★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

野球と女と酒と

2017-03-14 23:13:21 | 漫画など


この前、「メジャー」というNHKでやってたアニメーションの劇場版がテレビでやってたから録画しておいた。今日、ご飯を食べながら観てみた。

この「メジャー」という漫画、全く読んだことも観たこともなかったのであるが、なぜかというと、妙に写実的に野球が描かれているような気がしたからだ。野球は荒唐無稽な人情劇がよいので…。我々には、「がんばれベアーズ」のような絶妙なリアルな作品をつくる文化はないからだ。「メジャー」という題名も、「アストロ球団」に比べればもはやほとんど何を言っているのかわからない。

で、観てみたのだが、どうやら、昔ながらの野球漫画を踏襲したものであるようだ。まず、主人公が若い頃から不幸の固まり(孤児)、友達がいいやつ、野球は一人でやるもんじゃないといいながら主人公だけが天才、火事場の馬鹿力→故障、右手がだめなら左手、投手がだめならバッター(消去法方式)。弱小チームがなんだか全国大会に。魔球みたいなものあり。

昔「タッチ」という作品があって、これがまた、主人公を不幸にするだけではオサマらず、三角関係と殺人まで持ち込んで、野球を描かなくても野球漫画というポストモダンをやらかした後は、たいした野球漫画がなかった気がする。(よく知らんけど)

この「メジャー」では、女関係がどうなってるのか知らないが、主人公の性格からして、女より野球を取るタイプに違いない。しかし――最後、もう腕の感覚がないのに、最後のバッターに向かっていく主人公だが、バックネットから彼に惚れている女子が「ゴロークーン」と叫んだ瞬間に彼は全力投球=腕がぼきり。彼の右腕は再起不能に。どうみてもこの女子のせいである。

「タッチ」でもたっちゃんとかなにちゃんとかの男子二人の人生をめちゃくちゃにした魔性の女(確かみなみちゃん)がいた。「ドカベン」では岩鬼という人物が時々主人公より活躍するのは、なつこはんという女子がいたからで、物語の必然として、弁証法的に主人公のドカベンは更に天才ということになり、更にその妹はどうみてもかわいくないのに里中という美少年と結婚(したんだよな?)、童貞のドカベンは三冠王という、まさに否定的媒介としての女の存在は…

以前「あぶさん」という酒の方が野球より好きという漫画を読んだことがあるが、案外幸福な結婚をしているのであった。「メジャー」はどうやらそんな感じで、wikipediaには二児の父となっていると書いてあった。で、「メジャー」において「酒」に相当するものは何かなのであるが、どうもわからない。

「アストロ球団」なら「革命」とかなのであろうが、「メジャー」の場合、もしかしたら、マリファナでは…とは思ったが、そんなことはないであろう。とすると、彼は家族と野球だけで自分を維持しているのであろうか。彼の過労死を当該作品のファンは全力で防がなくてはならない。