どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (28)

2006-05-02 17:59:32 | 連載小説
 おれは、暴力で打ちのめされたものが、容易に立ち直れないことを知っていた。マインドコントロールなしには、ボクサーでさえ無理なはずだ。それが、恐怖というものだ。  だが、万が一ということもある。おれは、奴の目を覗き込みながら、耳に息がかかるほど口を近付けて、コトバを押し込んだのだった。 「おまえ、赤ちゃんプレーが好きらしいな」  奴の耳元で囁いた駄目押しの効果を、推し量った。切り札が、完全におれの手 . . . 本文を読む
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