『出現』
暗緑色の混沌の中に、チェーン状の赤・白緑のダイヤ模様に囲まれた0、および0が分解し暗緑色の空間に融解したような図が描かれている。
これを『出現』と題している。
出現とは無かったものが現れる現象をいう。
ダイヤの連鎖で囲まれたものが出現したと考えがちであるが、出現したのは暗緑色の空間かもしれない。
ダイヤの連鎖で囲まれた中は漆黒である。それを無と考えると、無から有(暗緑色に暗示される混沌)が生じたことになる。ダイヤの赤・白・緑は光の分解を暗示しているのかもしれない。
つまりは始まりである。
無から有を生じた『出現』は宇宙の始まりを秘かにも提示したのではないか。
混沌が無(ゼロ)の発見を促したのではなく、無が混沌を『出現』させたのである。
通常作品の中央にある対象物を主題と考えがちであるが、この場合、奥にある暗緑色で示された混沌の時空こそが、主題の本意ではないかと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「なにがしあはせかわからないのです。ほんたうにどんなにつらいことでもそれがたゞしいみちを進む中でのできごとなら峠の上り下りもみんなほんたうの幸福に近づく一あしづつですから。」
☆真(まこと)の誅(罪を責め咎める)の峠は、常に仮の講(はなし)である。
複 (二つ)を混ぜて、逸(隠している)。
もちろん、そのころはもう恐ろしいような騒がしさで、いつもの祭典のときの比ではありません。と言いますのは、お城は、消防団にポンプのほかに数本のトランペットをも寄贈したからです。
☆明らかに恐ろしい空間でいつものようではありませんでした。死の激しい抵抗に、先祖は大声で話すことを免じたのです。