経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-04-12 08:08:35 | 株価
◇ NYは“新型バブル”の花盛り = ダウ平均は先週647ドルの値上がり。終り値は3万3800ドル台に乗せて、またまた最高値を更新した。好調な雇用統計やISM(サプライ・マネジメント協会)の景況感調査が、明るい材料に。同時に長期金利も1.75%にまで上昇、バイデン大統領の大増税計画も発表されたが、ほとんど無視してしまう。3月には下げたハイテク株が買われ、コロナで打撃を受けた飲食・宿泊・航空関連も反騰した。ニューヨーク市場はいま、膨大な資金に支えられて崩壊しない新型バブルの恩恵を十分に楽しんでいる。

日経平均は先週86円の値下がり。週初には3万円台を回復したが、あと反落した。2月半ばに3万円を超えたが、これで4回押し戻されている。この3週間でダウ平均は1173ドル上昇したが、日経平均は24円の下落だった。日経平均も新型バブルの影響で底堅いが、やはりコロナの再燃と景気の先行き不安が株価の足を引っ張っている。

各国中央銀行によってばら撒かれた、壮大なカネ余り。株式市場で運用せざるをえないから、少々の悪材料には目をつぶる。これが新型バブルの特長で、なかなか破裂しない。この傾向はまだ続きそうだから、ニューヨーク市場の活況は持続する可能性が大きい。東京市場はコロナの勢いしだい。今週も3万円の征服は難しそうだ。

今週は12日に、3月の企業物価。14日に、2月の機械受注。アメリカでは13日に、3月の消費者物価。15日に、3月の小売り売上高と工業生産、4月のNAHB住宅市場指数。16日に、3月の住宅着工戸数、4月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、3月の貿易統計。16日に、1-3月期のGDP速報、3月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお16日に、ワシントンで日米首脳会談の予定。

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (56)

2021-04-10 07:44:44 | なし
◇ オリンピックに向けた最後の勝負 = 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は、増勢にやや落ち着きをみせている。感染者数は累計1億3313万人、死亡者数は288万7888人。感染者の増加数は前週より10万人増えたが、死亡者の増加数は700人減った。ブラジルやインドの増勢はなお高水準だが、ワクチン接種が進んだイギリスやアメリカの改善が貢献している。しかしアメリカでは規制の緩和とともに感染がぶり返す兆しも現れており、全く油断は出来ない。

ワクチンの接種率は9日の時点で、イギリスが56.1%、アメリカが51.7%。主要国のなかでは、この2か国が断トツに高い。そのイギリスはこの1週間で感染者が2万人の増加、死亡者は216人の増加にとどまった。アメリカも感染者は46万人、死亡者は7042人の増加。ひところに比べると激減している。しかしアメリカの場合は感染者がここへきて増え始め、コロナの再拡大が真剣に心配されている。

死亡者数だけをみると、ブラジルが34万人台。次いでメキシコが20万人台で、この2か国は医療崩壊の状態に陥っている。続いてインドが16万人台、イギリスが12万人台、イタリアが11万人台。さらにロシアが10万人台、フランスが9万人台、ドイツとスペインが8万人台に達している。このうちインドとフランスでは情勢が悪化、フランスでは全土に外出規制が実施された。

日本の感染者は累計49万7596人、この1週間で1万9109人増えた。来週は確実に50万人に達する。死亡者は9351人で、144人の増加だった。変異ウイルスが全国に広がり始め、政府は東京都などに「まん延防止措置」を適用することになった。5月11日まで実施するが、その時点でコロナが収まらず再延長したり緊急事態宣言の再発令になれば、もう時間がない。オリンピックの開催には赤い点滅信号が灯ることになる。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +59.08円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

さあ困った! どうする? 総務省

2021-04-09 08:20:38 | なし
◇ まさかフジテレビは潰せない = フジ・メディア・ホールディングスが、放送法に違反していたことが判明した。放送法は外国人による報道機関への支配を防ぐため、外国人株主の議決権比率を20%未満とするよう定めている。フジ・メディアは12年から14年にかけて株主名簿の確認を誤り、この規定に違反していたという内容。この会社はフジテレビの親会社。放送法には、違反した場合「テレビ放送の認定を取り消さなければならない」と書いてあるから、理論的にはフジテレビの電波が止まる可能性もないではない。

だが違反したのは、ずいぶん前のこと。実害もなかったから、こんなことで天下のフジテレビを潰すわけにはいかない。普通なら社長を総務省に呼びつけて「厳重注意」するぐらいで終わるはずだ。ところが今回は、そうもいかない。つい最近、東北新社が同様の違反を犯し、経営する衛星テレビの認定が取り消されたばかり。

