中学生のころ
赤面症に悩まされていた
好きな女の子を思い浮かべると
そこにいないのに顔が火照ってくる
何かを見て何かを思う
なんでもないことなのに自分が怖い
きっと赤くなると思うと
本当に顔が熱くなるのだ
授業を受けていても
すべては上の空
このままでは道も歩けない
クスっと笑われそうで心が滅入る
どこかの窓から自分が見られている
向こうから来る人とすれ違うのも不安
意識過剰なのはわかっていても
心臓がドキドキするのを止められない
どれぐらいの期間悩んだのだろう
ある時電柱に貼られたビラを見た
<赤面症は治せます>の墨一色
電柱に巻かれた手作り広告にハッとした
赤面症で悩んでいる人は他にも居るんだ
そう思ったとたんに何かが変わった
どこかの診療所がアピールした文字が
身体の中で増殖していく
なんという鎮静効果だろう
ビラの文章だけで治ったんだ
電話をすることもなく症状は消えた
診療所は患者を一人失ったが・・・・
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