どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム115 『豌豆の夢はるか』

2015-12-11 00:35:44 | ポエム

 

     エンドウ

    (季節の花300)より

 

  

いつのことだったか

ツタンカーメンの墓から出てきたという

豌豆の末裔に出会ったことがある

 

血統が本物なら3000年以上

王家の谷に閉じ込められていた

不死身の種のはずだ 

 

栽培をしてみると

鞘が不気味なムラサキ色で

なにやら怨念を引き継いでいる気がした

 

ツタンカーメンは事故死だったのか

それとも別の原因で・・・・

推理は時間のトンネルを抜けたところで展開する

 

それに比べて今風のエンドウは

モダンで洒落てはいるが夢の入り込む余地がない

戦争も恐慌も知らない世代は花まで頼りない

 

勝手な言い方だと怒るかもしれないが

豌豆にまつわる伝説は魅力的じゃないか

その代わりエンドウには純白の心があるが・・・・

 

ツタンカーメンの話は単に噺のまくらと思えばいい

直売所ではあなたを待っている人も居る

ふっくらとした実をつけて稔りの夢を見させたらいい

 

晩春の畑の片隅で

何やらブツブツつぶやく農夫がいる

頭の中の豌豆もエンドウもどちらも可愛く美しい

  

 


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