東北新社というのは、菅首相の長男が勤めている会社。総務省の幹部が接待されていたことが問題となり、多数の幹部が処分を受けた。業界では、東北新社の衛星放送を潰したのは「総務省の報復だ」という陰口も囁かれている。そんななかで、飛び出したフジ・メディアの事件。巨大な全国メディアだからといって軽く処理すれば「不公平」の声が高まるのは、目に見えている。

武田総務相は「事実であれば重く受け止める。調査結果を踏まえて適切に対処する」と述べたが、さてどんな決断を下すのだろう。それと、もう1つ。なぜフジ・メディアがいまになって、過去の過ちを公表したのか。その意図にも、多少の疑問が残る。この問題には、まだ隠された総務省対放送業界の何かが存在しているような気がしてならない。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -21.81円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

金融バブルの 異常な実態

2021-04-08 07:46:00 | おカネ
◇ 1京1600兆円 ← 世界の株式時価総額 = QUICK・ファクトセットの集計によると、世界の株式時価総額は3月末時点で106兆ドルに膨れ上がった。日本円に直すと1京1600兆円。京というのは、兆の1万倍。なんとも想像を絶する大きさである。時価総額というのは、発行株式数に時価を掛け合わせた数字。言い換えると、世界の上場株式をぜんぶ買うには、これだけの金額が必要になるわけだ。

さらに驚くべきことは、この1年間で時価総額が6割も増えた事実。世界中が新型コロナで苦しんだなかで、株価は想像以上に高騰したことになる。各国の中央銀行が超緩和政策を続けた結果、大量の資金が放出され、これが株式投資の資金源になったことは間違いない。市場では買いが買いを呼んで、株価が上昇を続けた。

IMF(国際通貨基金)の推計によると、世界のGDPはことし91兆ドルになる。時価総額はこれを大きく上回った。世界中の人がことし1年働いて生み出す経済的な価値より、株式の価値の方が大きい。なんとも釈然としないが、これが現実。よく「いまの株価は経済の実体と乖離している」と言われるが、それどころではない。まさにバブルの実態が、時価総額に表われていると言えるだろう。

株価の上昇は、景気にとっても大きなプラス材料であることに間違いはない。しかし株高で大儲けをしたのは、機関投資家とごく一部の個人投資家に限られる。これらの人たちとコロナ不況で苦しむ人たちの経済格差は、残念ながら広がるばかり。こうした観点からみると、時価総額の巨大化を喜んでばかりはいられない。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +34.16円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

レアメタル争奪戦に 勝てるのか?

2021-04-07 07:47:06 | 資源
◇ 米中経済戦争のとばっちり = レアメタルの熾烈な争奪戦が始まった。まず中国政府が1月に「レアアースの管理を強化する条例」を発表、採掘から精製・輸出に至るまでを政府の管理下に置く体制を整えた。アメリカとの経済戦争を意識した措置で、これで政府はいつでも輸出を規制することが出来るようになった。これを受けてバイデン大統領は2月、レアアース供給網の強化を指示。この問題は、近く実現する日米首脳会談でも議題にのぼるようだ。

レアメタルというのは、ニッケルやコバルトなど流通量が少ない金属31種類の総称。EV(電気自動車)やハイテク製品の生産には欠かせない。レアアースはレアメタルの一部で、希土類と呼ばれる17種類。鉄などの金属に少量を混ぜるだけで、強度や磁性が増す“産業のビタミン剤”。これもEVやスマホなどの生産には不可欠だ。そしてレアアースの生産は、中国が世界の58%を占めている。

日本はレアアースを含むレアメタルのすべてを、輸入に頼っている。2010年には尖閣諸島周辺で起きた漁船衝突事件がきっかけで、中国が日本向けレアアースの輸出を制限したことがある。そこで輸入先をブラジルやオーストラリアなどに広げようとしたが、現実にはほとんど進展なし。ただ漁船の衝突事件などは一過性のものだったが、今回は米中の対立が原因で短期的に解決する問題ではない。米中両国によるアフリカや中南米での獲得競争も激化するだろう。

対策としては、レアメタルを使わない生産技術の開発。海底資源の実用化。廃棄される電子機器からの回収・再利用など、いろいろある。最近も政府は、南鳥島の海域での採掘商業化や再利用の拠点作りなど、対応策を考えているようだ。しかし、これらは何度も試みたことの繰り返し。いずれも挫折している。こんどこそは成功させないと、日本の先端工業は原材料を失うことになりかねない。政府はそれだけの危機感を持っているのだろうか。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -392.62円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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