どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

耳の穴のカナブン(2)

2006-11-10 00:13:17 | 連載小説
 待合室で心配するモトコに、トシオの診断結果がもたらされたのは、四十分ほど過ぎたころだった。 「お母さま、どうぞお入りください」  看護婦が、白衣の前で長い指を重ねるようにして、首を傾けた。 「いえ、わたしは母親では・・・・」  言い訳する暇もなく、診察室に招き入れられた。  診察台に半身の態勢で固定されたトシオの横に、白髪の老医師が坐っていた。モトコの方を振り向いた拍子に、頭に着けた反射鏡がきら . . . 本文を読む
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