どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

耳の穴のカナブン(3)

2006-11-14 00:55:42 | 連載小説
 奥様が亡くなったのは、お屋敷を取り巻く樹木の葉が、黄色や紅に色付き始めた十一月の初めだった。  坊ちゃまを産んで、なかなか出血が止まらず、入院が長引くうちにとうとうベッドから離れられなくなってしまったのだと、モトコは聞かされていた。  旦那様は、たまに見舞いに行っているらしかったが、坊ちゃまを奥様に近付けることは、それとなく避けているようすが窺えた。  あれは、坊ちゃまが三歳になった夏のことだっ . . . 本文を読む
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