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今夕のテレビ大阪の「
日高善樹のワシントン・リポート」では、元アメリカ国務長官のキッシンジャー博士への新春スペシャル・インタビューが放送されていました。そこでは原油価格の激しい低下や人口の減少などにより、ロシア(経済)が再び破産し崩壊に向かいつつあるという懸念や脅威、また2009年にはこれまでの国家維持が難しくなることが予測される北朝鮮のことなどが述べられていました。
このように識者それぞれにいろいろな考え方や予測があるものだと思いますが、一方『
チャイナ・インパクト』により中国経済の隆盛と、持論の道州制や地域国家論に基づくその将来像を分析し示した大前研一さんの、最新刊『ロシア・ショック』はこれまでどちらかと言えば親しみの薄い新興経済国ロシアの現況と、今後の日本の外交および経済戦略にとっての重要性を指摘しています。
冒頭で先ずロシアにおける日本や日本製品への高い人気に触れられており、北方領土問題やプーチン大統領の強権的リーダーシップのイメージから、どちらかといえばロシアに対して冷淡な日本人とのギャップが面白いと思い、その無関心が自分の中でどんどん変化していくのが感じられるとても魅力的な本でした。
ロシアは石油や天然ガスといった資源大国であるだけでなく、基礎的な科学技術やIT分野とそれを支えている高い教育・人材が挙げられ、中国やインド・ブラジルなど他の新興国とは違うポテンシャルを感じます。ただ、ソ連時代からの官僚政治や汚職など、旧態依然とした体制の制約も相当に根強く、その辺りの改革が途上国的なプーチン強権政治でどれだけ大胆に進められるかというところのようです。
また著者は2020年にはロシアがEU経済圏に属しているという、大胆でユニークな国際情勢を予測しています。分離独立紛争やパイプライン・ルートの問題のなどで、EUと対立構図にある現状を見るだけでは信じ難い真実を見ているような気がします。いずれにしても日本や日本経済にとって、非常に重要な存在になるように思いました。