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さよなら! SONY

2012-02-22 00:01:22 | Weblog

 僕らの世代はウォークマンに新しい音楽体験をさせて貰ったり、トリニトロン・平面ブラウン管カラーテレビそしてプレイステーションなど、世界初や最先端AV技術・クリエイティブなエレクトロニクス・エンターテイメントを享受しながら半生を送ってきました。だから最近よく聞く「さよなら! SONY」という声には寂しいという他ありません。
 でもそうした現実は『さよなら!僕らのソニー』という新書や、週刊ダイヤモンドの特集「さよなら!伝説のソニー なぜアップルになれなかったのか」を読んでみて、より納得せざるを得ない状況になっているのを感じます。
 自分自身もデザインという立場でいろいろな商品開発に携わり、ユーザー啓蒙の必要な全く新しい商品カテゴリー開発と、ボリューム・ゾーンで売り上げを稼ぐことのできる既存商品との葛藤や、また規模の小さなベンチャー企業のアクティビティーとは異なる、企業規模が大きく成長する中での安定した経営手法など、実際に商品開発に臨むクライアント担当者の傍に寄り添いその難しさを共に感じてきました。
 ソニーは「業界のモルモット」と言われるように常に他社に無い新しい実験的な商品価値を求められ、それに応え続けてくる中でいつしかそのシンプルな使命が果たせないジレンマと閉塞感に苦しんでいたように見えます。しかも21世紀に入りコンテンツやネットワークのビジネスモデルに重きを置くCEO(出井・ストリンガー体制)が続いたことにより、魅力的なエレクトロニクス製品(ハード)の開発が疎かになっていったことが指摘されています。またアメリカ的な経営手法の導入の結果として目先の利益が優先され、中長期的な視野で企業を導くビジョンが構築できなかったことも上げられています。
 長年のSONYウォッチャーの著者は新書の最終章で現在のグローバル企業ソニーの体制に、新たな画期的な製品を期待するのは不可能だと述べています。これまでに感謝して「僕らのソニーにさよなら」を言おうと‥‥。
 さて、今朝のNHKニュースを見ていたら、就職活動についての新しい試みが幾つか紹介されていました。その中にソニーの「“シューカツ”のルールを変えます。スーツで来なくてもいい、罠じゃありません」というものがありました。「シューカツ=スーツ」といった画一的な発想ではなく、新しい価値を考え出すことのできる人材を求めてということでした。やはりこれからのソニーそして日本エレクトロニクス・メーカーの巻き返しに期待したいものです。

 さよなら!僕らのソニー (文春新書)
 立石泰明
 文藝春秋

 週刊 ダイヤモンド 2012年 2/4号 [雑誌]
 クリエーター情報なし
 ダイヤモンド社