どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の連載小説『<おれ>という獣への鎮魂歌』(21)

2023-08-09 00:01:02 | 連載小説
 その夜のカミナリは、いったん去ったかに見えたが、夜半になって再び舞い戻ってきた。まれにみる規模の界雷であった。 おれとミナコさんは、またも電燈を消して、夏掛け布団を頭からかぶった。 そうやって二人で作った暗がりに潜んでいると、誕生の秘密に出会えるような不思議な感覚に包まれる。 退行催眠とは、このようにして導かれるものかもしれないと、おれは思った。暗がりの質は違っても、被験者をその中に誘導 . . . 本文を読む
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