5:30の朝食に起きると、日本人の母娘もいた。早朝から母親のごってりした厚化粧を見るのはなかなかつらい。朝食は自分で取るシステムでサーモン、ニシンがある。さらにサラミソーセージ、チーズ、パン、シリアル。こんなに立派なら、第一日目に寝坊して食いっぱぐれたのが実に惜しまれた。
宿の車で空港まで送ってもらう。宿のおばさんは「年々日本人旅行客が増えていて、同じ人が何度も来る。中には毎年、年に2回、季節ごとに来る人もいる」と言っていた。わかる気もする素晴らしいアイスランドの旅であった。飛行機はなんと7:45発。その他にも各地へのフライトがこの時間に集中しており、チェックインは大変混んでいる。9時を過ぎると飛行機は飛ばず、あとは午後4時以降である。離着陸は、朝夕だけというわけだ。なぜ昼間の時間帯にポッカリ飛ばないのだろうか、理解に苦しむ。
スコットランドのグラスゴーに到着、数時間街に滞在して、夕方の列車でニューカッスルに帰る予約をしてある。しかし日曜日で街にはあまり見るものもなく、つまらぬショッピングセンターをぶらついた。人の感じはアイスランド滞在のあとなので、いつもに増して悪く見えた。都会は雰囲気が悪い。
ニューカッスルと違ってパブも少ない。通りごとに何件もあるのに慣れてしまっているせいだ。昼食も、しばらくさまよい歩いた後に地獄の消去法で、しかたなく例の柔らかいパスタを食べる。高くてうまくない。しかたあるまい、ここはスコットランドである。一軒シーフードの店を見かけたが、べらぼうに高かった。
寝不足に加えて早朝からの旅で、さらにグラスゴーで不愉快な数時間をあてどもなく過ごしたのですっかり疲れ、ニューカッスルを眠って通り越さないかと少々心配しながらの列車の帰途についたのであった。
短い旅行であったにもかかわらず、自分のアパートがなつかしく感じられる。友人にささやかな土産を渡す。ふるさとの日本には箱に詰めて送り出す。自分のこころが住む場所が複数であり、それを選択しながら生きていることを実感する。
今でもゲストハウス・オーロラのおばさんはあの宿で客を迎え、アイスランドの青年は映画を楽しみ、フランス人青年は国で車を飛ばし、氷河を流れる滝は轟音をたてていることだろう。夜空にはついに見ることのできなかったオーロラが、光のカーテンをたなびかせていることだろうか。
*このアイスランド旅行は2003年のことでした。その後金融危機が起こり、アイスランドは国家的破産の状況に追い込まれてしまいました。さらにこの間は火山の噴火もありましたね。応援に行きたいな^^ そしてオーロラも見てみたい…(^益^)w