離脱派が確実に勝つ」という論評まで現われた。いま下を向いているのは、厳しかった教師の方である。

       ≪20日の日経平均 = 下げ -595.34円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

出国税の使途は 誰が決める?

2018-12-20 08:15:29 | 外国人
◇ 外国人客は3000万人を突破 = 政府は18日「ことし日本を訪れた外国人観光客が3000万人に達した」と発表した。外国人客が1000万人を超えたのは13年だったから、5年間で3倍に増えたことになる。それでも年間の客数が8000万人台のフランスやスペインに比べると、まだまだ少ない。政府は20年に4000万人、30年に6000万人誘致の目標を掲げている。

訪日客を地域別にみると、やはり近隣諸国からの観光が多い。たとえば中国、韓国、台湾、香港だけで、全体の7割を占めた。ただ1人当たりの消費額は15-16万円で、この数年はほとんど増えていない。これは中国人による“爆買い”が姿を消したこと、全体としてモノの消費よりコトの消費に関心が移ったためとみられている。

観光客をさらに増やすためには、何が必要なのか。空港の発着陸能力や宿泊施設が足りない。ガイドや表示板などが不十分。イベントの量と質。さらには外国人向けの医療や地震対策などなど。その充実には、大きなカネがかかる。この点で強力な助っ人になるのが、来年1月7日から実施される出国税だ。

航空機や船で日本を出国する人から、1人当たり1000円の税金を徴収する。19年度だけで、その税収総額は500億円になると推計されている。使途は環境整備、体験型観光の充実、情報発信の強化に限られた目的税だ。国土交通省や環境庁が管理するが、有効に使われるかどうかが心配だ。外郭団体などの設立などに使われないか。早くも懸念する声が上がっている。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -127.53円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

Zenback

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