経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

株高の起爆剤は MAG7

2024-02-20 07:49:52 | 株価
◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。

つい最近までニューヨーク市場を席捲していたのは、GAFAMと呼ばれる大手IT5社だった。グーグル・アップル・フェースブック・アマゾン・マイクロソフトの5社である。そこへテスラとエヌピディアが加わったのがMAG7、意味はMAGNIFICENT(壮大な)7社。なにしろエヌピディアだけでも、その時価総額はトヨタの5倍。この壮大な7社がFRBの金融引き締めにもかかわらず、業績を伸ばし株価を上げてきた。そしてMAG7の株価が上がると、周辺の半導体関連銘柄も上昇。株価全体を大きく押し上げる効果を挙げている。

MAG7の影響は、東京市場にも波及している。TOPIX(東証株価指数)の昨年初からの上昇率は30%程度。このうち半導体関連10銘柄だけを取り出すと、上昇率は70%ときわめて高い。「ニューヨークでIT関連銘柄が高騰したのを受けて、東京市場でも半導体関連銘柄が先導して株価は上昇」--こんな解説記事には、何度もお目にかかった。

しかし株価が急上昇しているだけに、PER(株価収益率)も上昇した。SP500全体のPERが21倍なのに対して、MAG7のPERは33倍に上昇している。また7社に人気が集中する一極集中の現状は、不健全だという批判も強まってきた。さる有名投資家がMAG7を売り出したという話も伝わっている。もしMAG7の株価が急落し始めたら、現在の株価天国は消滅するに違いない。この際はMAG7の株価に注目!
 
        ≪20日の日経平均 = 下げ -106.77円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2024-02-19 07:47:11 | 株価
◇ 日経平均は史上最高値の更新へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。月曜日にはまた史上最高値を更新したが、その後は上下動しながら下げた。先々週は18ドルの値上がりだったから、2週連続できわめて小幅な値動きにとどまっている。これは1月の消費者物価が予想以上に上昇、小売り売上高は予想以上に伸び悩むなど、景気にとってはプラスとマイナスの材料が同時に飛び出したこと。それに最高値の更新が続き、さすがに利益確定売りが出やすくなったためだろう。

日経平均は先週1590円の大幅な値上がり。3週間の連騰で、この間の上げ幅は2700円を超えた。終り値は3万8487円、1989年12月に記録した史上最高値にあと429円まで近づいた。ニューヨーク市場の流れを受けて半導体・IT関連株、円安で輸出関連株、インバウンドの回復で内需株が買われている。中国からの資金流入も、全体を押し上げた。

ニューヨーク市場は、新しい材料待ち。大きくは動けない。一方、日経平均はここまできたら、何が何でも最高値の更新へ向かうだろう。企業の3月決算予想は上方修正が続出しているから、さらに4万円の大台まで狙いに行くのか。それとも最高値を更新したあとは、一休みとなるのか。半導体・IT企業の景況と円相場の動きが、カギを握っているように思われる。

今週は19日に、12月の機械受注。21日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数。アメリカでは22日に、1月の中古住宅販売、2月のISM製造業景況指数が発表される。

         ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

「ギョウザ・ラーメン日本一」 への疑問

2024-02-17 07:15:38 | 統計
◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。

総務省は毎年2月に、前年の家計調査を発表する。この調査は全国168の市町村を対象に、約9000世帯の家計を調べる大掛かりなもの。家計の収入や貯蓄、支出動向が詳しく集計される重要な統計だ。これによってギョウザやラーメンをはじめ、数多くの商品が年間どのくらい売れたかも判る。これを見て各所で、お祭り騒ぎや残念会が展開されるわけだ。

だが大きな疑問がある。たとえば浜松市と山形市では、96世帯が抽出調査の対象になっている。これらの世帯がギョウザやラーメンをたくさん買えば、その都市の購入額は増大する。これらの調査対象世帯が、悪意で購入記録を改ざんすることはないだろう。しかし自分たちの購入額が「おらが町を日本一にするかどうか」は当然知っているだろう。そして努力して、購入額を増やすことは十分に考えられる。これが度を越せば、家計調査の意味はなくなる。

