続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『ガラスの鍵』

2016-01-08 06:23:02 | 美術ノート

 『ガラスの鍵』
 超自然、奇跡の光景である。もし、高山の稜線に巨岩石が鎮座する景色を目撃したなら、卒倒するような衝撃を覚えるに違いない。

 落下を予期し、落下する衝撃を想像するからである。
 「なぜ?」を問う。
 この光景を受け入れるためには、《神秘≒神》を介在させる必要があるかもしれない。有り得ない現象をあり得ると認識するためには、蓄積されたデーター、つまり観念を打ち消さねばならない。
 否定の上の肯定である。

 物理的に非合理な現象も、精神的には許されている。この狭間に存在するものは見えない。見えないことによって在ると換言してもいいかもしれない。

 この山の上に置かれた巨岩石には《力/エネルギー》が潜んでいるので、暴力的なまでの落下の想像は見る人を震撼とさせる。怖れに拮抗する懇願、人智を超越した祈りの領域が見る者を支配する。

 この驚愕の光景は現実離れしている、故に現実ではない可能性が高い。この光景は想像の産物であれば、世界は遮断されている。この光景の扉を開けるのは見えない鍵である。


 マグリットの至高の神秘(祈り)を開ける鍵は、シンデレラのガラスの靴のように、ぴったり合致するものは時に見えないガラスの鍵、唯一思考の精神的な鍵だけである。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』191。

2016-01-08 06:13:40 | 宮沢賢治

ジョバンニは、なにか大へんさびしいやうなかなしいやうな気がして、だまって正面の時計を見てゐましたら、ずうっと前の方で硝子の笛のやうなものが鳴りました。


☆題(テーマ)の記は、傷(悲しみ)を免れる慈(いつくしみ)である。
  啓(人の眼を開いて理解させる)を現わす全ての法(神仏の教え)は、照(あまねく光があたる=平等)の詞(ことば)であり、的(ねらい)を明らかにするものである。


『城』2196。

2016-01-08 06:03:03 | カフカ覚書

「なるほど」と、Kは言った。「バルナバスは、命令をもらうまでに、長いあいだ待たされるんですね。それは、わからないことでもありませんよ。どうやらどうやら当地には掃いてすてるほど使用人がいるようですからね。


☆「なるほど」と、Kは言った。バルナバス(生死の転換点)は命令を受けるまで長く待たされます。ここ(来世)ではおびただしい数の被用者がいるようですからね。