一昨日の昼下がりに余り通り慣れない道を帰ってきていると、何処からか仄かに良い香りが漂ってきているのに気付きました。記憶にある春の季語にもなっている沈丁花の香りでしたが、直ぐにはその発信源を突き止められずに路地の中へ入ってようやくその一群を見つけました。
千里山では団地や住宅の庭木として四季の花がたくさん見られますが、その中でも梅雨の梔子(クチナシ)や秋の金木犀(キンモクセイ)が良く香りを放ち、この時期には沈丁花も人気で通行人を楽しませてくれます。
千里山を特徴づけている桜の花はあくまで愛(目)でるもので、鼻を近づけても殆ど匂いを感じることはありません。一方、香りを発する花はどちらかと言えば小さな花房で、色も白などを基調にして地味な部類になるようです。「天は二物を与えず」と言いますが、それぞれの花達に一つずつの特化した個性を与えてその長所を伸ばしているのは、もちろん昆虫などの受粉を促す方便だとはいえ本当に自然は良くできていると想います。
日本中が桜の開花(大阪の予想は4月2日)を待つ華やいだ季節の蔭で、ひっそりと良い香りを主張している控えめな沈丁花を僕はとても好きです。
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