『禁じられた書物』
禁じられた書物、この絵の中に少なくとも書物(文献)は描かれていない。禁じられた(許されない)というのはどういうことだろう。
部屋の一隅に飾り階段がある。階段を登り切っても出入り口はない、いわば無用の階段である。床には一本の指(人差し指)が Ireneの文字と共にあり、指のうえには例の鈴が浮いている。
鈴は言葉(主張・意義・伝説・流言etc)を、指は人差し指であることから〈ズバリ指摘〉をそれぞれ暗示している。
階段は目的へたどり着くための手段であるが、肝心の出口がない。目的のないエネルギー消費、無為な情熱を揶揄している。
Irene・・・個人名を挙げるのは忍びない、決して解き明かすことは許されない秘密の吐露である。
あなたの燃えるような情熱、その多くの発言は賢明・明晰に見えるが、成果を持たない駄弁に過ぎない。指摘の指はそれだけでは存在を保てず、いずれ空しく倒壊してしまう。
あなたの力強い指摘である発言は、漠とした空しい部屋に酷似してはいないだろうか。
しかし、この書き物を解読することは決して許さず、禁じるものである。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延びてますから。」青年はとりなすやうに云ひました。
☆等(平等)の望みを掩(隠し)、照(平等)の念(思い)を運(めぐらせている)。
やがてわたしは、またベットにもぐりこんで、尻切れトンボになっている手紙の結び文句ー〈だから、すぐ来てもらたい。さもないと・・・!〉という文句を何度もくりかえしていました。
☆わたしは再び隠れて祈りました。再三の終末(死)の推論の命題を砕く、〈だから、すぐに来てもらいたい〉とくりかえしていました。