経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (57)

2021-04-17 07:57:30 | なし
◇ コロナ vs ワクチンの暗闘 = 世界各国のワクチン接種率。NHKの集計で少なくとも1回の接種を終えた人の人口比をみると、①イスラエル61.67%②イギリス47.62%③チリ39.35%④アメリカ37.05%⑤カナダ21.35%--となっている。このうちイスラエルとイギリスでは効果が表われて、感染者や死亡者が目に見えて減ってきた。ところがチリでは日常生活の正常化を急ぎ過ぎたため、状況はむしろ悪化。アメリカでも中西部のミシガン州やミネソタ州では、ぶり返しの兆候が出始めた。コロナ・ウイルスも少し隙をみせると、変異株に化けたりして攻めたててくる。

一般に接種率が60-70%に達しないと、集団免疫は生まれないと言われている。だから、そこまではじっと我慢が必要だ。一方、接種率が低い国ではコロナの勢いは収まらない。ブラジルやメキシコ、それにインドやフランスでは、状況が悪化している。インドやブラジル、トルコなどでは、1日の感染者増加数が過去最大に。医療崩壊の状態に陥っている。

死亡者数の累計をみると、アメリカが56万4387人。ただ1週間の増加数は5200人と落ち着いてきた。次いでブラジルが36万人台、前週比では2万人以上も増えている。さらにメキシコが21万人台、インドが17万人台。イギリスが12万人台、イタリアが11万人台、ロシアが10万人台、フランスが9万人台、ドイツとスペインが7万人台となっている。

日本の感染者は累計で52万2300人。この1週間で2万4704人の増加だった。死亡者数は9559人、この1週間で208人増えた。前週より64人増加している。イギリス型の変異ウイルスが全国に広がり、この1週間で1500人以上が検知されている。なにしろ日本のワクチン接種率はまだ0.91%に過ぎない。政府は「まん防」の適用を10都府県に拡大したが、またしても手遅れの感じは否めない。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +40.68円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

ETF 買うの止めた : 日銀

2021-04-16 07:39:35 | 株価
◇ 日経平均は3万円がカベに = 日経平均株価は2月15日、約30年ぶりに3万円の大台を回復した。ただ1週間で反落。その後も3回にわたって3万円台に乗せたが、いずれも押し戻されている。そこから先週末まででは316円安。この間、ダウ平均が2278ドルも上げているのとは対照的だ。最大の原因はワクチンの接種で、コロナ収束にメドが立ったかどうかの違い。しかし、もう1つ。日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを停止したことも大きく響いている。

日銀がETFの買い入れを始めたのは10年12月。株価を引き上げて、景気を刺激することが目的である。現在までの買い入れ総額は約36兆円。日本で最大の株主になった。だが、この政策には大きな副作用を伴う。なんと言っても、自由な市場での公正な価格形成機能を損なうからだ。このため主要国の中央銀行は、この政策を実施していない。

買い入れ総額は20年が6兆8450億円。ことし1-3月は5210億円で、約3分の1のペースに落ちている。それが4月に入ると、買い入れを全く止めた。黒田総裁は「大きく下落した場合にだけ買う」と説明したが、たとえば4月6日や12日のように200円―300円と下げても、日銀は出動しなかった。

なぜ日銀は、ETFの買い入れを停止したのだろう。やはり副作用の大きさを無視できなくなった。株価が3万円の水準を回復したので、ほぼ目的は達成した。今後は“暴落”場面にだけ買い入れる。--いろいろ理由は取り沙汰されているが、真相は不明。コロナ不況が続いているのに、止めるのはおかしいという批判も出ている。いずれにしても、今後は日銀の助けに頼らない株式市場になりそうだ。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +21.70円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

トランプなら 激怒 : 中国の対米黒字

2021-04-15 07:38:08 | 中国
◇ アメリカ向け輸出は75%の増加 = 中国税関総署は13日、ことし1-3月期の貿易統計を発表した。それによると、輸出は7099億ドルで前年比49%の増加。輸入は5936億ドルで28%の増加だった。輸出額も輸入額も過去最大となっている。昨年1-3月期はコロナの影響で、輸出入ともに激減した。その反動だけではなく、新たな需要の増加も加わった数字だとみられている。その結果、貿易収支は1163億ドルの大幅な黒字を記録。昨年同期の約9倍に膨らんだ。

輸出品目をみると、パソコンやスマホなどの電子機器。それにマスクやワクチンなどのコロナ関連製品も大きく増加した。ワクチンの輸出額は1-2月だけで9億ドルを超えている。また衣料品や玩具など伝統的な輸出品も大きく伸びた。一方、輸入品は鉄鉱石が8割も増えるなど資源が急増。国内経済活動の回復を反映している。

