続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『占い』

2016-05-26 07:11:19 | 美術ノート
 『占い』
 地上には巨大な鼻が鎮座しており、背後には一葉が樹を模して立っている。海と曇天、手前の石造りの開口部は人知(文明)を暗示している。

 曇天からの雲行きが、晴天になるのか雨風嵐を呼ぶかは心理的には想定不可であり、証明の範疇にはない。
 第一、まるで個体化した存在物のような鼻などというものは、自然界にはあり得ない現象である。
 占いは人の運勢やその吉凶を予想するものであり、知りたいことのベストワンかもしれない。起こり得るかもしれない確率を経験値から推論していく、手掛かりは宇宙や自然の動向などによることが多く、データーの集積は必須だと聞く。
 この作品に見る鼻は臭覚を暗示するが、占いとの関連は希薄である。その背後の一葉も虚偽の想像であれば、『占い』と称したこの景は『占い』を否定するものなのだろうか。

 (鼻で笑う)という表現があるが、巨大化された鼻は威風堂々の存在感を示している。
 しかし、このあり得ない景を提示して『占い』と表題する。
 《あり得ない景=占い》であると。

 ひょっとしたら、ここで言いたいのは、その占いめいた言動が世間(社会)を動かしているのではないかという疑惑と恐れではないか。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)

『銀河鉄道の夜』322。

2016-05-26 06:31:00 | 宮沢賢治

 青年はぞくっとしてからだをふるふやうにしました。
 だまってその譜を聞いてゐると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蠟のやうな露が太陽の面を擦めて行くやうに思われました。


☆照(あまねく光が当たる=平等)の念(思い)普く問い考え、録(文字に書き記す)冥(死後の世界)也。
 言(言葉)による私記で仏(死人・霊)を吐く(言う)。
 朧(ぼんやりとかすんで)露(あらわれる)他意がある。
 庸(一定不変)の綿(細く長く続く)冊(書付)の講(はなし)を試みている。


『城』2327。

2016-05-26 06:18:38 | カフカ覚書

アマーリアを知らない人がこの手紙だけを読んだら、こんな手紙を男からもらうような娘は、よしんば男に一指もふれられていないとしても、ふしだらな娘だと考えてしまうにちがいないでしょう。


☆アマーリア(マリア/伝説)を知らなくて、ただこの書き物を読んだならば、冒険的な記述で名誉を奪うような娘ではないので、そういう運命になったことを、全く言及すべきではありません。