どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

『悪童狩り』 (3)

2006-01-25 10:45:58 | 短編小説
 秋から冬へと、季節が泳ぐように空を渡っていく時期だから、家々の花木もひっそりと屋敷に納まって、なりを潜めている。  山茶花が咲くには、もう少しの冷え込みが必要だし、数馬の好きな太郎冠者の蕾も、まだ小さく固いままだった。  道すがら目にする時季遅れのサルビアには、風情というものがまるで感じられなくて、数馬の癇癪を誘発しそうになっていた。 「こんなものを、人さまが通る公道沿いに植えおって・・」  恥 . . . 本文を読む
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