ウマノアシガタ
(城跡ほっつき歩記)より
パッカパッカパッカ
軍馬が教練場を走り抜ける
フィルムに映し出される八十年前の風景
掠れゆく歴史に残された馬のいななき
アオよ いざ行かん
可愛いお前とどこまでも一緒だ
異国の河は飛沫を上げてさえぎるが
補給の使命は命に代えてでも遂げるのだ
水辺の野営でまどろむのは誰だ
つかの間横たわって夢をむさぼるのは誰なのだ
横臥する軍馬に寄りかかる輜重兵か
それとも軍馬そのものか
月が高々と昇り万物の命を照らし出す
旺盛なジャングルの営みに比し
遠征者の息遣いのなんと希薄なことよ
目論見はいつも幻 空腹はいつも現実
ドドッ ドドッ ドドッ ドドッ
ウッドチップのコースを調教馬が走る
かつての軍馬生産牧場は今に生き永らえ
サラブレッドの育成に余念がないが・・・・
アオとの別れに涙した男が
柵にもたれて馬たちに視線を走らす
お前らの仲間が力尽きた泥濘の中の行軍は
慚愧の念とともに侵略の墓標となる
よみがえる戦時ニュースの映像
ウマノアシガタは記憶の襞に刻まれたか
蹄にくい込んだ小石は永遠に疼くか
アオの瞳に宿った星が夜空で流星となる
誰がつけたか知らないが、もう少しかわいらしい名前にしてあげても・・・ね。気の毒だ。
もっとも「イヌノフグリ」なんて名を賜ってしまった花もあるわけで、それに比べればまだましかもしれませんが。
詩は彼の戦争のむなしさがそこはかと伝わってきて身に染みました。
『アオの瞳に宿った星が夜空で流星になる』という最後の一行が、悠久の時のなかのちっぽけな人間の愛おしさを・・・
和名につきましては、根元の根生葉(切れ込みが目立つ三つ葉の形)が馬の蹄ににていることに由来しているといわれているようですが、図鑑類ではあまり似てはいないとする記述も目立ちます。
かくいう自分もあまり凝視したことはなく、その根生葉はまわりの藪の下草に隠れている場合が多いような気がします。
分類上はキンポウゲ属で同属にはキツネノボタン、ヒキノカサなどがありますが、残念ながらこれらは最近はあまり見かけなくなりました。
4月から5月にかけての時期で、低山・里山などの日当たりのよい野原に群生しているヒョロリとした印象の草丈数十センチメートル、花径2センチメートルほどの黄色の五弁花が咲いていればほぼ本種ということになります。
画像のものは標高約200メートルほどの埼玉県内の低山の山道脇にて撮影したものですが、やや古い画像のためピントが甘くなっておりますのでなにとぞご容赦を願います。
いつもご利用、ご紹介ありがとうございます。
塚越さんの解説ですと、どうやら葉っぱの形がすこし蹄に似ているので、ウアノアシガタの和名となったようですね。
先の大戦のように、見通しもなく始めてしまった戦争が、たくさんの人を苦しめたのみならず、最近は戦争をやめることの難しさがいろいろ言われております。
どんなに理性的な人間であっても、義憤を感じたとか、舐められるなとか、感情が動いてしまったら最後、コントロールが利かなくなるのではないでしょうか。
それに軍事パレードで見るような現代の兵器には、馬に対する感傷が入り込む余地はなさそうです。
ゲームの中の標的を打ち落とすような場面に、否応なく引き込まれる危険は避けるにこしたことはないですよね。
<血のかよった戦争>?・・・・あの悲惨な体験でさえ震え上がるような現代の戦争に、人の想像力はついて行けないのでしょうか。
コメントありがとうございました。
他のブログ画像の無断転用などという不祥事が起こっていますが、気をつけないといけませんね。
ところでウマノアシガタという和名は、どんな経緯で付けられたのか、なかなかのミステリーですね。
金鳳花属なら○○キンポウゲでよかったんじゃないかと思ったりして。
でも、投げ遣りな命名とか、奇をてらった命名とか、人間臭くていいですねえ。
まあ、個人的な好みですが、そういう名称に惹かれる時もありますから・・・・。
解説いつもありがとうございます。
これからも、よろしくお願い申し上げます。