注目すべきは、アメリカとの貿易状況。輸出は74.7%、輸入は69.2%と大幅に伸びた。この結果、対米貿易収支は726億ドルの黒字となっている。全体の黒字の6割以上が、アメリカとの貿易で生まれたわけだ。かつてトランプ前大統領はこの大幅な貿易不均衡を重視、中国製品に高率の輸入関税を設定した。この輸入制限は現在も継続されている。にもかかわらず、中国のアメリカ向け輸出は記録的な伸びをみせた。

トランプ氏だったら、激怒してさらに関税を引き上げたかもしれない。だがバイデン大統領は、いまのところ反応なし。バイデン政権はウイグルや香港などに関わる人権問題、あるいは台湾を巡る覇権争いについては、中国に対して強硬な態度をみせている。しかしトランプ氏があれほどこだわった貿易不均衡の問題には、音沙汰なし。これから対策を講じるのかどうか、注意しておく必要があるだろう。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -130.62円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

「まん防」適用で 理解できないこと

2021-04-14 07:28:22 | なし
◇ 緊急事態宣言より軽い措置なのか? = 政府は東京・京都・沖縄の3都府県に「まん延防止等重点措置」の適用を決め、今週12日から実施した。記者会見で「効果がなければ緊急事態宣言を発令するのか」と聞かれた菅首相は「そうならないように努力する」と答えている。このやりとりを聞いていると、「緊急事態」は「まん防」より重い措置。できれば発令したくない最後の切り札だという印象を受ける。

たしかに「緊急事態」は、発令される対象が都道府県単位。これに対して「まん防」は、対象が市区町村単位だ。また「まん防」では、店舗に対して休業要請は出来ない。命令に違反した場合の過料も、「緊急事態」は30万円以下、「まん防」は20万円以下となっている。しかし「まん防」でも時間短縮の要請はできる。両者の間に、大きな相違があるとは思えない。菅首相は「コロナの勢いは想像以上に強い」と言っているのに、なぜ「緊急事態」を宣言しないのか。

次なる疑問は、専門家を集めた諮問委員会の役割。政府は対策を決定する直前に、必ず会議を招集して意見を聞いている。しかし政府の方針が、諮問委員会によって修正されたことはない。そしてテレビに出演した諮問委員会のメンバーは、その多くが「政府はもっと厳しい対策をとるべきだ」と主張している。では諮問委員会とは、いったい何なのか。国民には解らない。

もう1つ。蛇足かもしれないが、「まん延防止等重点措置」の“等”とは何なのか。政府が作る法律にはよく使われるが、何か意味があるのだろうか。これも「流行防止対策」というように、もっと解りやすくしたら、どうだろう。そうすれば、一般人も「まんぼう」とか「マンボ」とかを連想せずに済んだものを。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +212.88円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

名案かな? 法人税率の下限設定

2021-04-13 07:39:19 | アメリカ
◇ ここでも米中が激突するか = イエレン米財務長官が「各国の法人税率に共通した下限を設ける案」を公表した。すでにG20(主要20か国)に提案、ことし半ばの決着を目指して協議中だという。イエレン長官は「過去30年にわたって、各国は外国企業を誘致するため法人税率の引き下げ競争を演じてきた。これは改めなければいけない」と強調している。コロナ対策で財政難に陥っている各国からは賛成の声が上がっており、麻生財務相も歓迎の意を表明した。いいところに目を付けた提案だと評価できるだろう。

バイデン大統領は、今後8年で2兆ドルを投入する新インフラ投資計画。その財源として、今後15年で2兆5000億ドルの増税を実施する方針を発表した。増税の内訳は、法人税率を現行の21%から28%に引き上げる。企業の海外収益に対する課税を現行の2倍の21%に引き上げる。巨大企業へのデジタル課税を最低15%とするなど。

ここから判断すると、新設される各国共通の最低法人税率は28%ということになるだろう。日本の実効税率は現在29.74%なので、仮に最低税率が28%になれば変更の必要はない。麻生財務相としては引き上げたいかもしれないが、コロナ不況を完全に克服しなければムリだろう。当面は動かしようがない。

主要国の間では、いま巨大企業に対するデジタル課税も問題になっている。フェイスブックやグーグルなどは、拠点を置かない国でも盛んに使われている。その課税をどうするかだ。アメリカとEUでは対立しているから、これも解決しなければ法人税の問題も合意できないかもしれない。そして中国。いまの法人税率は25%だが、中国が引き上げに応じるかどうかは全く不明。もし中国が反対すると、この問題でも米中は衝突することになりかねない。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -229.33円≫
 
       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫       

Zenback

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