なあむ

やどかり和尚の考えたこと

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ140

2017年12月31日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

12月31日、日曜日。

大晦日です。
娘たちもやってきて正月を迎える準備が整いました。
年末のお寺のしきたりとして、庫裏の韋駄天様に「歳徳大善神」を貼って年越しのお詣りをします。
その際、これはいつから始まった伝統なのか、三部家だけなのか分かりませんが、家族みんながそれぞれの財布を供えてお詣りする習わしです。
「来年もお金に困らないように」という意味のようです。
子どものころからそうしていたので、それはそれで儀式として継承しています。
歳神様は、みんなに平等に一つの「歳」、命を授けてくれるので、きれいに清めてお迎えし、ご馳走をお供えして一緒に食事をします。
それぞれが一年を振り返ったり、来年のことを話したりして過ごすのが年越しの晩の形です。

11時45分からは除夜の鐘を撞きます。
15秒間隔で108声。鳴り始めたのを聞いて撞きにやってくる若者がこのところ増えてきました。
年が明けた早朝は、太鼓をたたいて元朝祈祷を勤めます。
「大般若理趣文経」という経巻を原文で読むのですが、それだけで40分ぐらいかかります。
慣れない頃は2時間ぐらいかかっていました。
10時からは、檀家衆が集まっての祈祷です。
みんなで「般若心経」を大声で三遍読んで、各人の祈祷をし、その後、経巻でそれぞれの頭に風を送り身心堅固、所願成就を祈ります。終わって新年会です。
次の2日は、同じ祈祷と新年会を宿用院でも勤めます。
4日からは、三が日祈祷したお札を檀家に配って歩きます。
5日は寒の入りで、その晩に「寒念仏」を行うのが習わしです。
特に家族に不幸があった場合には3年間勤めるのが習慣となっています。
16日は小正月。「仏様の正月」などともいわれ、この日に新年の寺参りに来られる方々があります。
ここまでで、だいたい年末年始の行事が済むことになります。

クリスマスだ、歌合戦だ、カウントダウンだと、騒々しいことに楽しみを感じていたころもありましたが、歳とともに静けさを良しとする気持ちになってきました。
除夜の鐘の音を聞きながら、静かに年を越すというのが何か日本的で、心にもしっくりくるように思います。

 雪青く 鐘なりて除夜 しずかなり

下手な句ですが今の気持ちです。

今年お会いしてお世話になった全ての皆様に心より感謝を申し上げます。
新しい年も、皆様に素晴らしい出会いのありますようお祈りいたします。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ139

2017年12月24日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

12月24日、日曜日。

明日が2000年前に生まれた方の誕生日ということで、今晩はその前夜祭だそうです。
楽しみにしている人々がたくさんいることでしょう。
イスラム社会では関係のないことでしょうが。
日本も本来は冬至カボチャを食べて静かに過ごすぐらいの社会だったのだろうと思いますが、懐が広いというか節操がないというか、宗教でも文化でも何でも取り入れて楽しむというか商売のタネにしてしまうところがあります。
以前おつき合いのあった、曹洞宗のお坊さんとして出家したアメリカ人の尼僧さんが、「こっそり友だちとクリスマスやってるの」と笑っていたことがありました。
何はともあれ人が生まれるのはおめでたいことです。

 女をば 法の御蔵(みくら)というぞ実(げ)に 釈迦も達磨も ひょいひょいと産む

という一休禅師の歌がありましたが、歴史上の人物聖人、人間として生まれたものは、全て母親から生まれてきました。
正確ではないですね。女性が子を生んで母親になったのですね。
そう考えれば、女、女性とはどれほどの力を持っているのでしょうか。
釈迦も達磨もキリストも生んでしまうのですから。
宇宙をも生みだす力を含んでいるような感じですか。

 諸人よ 思い知れかし 己が身の 誕生の日は 母受難の日

という詠み人知らずの歌もあります。
ひょいひょいと産むとは言っても、それは言葉の綾というもので、犬猫のように簡単に産むわけではありませんね。
命がけで生んでくれたことは間違いありません。
犬猫の出産が簡単かどうかも本人に聞いたことがないので知りませんが。
だから今晩から明日、誕生を祝うというよりも、受難した母親をいたわり称える方がいいように思います。
自分で生まれたのではなく生んでいただいたのですから。

お釈迦様の母君は、我が子を生んで7日目に亡くなったとされます。
お釈迦様は、母君マーヤ夫人が結婚してから20年目に授かった子だと言われます。
父君のスッドーダナ王様は喜んで「やった、やった」と歓喜の声をあげ、それがそのまま王子の名となり「シッダールタ」と命名されました。
伝記に、マーヤ夫人が何歳で結婚し何歳で出産したのか明記しているものを見たことはありませんが、おそらくは当時の風習としてかなり若くして結婚したものだと思われます。
それでも、たとえ10歳で結婚したとしても20年も経てば30歳になるわけですから、当時としてはいわば高齢出産だったと言えるでしょう。
かなりの難産だったということで、間もなく亡くなってしまわれました。

