『占い』
地上には巨大な鼻が鎮座しており、背後には一葉が樹を模して立っている。海と曇天、手前の石造りの開口部は人知(文明)を暗示している。
曇天からの雲行きが、晴天になるのか雨風嵐を呼ぶかは心理的には想定不可であり、証明の範疇にはない。
第一、まるで個体化した存在物のような鼻などというものは、自然界にはあり得ない現象である。
占いは人の運勢やその吉凶を予想するものであり、知りたいことのベストワンかもしれない。起こり得るかもしれない確率を経験値から推論していく、手掛かりは宇宙や自然の動向などによることが多く、データーの集積は必須だと聞く。
この作品に見る鼻は臭覚を暗示するが、占いとの関連は希薄である。その背後の一葉も虚偽の想像であれば、『占い』と称したこの景は『占い』を否定するものなのだろうか。
(鼻で笑う)という表現があるが、巨大化された鼻は威風堂々の存在感を示している。
しかし、このあり得ない景を提示して『占い』と表題する。
《あり得ない景=占い》であると。
ひょっとしたら、ここで言いたいのは、その占いめいた言動が世間(社会)を動かしているのではないかという疑惑と恐れではないか。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
地上には巨大な鼻が鎮座しており、背後には一葉が樹を模して立っている。海と曇天、手前の石造りの開口部は人知(文明)を暗示している。
曇天からの雲行きが、晴天になるのか雨風嵐を呼ぶかは心理的には想定不可であり、証明の範疇にはない。
第一、まるで個体化した存在物のような鼻などというものは、自然界にはあり得ない現象である。
占いは人の運勢やその吉凶を予想するものであり、知りたいことのベストワンかもしれない。起こり得るかもしれない確率を経験値から推論していく、手掛かりは宇宙や自然の動向などによることが多く、データーの集積は必須だと聞く。
この作品に見る鼻は臭覚を暗示するが、占いとの関連は希薄である。その背後の一葉も虚偽の想像であれば、『占い』と称したこの景は『占い』を否定するものなのだろうか。
(鼻で笑う)という表現があるが、巨大化された鼻は威風堂々の存在感を示している。
しかし、このあり得ない景を提示して『占い』と表題する。
《あり得ない景=占い》であると。
ひょっとしたら、ここで言いたいのは、その占いめいた言動が世間(社会)を動かしているのではないかという疑惑と恐れではないか。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)