築半世紀を経た千里山団地の建て替えのため、至る所で取り壊し工事の最中ですが、最初に取りかかっていた駅周辺の建物が終了し更地になっています。駐輪場広場の道から駅の三角屋根が見慣れぬ風景となって現れました。
これから続いて多くの建物が無くなり、虹ヶ丘・霧が丘・星ヶ丘・月が丘と呼ばれるように、暫くは千里山らしい丘状の地形がそのまま感じられることになるでしょう。数年後には新しい団地や民間マンションが建ち並びますので、この開放的な風景はまた見納めになります。
今回の建て替え工事に応じて、住民に馴染まれた桜並木や松や生け垣の灌木がほとんど切り倒されてしまいましたが、中にはシンボル・ツリー的に残される大きな木もあるようです。阪急千里山マーケットの側にあるヤシや楠木も残されると聞いています。桜並木も枝を払われた痛々しい姿ですが少し残されています。新たに植えられる苗木も生長するまでには長い年月が掛かることでしょう。
千里山団地は半世紀も過ぎる間に、その緑彩が「里山」ならぬ「街山」と言えるほどに自然に馴染んだものとなっていました。野鳥や虫達の棲み家ともなり多くの生命を育んでもいました。たとえ都市計画でどんなに快適そうに設計しても、年月が醸し出すその味わいには遠く及ばないと想います。昔の団地設計の考え方が現代のものよりも、(公共)空間に余裕を持っていたという面もあるでしょうが、人工的に造られた緑でも年月と共に「街山」となる貴重なサンプルだったと思います。