マリア様、ふとマリアとマーヤは似てるなと思いつつ、
マリア様の出産の様子はどうだったのか知りませんが、子を生むということが、洋の東西を問わず、時代がいくら変わっても、これだけは変わらない大事業なわけで、お釈迦様の母君もキリスト様の母君も、私たちの母親と同じく苦労の末に生んでくれたわけです。
聖人の陰に聖母ありですが、人間にとっては全ての母が聖母であると思います。
うちは同居の子どももいないし、仏教徒だし、どうでもいいのですが、今日の夜を単なるお楽しみ会にするのではなく、そういう意味で考えてみたらいかがかなと思ってしまいました。

うちの聖母は元気です。
100歳まで生きる時間をどう過ごすかと心配しているようですから、もう立派で「おせいぼ」というぐらいなものです…。
お後がよろしいようで。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ138

2017年12月17日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

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12月17日、日曜日。

今年の日めくりも残すところあと14枚です。
年末は命について考える好機かもしれません。
日一日と「今年」が過ぎ去っていくのが見える年末。
今年という時間にも限りがあるように、自分の命にも限りがあることを感じやすい時期だと思うのです。
実際に自分の命の時間は、一日生きた分だけ残りが一日減っていることは間違いないことなので、そのことを肌で感じることが必要だと思うわけです。

一生は3万枚の日めくりカレンダーと言われます。
ちょうど80歳生きるとして、日にちにすると29200日。
3万日で82歳ちょっとになります。
今日までに私がめくってきた日めくりを計算すると22475枚。
無駄にしてしまった枚数が何枚あったのでしょうか。
いや、そうじゃないですね。
無駄な時間など一日もなかったのです。
無駄なように思える日々も、後悔の日々も、それが全部あったから今の自分であることは間違いありません。
一日も、要らなかった時はなかったのです。
ものごごろもつかずただ眠っていた日々も、いじめられて泣かされたりした日々も、恋に悩み苦しんでいた青い日々も、一日一日、みんなかけがえのない、いとおしい日々です。

その間、どれほどの呼吸をして、何回心臓が鼓動し、どれほどの食事をしてきたでしょうか。
その一つでも無駄だとするならば、吸い込んだ空気にも、動いてくれた心臓にも、ましてや私に食べられた命に対して、何とめんぼくない、あいすまないことです。
そうではありません。
今までいただいてきたすべての結果が今なのです。
出会いと別れも含めて、私たちはこれまで数えきれないだけのものをいただいてきました。
だから今ここにいます。
無駄な日は一日もありませんでした。
ありがたいことです。かたじけないことです。

私が80歳まで生きるとすれば、残りの日めくりの枚数は6725枚。
しかし、それは結果です。
私の枚数があと何枚残っているのかは、私にも誰にも分からいことです。
だからこうしてぼんやり暮らしていけるのです。
しかし、これだけは言えます。
あと何枚日めくりしようと、今日の一枚は他の3万枚のどこにもない一枚です。
これまでの日々に感謝して今日を生きなければなりません。
これまでの日々を無駄だと思わないような今日にしなければなりません。
そう思うことで、今日の日めくりは、一枚は同じ一枚ながら、分厚い一枚になるに違いありません。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ137

2017年12月10日 04時36分56秒 | サンサンラジオ
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12月10日曜日。

昨日で忘年会ウィークが終わりました。
業界ではお釈迦様のお悟りを称えての坐禅週間なのにねと思いながら。
楽しく過ごさせていただきました。
体重もさらに増えています。
「65歳になったら自然に痩せる」と云った人の言葉を信じてなるがままに任せます。

11月に中島みゆきの42枚目となるニューアルバム『相聞』がリリースされました。
倉本聰脚本のテレビドラマ「やすらぎの郷」の主題歌となった「慕情」を中心にまとめられた一枚です。
その中に「人生の素人」があります。
「皆、人生は素人につき」と歌います。
そうだよな、と納得しています。

二度生まれた人がいない以上、我々は皆、初めて生まれて初めての人生を生きています。
初めて61歳の人生を生き、初めて2017年12月10日を生きています。
今まで生きたことのない今日を生きているのです。
90歳の人も初めての経験で90歳を生きています。
皆人生の素人です。
素人ですから、戸惑いながら、手探りで、試行錯誤しながら生きてきました。
間違いも過ちもありました。
出会いや別れに感動したり涙を流したり。
素人ですから、驚いたり喜んだりしてきました。
そう、みんな素人なのですから、うまく生きられないときもあります。
お互いの失敗を許し合い、認めありながら生きていくしかありません。

