魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

「米仏ワイン対決40年目の決着in東京」

2017年06月14日 | ワイン ~2019年
ワインファン必見、BS11にて「米仏ワイン対決40年目の決着in東京」という番組がありました。





このストーリーは長いです。

始まりは1976年のフランス、パリ。

当時無名だったカリフォルニアのワインとフランス、確固たる地位にあるボルドーの有名銘柄の
ブラインド対決が行われました。

カリフォルニアワインなんて~とさんざん馬鹿にされていた頃です。



ところがふたを開けてみると・・・さあ大変! となりました。

下記が結果です。


1位 スタッグス・リープ・ワインセラーズ 1973年(米)
2位 シャトー・ムートン・ロートシルト 1970年(仏)
3位 シャトー・モンローズ 1970年(仏)
4位 シャトー・オー・ブリオン 1971年(仏)
5位 リッジ・モンテ・ベロ 1971年(米)
6位 シャトー・レオヴィル・ラスカーズ 1971年(仏)
7位 ハイツ・マーサズ・ヴィンヤード 1970年(米)
8位 クロ・デュ・ヴァル 1972年(米)
9位 マヤカマス 1971年(米)
10位フリーマーク・アビイ 1969年(米)


白のシャルドネ種対決も米国が1、3、4位と上位を席巻!
(1位はシャトー・モンテレーナでした)

これは驚きでした。


ボルドー、メドックなど名産地の5大シャトーと言われるCh.ムートンやCh.オー・ブリオン
にカリフォルニアワインのスタッグスリープが勝ってしまったのです。

その後の詳細はとて~も長くなりますので、こちら(クリック)をご覧ください。



リベンジが行われた10年後にはクロ・デュ・ヴァル 1972年(米)が1位になり、
30年後にはリッジ・モンテ・ベロ 1971年(米)が1位になりました。

ことごとく仏、ボルドーワインは負けました。



そして40年後の対決は行われずにいました。(もう古酒になってポテンシャルもなくなっている状態だから)

しかし今日、41年後に今一度、やってみようということで行われた、当時と同じ銘柄を集めての
ブラインド対決です。


結果・・・気になりますよね。





こちらです。



うちのTVはブラウン管画面ですのでこんな感じになりますが・・・読めますね。
いや、一応、読んでください。(赤字のワインがカリフォルニアです)

1位はかつての最下位、フリーマーク・アビイ 1969年(米)でした。
少なくともカリフォルニアワインはボルドーワインに劣らない品質があるということだけは
はっきりとわかります。



な~んでこんなことになったかと言いますとね、いくつか理由があります。


「その1 1970年代のボルドーは不安定な時期だったこと」
私も1970年もののボルドーはいくつか飲んでいますが、大したことないのが多いです。
ラフィットもマルゴーもオーゾンヌもてんでダメで情けないです。(もちろん美味しいワイン
だけど本来持つべきシャトーのポテンシャルはありません)
この場で登場したムートンやモンローズは良い方でしょう。
ボルドーが進化したのは80年代になってからです。(特に82は偉大です。86、89も良いものは良い)



「その2 熟成した姿は想像を超えることがあること」
かつての最下位が今、1位になれるというのは、誰も予想出来ないはずです。
未熟のブドウの風味がして青っぽくてダメだ、と思っていたワインが・・・いつの間にやら
美味しく熟成していた・・・なんてことも、往々にしてあります。人間が推し量ることの出来る
範囲、事象なんてちっぽけなんです。それがワインの世界。




「その3 古酒になると1本1本、状態が違うこと」
古酒の常ですが、良いボトル、悪いボトルなど1本1本がそれぞれに違ってきます。
ボトリングされた樽による違い、保存状態、コンディションによる違いなどがあります。
同じワインでも、違うボトルで行うと、違う結果が出る可能性は高いです。


等々ですが・・・、まあ、よくも同じヴィンテージのワインを集められたものです。
大変だったことでしょう。


このヴィンテージではなく、現代版の2010年以降で、世界選手権のブラインド大会でも
やってもらえたら、もっと盛り上がるかもしれませんね。
もちろん、1例の結果だけを鵜呑みにしてはいけません。そのことも同時に伝えなければならない
でしょう。


カベルネ種主体でスクリーミング・イーグルが勝つのか、他の品種ではどうなのか・・・。

でもよく考えると・・・各国の代表ワインを選ぶこと自体があまりに困難過ぎる。
近年は昔より質も向上していますので、すごく美味しいものばかりで、審査自体も困難です。

本当に私たちは素晴らしいワインに囲まれて幸せな環境のもとにいます。
でもそんな中、別の意味で、高級ワインばかり飲み続けること、これまた極めて困難ですよね。


コメント
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