地域起こしのために、果物などの特産品についても「日本一の座」を争おうと考える都市が続出しているという。こんな傾向が広がれば、家計調査の信ぴょう性は地に堕ちる。総務省は現状を黙視していていいのだろうか。またテレビや新聞は、なぜこの問題を取り上げないのだろうか。理由を聞きたいものである。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +329.30円 ≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     

仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (下)

2024-02-16 07:25:40 | 人手不足
◇ 使用者側の意識改革が最も重要 = 日本の人手不足は、今後もずっと続く。総務省の推計によると、30年の労働力人口は5880万人に。20年に比べると、524万人も減ってしまう。その不足を補う方法は女性や高齢者の活用、ロボットなど機械化の推進、それに外国人の招聘しかない。このうち女性と高齢者の活用は、しだいに限界に近付く。機械化には時間がかかる。だから本命は、やはり外国人の労働力だ。

厚生労働省の集計によると、昨年10月末時点で外国人労働者の数は204万8675人。前年比で12.4%も増加した。国別にみると、ベトナム人が51万8000人でトップ。次いで中国人、フィリピン人の順となっている。また働いている業種をみると、製造業が55万2000人。次いでサービス業、卸・小売り業の順。働いている事業所は31万8700か所にのぼるが、その6割以上が従業員30人未満の小規模事業所だった。

人手不足に悩むのは、日本だけではない。オーストラリアや韓国も深刻で、両国とも外国人労働者の受け入れ強化策を打ち出している。また中国も長期的には労働力が不足し、海外で働く人は減るだろうと予測されている。したがって若い労働力は取り合いに。日本は賃金の伸び悩みと円安で、魅力が薄れている。そうしたなかで、新しい「育成就労制度」がスタートすることになった。

この新しい制度が功を奏して、若い外国人がどんどん日本にやって来るかどうか。それは予測できない。若い人たちが「技能の習得が目標ではなくなったこと」に、どんな反応をみせるのか。新しい制度を作っても、実態が変わらなければ意味がない。結局は若い外国人を雇う日本人の使用者が、彼らに親しみを持ち、家族の一員のように接することができるかどうか。それによって、日本が‟選ばれる国”になるかどうかが決まってくるだろう。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +454.62円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (上)

2024-02-15 07:52:55 | 人手不足
◇ ようやく‟人材確保”を前面に = 政府は先週9日の関係閣僚会議で、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設を決めた。現行の技能実習制度は「発展途上国に技術を伝える国際貢献」を目的に、1993年に発足。昨年10月末時点で41万2000人が来日している。しかし実態は技術の移転ではなく、劣悪な環境で単純労働を強いられるケースが続出。22年には実習生9000人が失踪している。このため国際貢献といった仮面を脱ぎ捨て、本来の目的である「労働力不足の補充」を前面に打ち出すことになった。

政府は次の通常国会に、必要な関連法案を提出する方針。内容としては、まず転職を認めない期間を現行の3年から1-2年に短縮する。現行法では、過酷な労働を強いられても3年間は転職できない。だから失踪が増える。政府は1年への短縮を主張したが、自民党が「大都市へ集中してしまう」という理由から反対。結局は1-2年に落ち着いた。だが大都市への集中は、転職を認めない期間と関係するのかどうか。なんとなく、すっきりしない。

もう1つは転職の場合、非営利の監理団体や公共職業安定所だけが関与する規定。これは悪質ブローカーの介入を防ぐためで、必要な措置に違いない。しかし多くの地域にたくさんある監理団体がさらの仕事を増やし、お役人の天下り先になるのは困る。と言って、外国人労働者の不満が伝わらないようでも困る。どんな団体にするのかは、国会できっちり議論してもらいたい。

また3年間働いて一定の技術を取得すると、試験を受けて特定技能1号の資格が取れるようになる。さらにその先、特定技能2号の資格が取れれば、日本に永住したり、家族を呼び寄せることもできる。こうして「日本は行って働きたい国」だと、アジアの若者たちに考えてもらうようにしたい。政府が姿勢を変えたのは一歩前進だが、実際にどこまで効果があるかはやってみなければ判らないというのが本当のところだろう。

                        (続きは明日)

        ≪14日の日経平均 = 下げ -260.65円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
    

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