今日という一日は誰にとっても初めてのことで、今日を生きた先輩はいません。
だから、毎日顔を合わせる人とも今日が初めての出会いで、相手を慮りながら生きていくのです。
それを「一期一会」というのでしょう。

今ここで出会っているあなたも私も、素人ながら、何とか2017年平成29年を生きることができました。
まだ少しありますが。
来年を迎えることができたなら、それはまた、誰も歩いたことのない道を手探りで生きることになります。
ああ、うれしいじゃありませんか。
素人のままで生きられるのです。生きてもいいんです。
一つ一つの出会いに、毎日毎日の出会いに、キラキラと目を輝かす子供のように、好奇心と感動を抱いて生きていきましょうよ。素人なんですから。
ねえ、中島みゆきってすごいでしょ。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

三ちゃんのサンデーサンサンラジオ136

2017年12月03日 04時40分38秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

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お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

12月3日日曜日。

師走に入りました。
皆様、何かと気ぜわしくお過ごしのことと思います。
私も今週は忘年会ウィークとなっています。
昨日から次の土曜日まで、8日間で飲み会の予定がなんと7日入っています。
楽しいね。
頑張れ肝臓!

話は変わりますが、
相撲ファンとしては、今回の不祥事に心を痛めています。
何があったかはこれから徐々に明らかになってきて、それに伴って更にいろいろな問題が見えてくるのかもしれません。
どんな社会においても、上に立つものは下の者より責任が重いという決まりです。
幕下の力士と横綱の責任は当然その重さが違います。
引退は仕方ないでしょう。
しかし残念です。
日馬富士、身長186㎝体重137㎏は現代の力士としては小柄の方です。
しかし、突き刺さるような立ち合いのスピードで横綱まで上り詰めました。
安馬の時代から、「お客様に喜んでもらえるような相撲を取りたい」という口癖の通り、根強いファンが多い力士でした。
土俵入り四股の所作が誰よりもきれいで、鷲が翼を広げるような手の動きは見ていて惚れ惚れしました。
小さい体で横綱を維持するのは並大抵の努力ではなかったと思います。
師匠の伊勢ヶ濱親方は現役時代の横綱旭富士で、私の最も好きな相撲取りでした。
そんなこともあり、伊勢ケ濱部屋の力士には気持ちが入っていました。
今回のことは、単なる暴力事件ではない何か角界の底にある別の問題がうごめいているようにも感じます。
それでも、現役の力士たちは、本当に体を酷使して鍛え上げているのです。
あの体でぶつかり合い、年六場所土俵に上がり続けるのは至難の業です。
時には流血し、けがをして休場すれば番付はすぐさま落ちるという崖っぷちの連続で生きているのです。
明治維新の時、断髪廃刀令が出されましたが、力士だけはちょんまげを許し、横綱には帯刀も許しました。
それは「侍」の象徴として力士にその心を託したのです。
だからこそ、力士には武士としての厳しさを強いられるのです。
単なるスポーツではありません。神事でもあります。
ちょんまげで生活するのですから、力士を隠しようがありません。
生活そのものから、日本人の範を求められるといっても過言ではありません。
それほどの重荷を背負って力士は生きているのです。
我々一般国民は、力士にもっと敬意と感謝を込めて相撲を見なければならないでしょう。
こういう事件があると、モンゴル人に対する批判が集まることが心配されます。
国技だ日本人の魂だと。
でも、日本で生まれた人だけが日本の心を理解するとは限りません。
逆に、日本人でありながら日本の心を知らない人が多いのではないですか。
アジア、ヨーロッパ、アフリカからやってきた若者が、慣れない日本語と伝統文化・習慣に苦しみながらちょんまげを結って頑張っているのです。
相撲の世界の懐の広さを感じますし、その努力も評価します。
むしろ相撲道を通して、日本の心「心技体」を広め、世界の平和に寄与することもできるだろうと思うところです。
いずれにせよ、力士に敬意を表しながらこれからも応援していきたいと思います。
皆様も、厳しくも暖かいまなざしで相撲を見ていただきたいと願います。

ここでお知らせです。
今月1日から10日まで、東北教化センターのテレホン法話「心の電話」の担当になっています。
12月8日の成道会に因み「お釈迦様お悟りの日」というタイトルで話をしています。
お忙しい中、3分ほどの時間がありましたら電話をかけてみてください。
電話口で話が聞けます。
いえいえ、私が電話で直接話をするわけではありません。
録音のテープが流れるという仕組みです。
以前、檀家のおばあちゃんから心配されたことがあったので。
ですから、24時間いつでも聞けます。お気軽にどうぞ。
電話番号、フリーダイヤル0120-0874-24です。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。