さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

ロンドン・パリの深夜バス その1

2011年02月24日 | 英国

寒い思い出シリーズを続けます。

 
それは3月のロンドン旅行を終えて、パリへ向うときのことでした。その頃はまだロンドン・パリ間を長い海底トンネルでつなげる列車ユーロスターがなく、あったとしてもわたしの懐には十分なお札が入っていませんでした。従ってドーバー海峡を渡るもっとも安い移動手段は、バスとフェリーを乗り継ぐというものでした。たしか数千円ほどだったと思います。昼と夜の時間が選べましたが、夜に移動すればホテル代が一泊ぶん浮くこと、また朝にパリに到着すれば、そのまま見物に一日が使えると考え、深夜にロンドンを出発し、朝にパリに着くという便を使うことにしたのでした。

 バスが出るのはヴィクトリア・コーチステーション。ここからはヨーロッパ主要都市への長距離バスが出てゆくので、まるで大きな港の雰囲気が漂っています。冬のロンドンは極端に日が短いので、深夜バスともなれば侘しさも増すというもの。1ヶ月ほど滞在した英国を離れる寂しさも加わって、寒さが体の芯まで見にしみる。

 手続きを済ませて出発を待つまでの間、イギリス最後の食事には、すぐ横にあったフィッシュ&チップスの店を選ぶ。この国のなごりを惜しむのには最適と言えましょう。引き寄せられるように、外の薄暗さと対照的な、照明が明るい場所に入ってゆく。殺風景な所なのに、まぶしさに一瞬目が眩む。

 テーブルにつき注文をすると、深夜なのでがらんとした静かな店内に調理の音が聞こえ出す。店員が魚を取り出して衣をつけ始めた。それが尾頭つきの30cm以上はありそうな立派な魚。まさかあれをまるごと一匹なのかと思ったら、店員はそいつをそのまま油に放り込んだ。ピチピチという揚げ物を作る音がする。ラグビーボールを押しつぶしたようなまるごと一匹。

 しばらくすると、白い衣に包まれていた魚は、すっかり茶色に変身して大皿に乗せられた。それに揚げたジャガイモ、すなわちチップスをスコップでザッザッと乗せる。子どもが砂場で使うようなあのスコップで何杯もですよ。冗談でなく、揚げたじゃがいも洗面器一杯ぶん。テーブルに到着した瞬間に、こいつはどこまで食べられるのか、と唖然とするほかはなかった。

 あつあつに揚がった魚に塩をふりかけ、さらにヴィネガー(醸造酢)をたっぷりとふりかける。フォークでざくっと身をほぐすと、湯気が立ち昇り香ばしいにおいが一杯にひろがる。ヴィネガーでしめらせた衣は、まだクリスピーな歯ごたえが残っているうちに急いで食べなければならない。

 そう、天丼を食べるときには、揚げたての天麩羅にタレをかけたら、すぐさまザクザクとかじらなければならない。見る間にふやけてきてしまう。ベタッとなった衣の天麩羅ほどまずいものはない。肉団子や鳥のから揚げにあんかけをからませるときもそうだ。揚げてからませたらすぐ!味が滲みているのにザクザクという歯ごたえの素晴らしさよ!!!できることなら、天麩羅も肉団子も、鳥のから揚げもひとつずつ揚げてひとつずつタレにからませ、ひとつずつ食べてみたいものだ。それこそ究極の贅沢か?

 というわけで、F&Cの大食い&早食い選手権ときたもんだ。もちろん魚優先。たまにじゃがいも。この量ではじゃがいもを残すのはいたしかたないが、礼儀上かなり減ったな、というところまでは片づけたい気がする。せっせ、せっせとはふはふはふ・・・。

*すみません、いまコレを書いているのは午前3時。ハラ減ってます。つい話が横にそれ、「寒いシリーズ」ではなくなりましたね。つづきは待て次号。 (^益^)b