魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

打ち上げ花火?それともウィーン会議?(長文)

2007年10月24日 | ワイン ~2020年
「会議は踊る、されど好みはバラバラ」というわけでここはウィーン会議、
それとも鹿鳴館?とも思えるちょっと罰当たりな会が行われました。

場所は「レストラン アンペキャブル」です。力作の料理との饗宴で、
10年物(1997)20年物(1987)のグランヴァンを並べて飲もうという趣向です。

人生時には打ち上げ花火のように、弾けても良いのかも知れません。
一番感じたのは“コージャスで格別な風味の厚さ”でした。

1 1987 SMW リザーヴ モーゼル リースリング ゼクト トロッケン(独、白)
 不思議な熟成ゼクトで乾杯。へーゼルナッツ、栗、リキュールなどの風味
で、年のせいか、泡(ガス)は落ちてきていますが、まろやかに熟成しています。
(東京のじゅんじゅんさん、ありがとー!)

2 1997 クロ・ド・ランブレー(ドメーヌ・ド・ランブレー、ブル赤)
 腐葉土や枯葉も香ってきます。明るさ、エレガントさを持ちつつきれいな酸と
羽毛感が広がります。かなり美味しいのですが、後からこれが全く普通のワイン
になってしまう・・・という恐ろしさへの序章。

3 1987 コルトン・シャルルマーニュ(ボノー・デュ・マルトレー、ブル白)
 きれいに熟成しています。栗、焼き菓子などありますが、どこか透明感があって
ミネラリーです。シャルルマーニュならではの感じなのかも知れません。

前菜の野菜にコルトン・シャルルマーニュをパテにクロ・ド・ランブレーを
合わせます。すでに贅沢です。



4 1997 Ch.オーゾンヌ(ボルドー赤)
 これは深いです。黒インクや黒い土、キノコ(トリュフ)、その中に若さも
保ちつつなめし革の風味。静かに深くたなびきます。滅多に飲めないオーゾンヌ。

5 1997 ムルソー デジレ(コント・ラフォン、ブル白)
 これは来ました!香りからすごい!キュッと締まった揮発性のセメダインにも
似た、ミネラリーで鋭い果実香が襲ってきます。「香りのキャンディー」状態で
参加者一同インパクトを受けた様子。もちろん蜜やとろみのある味わい。
ムルソーらしいとろとろとした幸せの味です。

6 1987 バタール・モンラッシェ(ブシャール・ペール・エ・フィス、ブル白)
 深く厚みのある香り。厚みは確かにありましたが、熟成でさすがにおとなしく
はなっていたようです。フライングボディーアタック!(ミル・マスカラスか)

5、6のワインを魚料理(アラのムニエル)に。
(ソースが秀逸で、イカスミを加えたアクセントは良いアイデアでした)


7 1997 ルーチェ(フレスコバルディ&Ch.ムートン、伊、トスカーナ赤)
 明るく風味が広がります。ジビエの風味とかもありますが、甘みを持って
まさにラベルのように、トスカーナの太陽を感じる美味しいワインです。

8 1997 Ch.オーブリオン(ボルドー赤)
 やや枯葉や土、シガー、杉などの風味ですが、明るくしみじみと広がる
旨味は素晴らしいです。特徴としては酸が意外と強い。だからだれなかった
のでしょう。とても久しぶりのオーブリオンでした。これが出ると一気に
ウィーン会議状態に陥ります。

7、8のワインを牛の頬肉の煮込みに。(メチャ柔らかくジューシーでした)




ここでデザート(濃厚なプリン&アイス)だったのですが、何とシャンパーニュ
を合わせてみるという隠し技が出ました。案外いけたのです。
この発想は驚きでしょう。



9 NV ジャックセロス(シャンパーニュ)
 シングルモルトのピート香に通じるような揮発性の香り、甘さを含んだリンゴ、
シードルの風味もあります。きれいで時間が経つと厚みも出てきました。

10 NV ジャックセロス “シュブスタンス”(シャンパーニュ)
 こちらはクラスが上がります。まろやかで厚みがあって、濃く力強い!
ひねた部分も感じるのですが、良い意味でそれも堂々たる厚みを出す要素に
なっています。これがデザートというのは面白いです。

さていよいよ佳境へ。ワイン単体で味わいます。

11 1987 ミュジニー(ヴォギュエ、ブル赤)
 クリアできれいな出で立ちです。絹のような優しさ。しかしどこか下地の
強さも感じます。熟成のためちょっと鉄分も出たりしていますが、お持ち
の方はお早めに飲まれることをお奨めします。

12 1987 ラ・ターシュ(DRC、ブル赤)
これも熟成していますので、味自体よりも香りや風味を味わうワインでしょう。
実に優雅です。なめし革や色とりどりのフルーツ(まだ、チェリーが生きている
ベリー香)、毛糸のセーターなんてのも。おもちゃ箱をひっくり返したような
ゴージャスでリッチな香りが漂います。その風味を受けながら明るく、厚みの
ある味わいです。味わいもまだ落ちてはいないでしょうが、もう熟成は十分です。
個人的偏見としての好みなら11、12のワインは10年早く飲みたかったくらい
でしょう。

今回はY氏の弾けた怒濤の提供により実現した会です。
貴重なワインありがとうございました。

しばらくリハビリの日々を送ることになるでしょうか。
何ともはや罪作りな会でしたよねー。


コメント (4)
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