★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

森毅氏のご冥福をお祈りいたしますです

2010-07-25 23:38:15 | 文学
普段は見慣れないニュースを見ていたら、「森毅氏死去」とでた。

特別、森氏に思い入れがあるわけではないが、大学の時に『ゆきあたりばったり文学談義』を読んで、数学者が自分より小説を読んでいることに非常にショックを受けたことを覚えている。ちょっとわけあって、数日前にもめくってみたのだが、エレンスト・トラーやオスカー・ベッカーを話題に出している。大正末期から戦中の文学の研究をしている私は、こういう名前に出会うと、旧友に会ったような心持ちになる。だいたい、私は、戦後の『1946・文学的考察』にすら「まったく今時の若い連中は……」という印象を持つからなあ、大江とか村上とか若すぎてほとんど異星人である。

森氏は料理中に大やけどして入院していたそうだが、心情的には焼身自殺だったかもしれないよ……、あまりに時代が旧制高校のそれとはかけ離れてしまったので。飄々と軽妙なことを書く人にこそ内面を見出したいのが、私のような昔ながらの文学青年の癖である。でも、真面目な話、太宰治の「道化の華」が好きだと書いている森氏の内面を侮ってはならぬ、のではなかろうか。

「天漢日乗」(http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/)さんによると、

「森毅先生の答案は
 適当な時期までに研究室へ提出
 であり、
 締切はぼくが適当に決める」

だったらしい。

これは使える!後期の授業のシラバスにそう書いてみようか……。


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