どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (30)

2006-05-11 12:03:42 | 連載小説
 次の日も、その次の日も、連絡はとれなかった。  おれは、焦燥の真っ只中に置かれていても、たたら出版への出勤を止めることはなかった。  理由は判っていた。  一字、一字、写植の文字を打ち込んでいる瞬間だけは、苦しさを忘れていることができたからだ。  それでも、昼休みの休憩に入ると、おれは信号ひとつ分、九段下方向へ歩いて、雑貨屋の角にある電話ボックスまで、電話をかけに行った。  何度ダイアルを回して . . . 本文を読む
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