どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (31)

2006-05-15 02:22:21 | 連載小説
 翌朝、おれは、ふらつきながら家を出た。朦朧とした意識のなかで、たたら出版への執着がおれを衝き動かしていた。  会社に着くと、社長の多々良に、たちまち最悪の体調を見抜かれた。  誰が見ても憔悴した顔付きだったから、見抜かれたというより、気付いてもらうための出勤といってもよかった。 「いやあ、これはひどい」  多々良は、おれの額に手を当てて診断を下した。「・・すぐに、病院へ行ったほうがいい」  おれ . . . 本文を読む
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