魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

おばちゃんとおじちゃんの焼き豚ラーメン

2009年01月31日 | 美味しいもの
その店は料亭や元遊郭の丸山町より山側へ登った坂道にある。

気のいいおばちゃんが切り盛りするお店だ。

表通りにないため、長崎でも知名度は低い穴場のラーメン。

「びっくりラーメン」なのだ。


店に入り、
「ラーメンば食べに来たけど、何にしようか~」
と店内に張り付けられたお品書きに目をやる。




屋台ラーメン、焼き豚ラーメン、餃子ラーメン、野菜ラーメンなど・・・。
他の定食も550円のものが多い。最近はありがたみを感じるなあ。


おばちゃんが「ラーメンなら焼き豚がよかよー」と促してくる。

一瞬、他のラーメンも食べてはみたかったが、やはりここを紹介すると
なると「焼き豚ラーメン」以外には考えられない。
よし、これだ!


そこで見まわすと・・・・・、

思わず張り紙の文字が目を覆った。





!!!!!


「おばちゃん、閉店すると?」


おばちゃん「そうさ、もう68歳やしね。去年一度倒れてから決心したとよ。」

私「あー、そうね。体が1番やし、無理は良くなかよねー」

おばちゃん「この店は人に貸して、びわ(枇杷)の植わった畑のあるけん、
びわば作ろうと思うとっとよ。」


心の中でつぶやく。

「あいたー、おばちゃんのラーメンもう食べられんごとなるー!」



そしてもうひとつ、この店の秘密なのだが、実はここのおばちゃんの
ご主人は肉屋さんなのだ。

その肉屋さんから特別美味しいチャーシュー、焼き豚を入れて
焼き豚ラーメンは作られている。550円でチャーシューメンが
食べられると思えばいい。たっぷりと入った肉。
これもおばちゃんの気分次第で増えたりもするのだ。

しかもおじちゃんとおばちゃんの合作でもある。


さあ、オーダーしたラーメンが出てきた。

これぞ「びっくりラーメンの焼き豚ラーメン」だ。





このお店のラーメンは、長崎では珍しい「塩ラーメン」なのだ。


トンコツが基本なのに、なぜに塩ラーメン???

それは焼き豚を食べれば推測はつく。
焼き豚が絶妙に美味しい。その肉を活かすため、あえて肉っぽい
トンコツスープではなく、塩スープにしてあるのだ。
(トンコツでは油分が重なりくどくなるから)


もちろんスープの味は単に塩だけではない。軽いトリガラとか
ブイヨンっぽくもある。優しい味わいだ。つややかで旨いなぁ~。


さて、ラーメンにはネギ、紅ショウガ、その中にモヤシ、そして
周りを取り囲む焼き豚(脂身の美味しいチャーシュー)だ。


しかしだ、しかし・・・・・


おばちゃんやおじちゃんの想いを、すべて受け止めるだけの若さは
私にはない。(しかしほとんどの若者なら大丈夫な範疇だろう)

やはり脂が多く感じてしまう。チャーシュー最後の1枚はちょと
苦しかった。ご飯をもらい一緒に食べながら最後までたどり着く
ことが出来た。


それでも、十分な満足度。


ちなみに野菜ラーメンも相当充実していて満足できるメニュー。
このおばちゃんにかかると、より美味しくなる。
おばちゃんの人柄がスパイスとなっている。
それがまた味なんだよな・・・と。


月並みだけど、閉店までまだ間があるから再来店を心に誓い、
店を後にした。

コメント (3)
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