「火のついた家の中で、それと知らず、室内の装飾をあれこれ工夫し、高級な家具調度品をそろえるのにやっきとなり、健康増進のため、さまざまな器具を買って体操し、もっと豊かな生活を、もっと人間らしい生活を、もっと長生きをと願っている人間の姿を想像します。
そうする間に火はどんどん燃えさかってゆきます。早く、急いで、今すぐまず火を消し止めなければ、家が燃えてしまえば何もかもなくなり、逃げ遅れて焼死すれば、今までのことがいったい何になるでしょう。」
<shapetype id="_x0000_t202" path="m,l,21600r21600,l21600,xe" o:spt="202" coordsize="21600,21600"></shapetype><stroke joinstyle="miter"></stroke><path o:connecttype="rect" gradientshapeok="t"></path><shape id="_x0000_s1026" stroked="f" wrapcoords="-116 0 -116 21513 21600 21513 21600 0 -116 0" type="#_x0000_t202" style="Z-INDEX: -1; POSITION: absolute; TEXT-ALIGN: left; MARGIN-TOP: 216.3pt; WIDTH: 139.95pt; HEIGHT: 196.4pt; MARGIN-LEFT: -61.8pt; LEFT: 0px; mso-wrap-style: none"></shape><textbox inset="5.85pt,.7pt,5.85pt,.7pt" style="mso-next-textbox: #_x0000_s1026; mso-fit-shape-to-text: t"></textbox>
<shapetype id="_x0000_t75" path="m@4@5l@4@11@9@11@9@5xe" o:spt="75" coordsize="21600,21600" stroked="f" filled="f" o:preferrelative="t"></shapetype><stroke joinstyle="miter"></stroke><formulas></formulas><f eqn="if lineDrawn pixelLineWidth 0"></f><f eqn="sum @0 1 0"></f><f eqn="sum 0 0 @1"></f><f eqn="prod @2 1 2"></f><f eqn="prod @3 21600 pixelWidth"></f><f eqn="prod @3 21600 pixelHeight"></f><f eqn="sum @0 0 1"></f><f eqn="prod @6 1 2"></f><f eqn="prod @7 21600 pixelWidth"></f><f eqn="sum @8 21600 0"></f><f eqn="prod @7 21600 pixelHeight"></f><f eqn="sum @10 21600 0"></f><path o:connecttype="rect" gradientshapeok="t" o:extrusionok="f"></path><lock aspectratio="t" v:ext="edit"></lock><shape id="_x0000_i1025" type="#_x0000_t75" style="WIDTH: 128.25pt; HEIGHT: 183.75pt"></shape><imagedata o:title="IMG" src="file:///C:DOCUME~1USERLOCALS~1Tempmsohtml11clip_image001.jpg"></imagedata> |
<wrap type="tight"></wrap>
これは、甘蔗珠恵子さんが書いた、『まだ、まにあうのならー私の書いたいちばん長い手紙―』の一節です。
甘蔗さんは、福岡県に住む二人の子どもの母親で、“原発”が原子力発電所の略称であることも知らないごく普通の主婦でした。
その甘蔗さんが、チェルノブイリ原発事故から1年後の1987年、ふとした機会に聴いた講演で原発の恐ろしさを知り、関係書を読みあさり、いたたまれない気持ちで知人宛に書いた手紙、それが小冊子となり、これまで50万部読まれているのがこの本です。
今から25年前に書かれ、警鐘を鳴らし続けたにもかかわらず、残念なことに、福島第一原発の大惨事が起こってしまいました。
「使用済み核燃料棒から出る死の灰液は、膨大な熱と放射能をたくわえたとても危険なものです。長い間冷却しつづけなければ過熱して蒸発し、放射能が漏れ出す危険があります。この冷却装置が停電で止まれば、短時間で大惨事を招きます。地震などの災害によっても大事故は起こりえます。」
甘蔗さんの言葉は事故を予測したかのようでした。
「原子力発電所一基が1年間動くと、死の灰が一トン、プルトニウムが250キログラムたまります。これは広島型原爆の千倍の死の灰と、長崎型原爆の50発分のプルトニウムです。」
こんな危険な原発をなぜ作り、事故後も再稼働しようとしているのか、この本ではその仕組みも明らかにしています。
震災による福島の惨状を知ろうとして現地に入り、情報を得るごとに「この国の原発に関わる仕組みは恐ろしい」と思うようになりました。もっと恐ろしいのは、その仕組みの中でマスコミが統制され、国民が真実を知らされないということ。
「まず、家が燃えているという事実に気づきましょう。消し止められるうちに。」冒頭の一節に続く甘蔗さんの言葉です。