車中風景(1)
江嵜企画代表・Ken
JR東西線の北新地から久しぶりに乗る機会があった。乗るなり描き始めたが、途中、尼崎まで席にいた客は右から二人目の神士だけだった。たまたまだったのか。予想外に短距離乗車が多いのか。これだけでは不明であろう。
5人の内、携帯に目をくれている人が二人。昔、キツネ目の男が有名になったが、右端の男は、眼が吊り上っていた。
携帯だろうがテレビ画面を追いかけているひとが一人いた。誤解を恐れず言えば、風貌からして役所勤めの人に見えた。あとは本を読んでいる人が一人、何もせずうつむき加減の年ころ20歳前後のご婦人がいた。
5人に共通しているのは何か。皆がカバンを膝の上に抱えていたことだ。網棚には置かないことで徹底している。震災の時網棚にかばんを置いたまま眠り込んでしまい手痛いミスを犯した。警察に届けたが出て来なかった。膝の上に置くのが一番合理的であることを教えている。
別の日、JR神戸線で自宅最寄駅の住吉で乗り、目の前の客人をスケッチした。住吉の次の駅は六甲道であるが、着くまでの約3分間が勝負となる。描き損じ無しだからそれなりに難しい。
専門の美術学校では1分、3分、5分など時間を切ってスケッチの訓練をするという話を聞いたことがある。日本画は専門に現在勉強しているが、スケッチは、近くの水彩画家の吉岡先生に鉛筆デッサンを一年教えていただいただけだ。文字通り俄流である。
人であれ、景色であれ、花であれ、見たままをスケッチする。面と向かって描いているとなにかとお互いきづまりなことも多い。結構気を使いながら、車中風景のスケッチを楽しんでいる次第である。(了)
車中風景(2)
江嵜企画代表・Ken