続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『Ⅰ-2-2 中に犬・飛び方』

2016-01-19 06:43:36 | 美術ノート

 『中に犬・飛び方』って何のことだろう。何の中なのだろう。作品には補助の4本の支柱が立っているけれど、むろんそんなことを言っているのではない。
 
 中・・・大気/空中に犬が飛び上がっても、継続は不能である。飛び続ける機能を持たないものが空中にその存在を預けるという想定の一瞬を切り取り作品化する。いわば無謀な試みといってもいいかもしれない。

 若林奮の作品は並べて不安定な状態、静止あるいは継続が困難な刹那を提示している。そのことに拠って本質を垣間見せるという逆の発想を含んでいる。

 犬の飛び方…犬が飛ぶには全身の神経を集中させ、歩行に要するエネルギーを遥かに超える力を放出しなければならない(犬の上に見える大きな泡状の形体がエネルギー量を暗示している)。
 同時に犬には相応の重力がのしかかるはずである(犬に付随している鉄の錘)。この錘に等しい(あるいは超える)エネルギー量があって初めて犬は飛べるのである。


 犬が飛ぶ、その飛び方におけるエネルギーの試算であり、存在というものがいかに圧力をかけられたものであるのか、そして飛ぶ(自由)というものがいかに反発のエネルギーを要するかの提示である。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』202。

2016-01-19 06:34:10 | 宮沢賢治

「をかしいも不審もありませんや。そら。」その男は立って、網棚から包みをおろして、手ばやくくるくると解きました。
「さあ、ごらんなさい。いまとって来たばかりです。」


☆普く新しい談(はなし)である。
  慄(恐れおののく)亡(死ぬこと)の訪れに、法(仏の教え)が趣(志すところ)の戒(いましめ)の記である。


『城』2207。

2016-01-19 06:22:36 | カフカ覚書

さて、それから、バルナバスは、家へ帰ってきます。息を切らせて、やっとのことで手に入れた手紙をシャツの下の肌身に巻きつけて帰ってくるのです。それから、わたしたちは、いまみたいにこの長椅子に腰をおろします。彼が説明してくれます。


☆さて、それから、バルナバス(生死の転換点)は一族のもとに出現します。結局、手紙を手に入れ、故郷に帰って来るのです。そして、わたし達の先祖の不安を調べて説明してくれます