続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『夏』

2016-05-23 06:37:21 | 美術ノート

 『夏』
 なぜ夏なのか、確かに積雲は夏に多く見られる雲の形ではあるけれど、夏に限ったものではない。
 集合住宅のビルの窓々は閉じられカーテンも引かれている、夏(猛暑)を感じさせる景が描かれていないにもかかわらず『夏』という命名。そして、象徴である旗が、青空に散在する雲(積雲)であることも奇妙である。

 数多の窓には相応の人の存在があるはずであるが、閉じられた窓からはその気配を感じない。不在、あるいは沈黙だろうか。

 旗に象徴される変幻の雲は自由にその様相を変える、予想の付かない雲の行方。
 窓と窓が近いということは窮屈な個別空間を思わせる。
 夏は開放的な季節であるにもかかわらず、閉鎖的な空気が漂っている。
 
 旗は人々の想いの象徴であるとするならば、夏雲に見る自由を掲げたのではないか。
 画一的、同質化された状況、社会的制約などの息苦しさからの解放を希求した旗印こそが、等しく象徴される夏の解放感だったのだと思う。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』319。

2016-05-23 06:13:24 | 宮沢賢治

また折角剥いたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜きのやうな形になって床へ落ちるまでの間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした。


☆説(はなし)を拡げると、魄の非を罰する景がある。
 章(文章)の絡(つながり)は、換(入れ替えること)で、解かる。
 講(はなし)の常は法(仏の教え)である。 


『城』2324。

2016-05-23 06:02:55 | カフカ覚書

「手紙にはどういうことが書いてあったのですか」
「ええ、それをまだ申しあげていませんでしたわね。手紙は、ソルティーニから来たもので、ざくろ石のネックレスをしていた娘さんにというあて名になっていました。


☆「書き物にはどういうことが書いてあったんですか」と、Kはたずねた。
 「ええ、わたしはまだはあしていませんね」と、オルガは言った。「書き物はソルティーニから来たもので、不機嫌な恐ろしい縁の娘さんにというあて名になっていました。