経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

36兆円の 使い道は? : 家計の資金余剰

2021-09-24 07:33:30 | 家計
◇ 金融資産は2000兆円に接近 = 日銀の集計によると、6月末時点で家計の金融資産は1992兆円。この1年間で6.3%増加した。株価の上昇によるところが大きい。またコロナの影響で、支出が異常に抑えられ貯蓄が増加した。4-6月期だけをみると、コロナの影響による貯蓄の増加額は26兆円に達している。

金融資産の内訳をみると、株式は210兆円で前年比30%の増加。投資信託は89兆円で29%の増加だった。また現金・預金の合計額は1072兆円で過去最大。前年より4.0%増加している。このうち現金は102兆円、預金は970兆円だった。手元に現金を置いておく傾向は、いぜんとして強い。仮に預貯金に2%の金利が付くとすれば、個人の利子収入は年間20兆円に。ゼロ金利政策で、個人はそれだけ損をしていることになる。

2000兆円という金融資産の額は、日本のGDPの約4倍。大変な金額であることに違いはない。ところがアメリカの個人金融資産は、なんと109兆ドル、日本円で約1京2000兆円という大きさだ。アメリカでも株価の上昇が、金融資産を増やす原動力。ただコロナによる影響は、それほど大きくはない。アメリカ人はコロナ禍でもおカネを貯め込まず、消費に使っているようだ。

日本の場合、コロナの影響が出始めた昨年3月末の現金・預金額はちょうど1000兆円。したがって、その後の15か月で72兆円増加したことになる。こうしたおカネが、コロナの収束後は一気に消費に向かうと期待されているわけだ。特にこれまで抑制されていた飲食・旅行業は、その一点に賭けていると言ってもいい。貯め込まれた金額の半分が使われるとすると、消費支出の増加は36兆円。ただしコロナの先行きが不透明だと、おカネの使われ方は小さくなってしまう。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

財源は 知らん顔 ; 総裁候補の4人

2021-09-22 06:56:22 | 政治
◇ これでは評価ができない = 「大型の冷蔵庫が欲しい」「自宅で5Gのテレビを見たい」「EVを買いたい」--誰もが、こんな夢を持っている。どんな夢を持つかは自由だが、それを実現するためには必ず資金をどうするかが問題になる。資金がなければ、夢は夢のまま。自民党総裁選挙に打って出た4人の候補者の政策論を聞いていると、こんな感じがした。夢を口にするのはたやすいが、これでは評価が出来ない。

・河野太郎氏--たとえば最低額の年金を保障する「最低保障年金制度」を提唱。財源は消費税にするという。だが必要な財政支出額については全く触れないから、消費税の上げ幅も判らない。これでは政策の効果と必要経費を比較できないから、評価をすることは難しい。

・岸田文雄氏--たとえば「令和所得倍増」論を唱えている。中間層への分配を強化するという。だが財政支出を拡大するのか減税するのか、方法論には触れない。おおまかな予算額も不明。スローガンはいいが、やっぱり評価のしようがない。

・高市早苗さん--たとえば「小型核融合炉」の研究開発費を増大すべしと主張。地下に小型原発を造ろうというらしい。だが何年後を目標にしているのか、それに必要な経費も全く不明。差し迫った脱炭素計画との関連性も判らないから、これまた評価は不能だ。

・野田聖子さん--たとえば「子ども庁」を作るという。だが何をするかについては、ほとんど説明がない。もう少し具体的な政策論がないと、賛成も反対もしようがない。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -200.31円≫

        

今週のポイント

2021-09-20 07:38:23 | 株価
◇ NY市場に出現した複数のカベ = ダウ平均は先週23ドルの値下がり。下げ幅は大きくないが、これで3週間の続落。3万4000ドル台での足踏みが続いている。原因はニューヨーク市場に出現した、いくつかのカベ。列挙してみると、①コロナ感染の再拡大②景気回復への懸念③インフレ警戒④法人税・株式譲渡税引き上げの公算⑤中国経済に対する不安・・・。過剰な資金力で大きくは下げないが、カベをすぐには乗り越えられない。

日経平均は先週118円の値上がり。4週間の連騰で、この間の上昇幅は3500円に近かった。終り値は3万0500円。1990年8月以来31年ぶりの高値となっている。原因は菅首相が退陣を表明したことで、総選挙での自民党の勝利が確実視されること。さらに誰が新首相になっても、大型の景気対策を打ち出すとの期待が高まったことにある。

