20年ほど前、初めて北鎌倉の葉祥明美術館を訪れました。
その時の新鮮な感覚を今もはっきりと覚えています。
一件の洋館が美術館になっています。
葉祥明さんは、もちろんもっと前から知っていました。
のんびりした風景画が印象的で、
彼の絵が挿絵になった絵本なども持っていました。
その、初めて出かけた時の大変印象的な出会い。
それは一つの油絵と出会いでした。
たくさんのすてきな作品の中で、
色合いがかなりおとなしい、
さらに珍しい油絵。
わたしはその絵に釘付けになってしまいました。
その絵の題名は、
「ガリラヤの海」。
地面と水面と空と。
白、グレー、水色のグラデーション。
その絵のほぼ中央に、ひとりの人影。
その人影は本当に小さくて、
頭と白い服だけがわかります。
その人物が、ガリラヤ湖に向かって両手をあげています。
ななめ右上には、白いとりが・・・。
題名を見たときに、わたしはピンときました。
「イエス様だ!」と。
わたしの記憶では、部屋と部屋の間の壁に1枚、さらっとかけられていたような。
時間が経つのも忘れてそこで見入ってしまいました。
帰りにスタッフの方に、
「あの絵の絵葉書はないですか?」と
聞いたぐらいです。
もちろんありませんでした。
それから何回か、その絵を見たいがために美術館を訪れましたが、
残念ながら、その絵は飾ってありませんでした。
ある時、思い切って尋ねてみました。
「アートグラフを作ってもらえると書かれていますが、どんな絵でも大丈夫なんですか?」
「最近、飾ってない絵なんですけれど」
「どんな絵ですか?」
そう言って分厚い図録を取り出してきてくださったスタッフさん。
図録の中に、この絵を見つけ
「大丈夫ですよ。大きさはどれになさいますか?」との返事。
飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。
その絵のアートグラフ、
我が家のリビングに飾ってあります。
お値段はそこそこしますが、
葉祥明先生の直筆サインも入りますので、
もう十分な感じです。
朝、起きてリビングに入るたびに、目の前にこの絵が飛び込んできます。
何かとても厳かな気持ちになって、1日を始められるので、
思い切って買って良かったなと思っています。
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