我が家の片隅に田舎から採ってきた柏の木があります。若葉は柏餅に使うこの木、秋には紅葉し落葉するクヌギやナラなどの仲間ですが、それらと違いいつまでも枯葉を纏っているのが特徴です。ボロボロになっても枝先についているその姿は、やがて芽吹く若い後輩たちを厳しい寒さや北風から優しく守っているように見えます。しかし、そこここに春を訪れる時季を迎えると安心したかのようにその身を春風に委ね始めるのです。一つの交譲木の世界を見せてくれます。この枯れ葉が舞う季節は、卒業シーズンでもあります。
ついこの前誕生したと思える初孫が、早や小学校を卒業するという。
今年も柏葉が舞う時季を迎えました。交譲木の世界ではないが、私どもはこれまでの関わりを省みつつ、子や孫を始め次代を担う方々に何を伝え、何を譲って行かなければならないか今一度考えて見るのも大切なことではないでしょうか。彼らと関わる時の流れの速さに驚きつつ自省を込めてそう思うのですが、皆さんは如何ですか。
老人会の広報に投稿したエッセイ