ニューヨークが下げても、東京は上がる。そこにはニューヨークで行き場所を失った資金が、東京に流入するという関係がある。その証拠に、ここ4週間は外国人投資家の買いが一挙に増大した。日本株の割安感が見直されたところへ、菅首相の退陣表明がちょうど重なった。ただ新政権による景気対策は、まだ絵に描いた餅。今後、期待が拡大するか縮小するかは、まだ判らない。

今週は24日に、8月の消費者物価。アメリカでは21日に、8月の住宅着工戸数。22日に、8月の中古住宅販売。24日に、8月の新築住宅販売が発表される。なお26日に、ドイツでは総選挙が実施される。

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (79)

2021-09-18 07:44:56 | なし
◇ 日本の対策はイギリス型と中国型の中間 = 世界の感染者は累計2億2639万人、この1週間で382万人増加した。死亡者は465万9920人で、6万3457人増えた。感染者の増加数は3週連続で縮小したが、死亡者の増加数は前週より約1万人拡大している。アメリカ・ブラジル・イギリスの死亡者は増加、インドやインドネシアは減少傾向だった。日本の状態も急速に改善している。

アメリカの死亡者数は累計66万6630人、この1週間で1万3924人増加した。7月下旬以来、8週連続で悪化している。行動規制などを緩和した結果で、警戒感も強まってきたようだ。死亡者の累計はブラジルが58万人台、インドが44万人台、メキシコが26万人台。次いでロシアが19万人台、インドネシア・イギリス・イタリアが13万人台、フランス・イランが11万人台となっている。一時は1週間で2万人を超えていたインドの死亡者は、1979人に縮小した。

中国では2月上旬以来、死亡者は1人も出ていない。感染者が1人でも発見されると、その地域を封鎖してしまう。極めて厳格な対策を講じてきたためだが、最近では感染者が増加しているようだ。感染者の累計は9万5493人で、この1週間では382人増加している。この8月の生産と消費は急速に悪化したが、政府はその一因としてコロナ対策としての行動規制を挙げている。

日本の感染者は累計166万3921人、この1週間で4万7800人増加した。ただ増加数は、過去2週間で9万人近く縮小した。死亡者は1万7045人、増加数は407人で前週より26人の減少。6週間ぶりの縮小となった。ワクチンの接種率向上と緊急事態宣言の拡張によるもの。日本の対策は極めて厳格な中国型と、ワクチンの効果にかけて一挙に規制を解除したイギリス型の中間。成功するかどうかに、世界が注目している。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +176.71円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

お先に失礼! 金融緩和の縮小 / EU

2021-09-17 07:47:57 | 金融
◇ 取り残される日本はどうなる? = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週9日「国債などの買い入れペースを減速する」と発表した。ECBはコロナ不況対策として、毎月800億ユーロ(約10兆4000億円)の国債などを市場から買い入れてきた。この緩和政策を縮小するというわけである。ただラガルド総裁は「景気の回復に合わせた措置で、テーパリングではない」と説明した。これは「買い入れをゼロにまでする気はない」という意味だと解釈されている。

アメリカでは、FRBが年内に緩和政策の縮小を始めることが確実となっている。ただ8月の雇用統計が予想を大きく下回ったため、市場では9月中の決定はないとの見方が強まっている。そんなときにECBが突然「緩和政策の縮小」を発表、先を超された感じとなった。FRBが時間をかけて市場との対話を重ねているのに対し、ECBはほとんど前触れもなく踏み切ったことが印象的だ。

世界を見渡すと、金融緩和政策を修正した国が多い。たとえばカナダとオーストラリアは緩和政策を縮小、ブラジルやメキシコは金利の引き上げを断行している。ここにユーロ圏とアメリカが加われば、世界の流れは「緩和政策の縮小→金利引き上げ」となる可能性が高い。各国のGDPがコロナ前を回復したり、インフレ対策、自国通貨の防衛など、理由はさまざまだが・・・。

日本は景気の回復が遅い。物価も上がらない。コロナの見通しも不透明だ。したがって金融緩和政策を縮小する理由がない。黒田日銀総裁も「大規模な緩和政策は当分続く」と説明している。だが世界が緩和縮小へと向かうなかで、日本だけが金融緩和を続けるとどうなるのか。理論的には円安となり、資金が海外に移転する。インフレになるかもしれない。とにかく、いいことはなさそうだ。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -188.37円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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