どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (51)

2006-08-10 07:16:52 | 連載小説
 宿に入って、一眠りした。  おれも、だいぶ能登の空気に慣れたようだ。  能都で生まれ、七尾で育った人間が言うことではないが、懐かしさよりも緊張を強いられる旅だったから、いまになって、ほっとした気持ちになれたのかもしれなかった。  夕食に呼ばれるまで、一時間ほどの昼寝で、体にべったりと張り付いていた疲れが取れた。頭の中の霧状のふわふわしたものも、鼻や口から寝息とともに出ていったようだ。おれは、階下 . . . 本文を読む
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