なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ208 春眠と山菜

2019年04月28日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ
今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第208回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

4月28日、日曜日。

春は眠いですね。
夜早くに眠くなり、朝もボーっとして、昼は起きていられないぐらいに眠いです。
病気なのかと思うほど。みんなそうなのでしょうか。
冬眠から覚めた動物が、体を目覚めさせるために木の芽とか山菜を食べると言われていますが、人間もこの時期、覚醒のために山菜を食べたくなるのだと思います。
今年の山菜のスタートは境内のアケビの木の芽でした。やわらかくて苦みがあっておいしかった。
次にはコゴミをいただいて、これもおいしくいただきました。
それぞれの山菜の独特なエグみと苦みが体を目覚めてくれるだろうと期待しています。
これから何が食べられるかなあ、楽しみです。

自分の体は、これまで食べてきたすべての食事でできています。
体に必要なものも、体には良くないものも食べてきました。
食べたいものは必要なもの、と欲望に素直に従ってきたように思いますが、食べ過ぎるというのはどこかコントロール機能が故障しているのでしょうか。
アルコールも旨いということは必要なのだと信じていますが、一口飲めば、体の欲求よりもアルコールがアルコールを呼ぶ感じで、必要以上に摂取してしまうようです。アルコールは寂しがり屋です。
それらも含めて、今の体があります。

更に人間は体だけでできているのではありません。
心というか、精神性も一体となって「人間」となります。
そういう意味で、今の自分をつくってきたのはこれまでの出会いです。
家族との出会いに始まり、親戚、近所、友達、先生、先輩、後輩、同僚、仲間、袖触れ合った人、言葉を交わした人、遠くに見えた人、見えないところで関わっていた人、好きな人、嫌いな人、いじわるされた人、傷つけられた人、傷つけた人、過去に生きた人々との教えという出会いもありました。
初めての出会いばかりではなく、別れという出会いもありました。別れの痛みに耐えたことも出会いでした。
どれほどの人と出会い別れてきたか。
人ばかりではありません。
ペットや動物、その他の全ての生き物、更には映画や音楽、芸能、文化、テレビの情報、本、言葉。
それら全ての出会いが、食べ物のように私の体に入って、今の自分がここに存在しています。
そのことに思いをいたせば、どれほど貴重なこの命かと思います。
何ひとつも無駄なものはなかったはずです。
だとすれば、今、この命を無駄に使えばこれまでいただいてきた命を無駄にすることになります。
あの人との出会いと別れも無駄にすることは、痛恨の極みです。
これまでいただいてきた数知れない命を背負いながら、その責任を果たす使命を感じて生きなければなりません。
嫌なことも忘れたい出来事も含めて、無駄なことではなかったと思える生き方をすることによって過去を肯定することができるでしょう。
それがいただいてきた命の昇華、成仏になるはずです。
残り少ない命ですから、心して生きたいと思います。
ああ、山菜よ、怠惰な惰眠から目覚めさせておくれ。

それではここで1曲お送りしましょう。中島みゆきで『この空を飛べたら』。

加藤登紀子『この空を飛べたら』

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

サンサンラジオ207 朗読『雪国』

2019年04月21日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ
今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第207回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

4月21日、日曜日。

木曜日、台湾の花蓮で震度7の大きな地震がありました。
花蓮には世界最大の仏教系NGO仏教慈済基金会の本部があります。
1999年に台中で大きな地震があった際、日本からの募金を持って花蓮の慈済会本部を訪ねたことがあります。
慈済会は、世界各地で起こった災害に真っ先に駆けつけ多大な支援活動を行うことで知られています。
東日本大震災でも、家をなくした津波被害家族に現金で50億円支給したのをはじめ合計で70億円の支援をしてくれました。
今回の地震の被害はどうなのかと心配していましたが、震度の割には甚大な被害には及んでいないようで安心しました。
花蓮はこれまでも度々地震が発生しているようなので、耐震などの対策が講じられているのかもしれません。

最近、車のロングドライブの楽しみを一つみつけました。
英会話のCDはいいのですが眠くなるのが難点で、何かないかと思っていました。
何気なくスマホのNHK「らじるらじる」で聴き逃しサービスをめくっていて「朗読」というのをみつけました。
スマホは車の車内無線とつなげることができるので、CDやラジオと同じように聴き逃しサービスも聴くことができます。
2ヶ月前の放送分から聴くことができるのですが、一番古いところで聴いたのが、織田作之助作品集で、「夫婦善哉」「続夫婦善哉」「六白金星」「木の都」というシリーズでした。それぞれ何回かに分けて放送されるのですが、聴き逃しサービスのいいところは過去の放送分を連続して聴くことができるところです。
続いて、「シュリーマン旅行記 清国・日本」を20回分聴きました。
その次が川端康成作品集で、「伊豆の踊り子」を聴き、現在放送分が「雪国」です。
「雪国」はノーベル文学賞川端康成の代表作で、「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」の書き出しは知っていましたが読んだことはありませんでした。
いやいや、川端作品の一つも読んだことはありませんでした。
どうせ、かび臭いような古い物語なのだろうと、触手も動かされませんでした。
ところがどっこい、聴いてみると、思いのほか艶っぽい物語なのだということを知りました。
「伊豆の踊り子」もそうでしたが、「雪国」は更に、男と女の心の動き、感情の情景というものが会話と描写によって描かれ、なまめかしいほどに物語が展開していくのでした。
心の動きを際立たせているのはその周りの情景描写の美しさで、女性の清潔で純粋な人間性が雪国の情景と重なって浮かび上がってきます。
文字で読むだけよりも、女優の声を通して聴くことで余計になまめかしく感じられるのかもしれません。
朗読は俳優の常盤貴子です。
そして、文字でも読んでみたくなりました。
車を運転しながらも、話の続きが気になるので、耳をそばだてて、退屈しませんし眠くなることもありません。
運転をしながら名作を読むことはできませんが、これなら、移動中に名作を聴くことはできます。
いいものをみつけたと思います。
1回分が15分ですから、1時間のドライブなら過去の4回分を聴くことができます。
もちろん、「らじるらじる」を受信できる機器と、車にBluetoothの機能がなければなりません。
もし、その環境があれば、これはお勧めです。
次はどんな名作だろう。
中島みゆきの作品も名作揃いです。

それでは1曲お送りしましょう。中島みゆき作詞作曲、ちあきなおみで『ルージュ』。


ちあきなおみ『ルージュ』


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

サンサンラジオ206 欲と抗癌剤

2019年04月14日 04時55分09秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第206回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

4月14日、日曜日。

雪が降りました。
タイヤの交換を済ませた人も多かったでしょう。事故がなければよかったですが。
入学式時期にチラチラと雪が舞うことはたまにあるのですが、4月過ぎに10センチも積もったことは記憶にありません。
いやいや、ありました。
そう言えば6年前の4月21日、息子の結婚式の日も雪が積もったのでした。
栃木から車で来られた老師は、渋滞にはまって乾杯の挨拶ギリギリの到着となりました。
イベント性があって、息子の結婚式らしいかなと思った記憶があります。

先日、曹洞宗の本庁で特派布教師協議会があり、それぞれの今年の任地の発表がありました。
今年はずいぶん働かされる?ことになりました。
今年の私の任地は、茨城、神奈川、北海道、それに南米ブラジルとパラグアイです。
南米の話は3年前のリオオリンピックの年にも事前にお話をいただいたのですが、海外よりも国内を回らせていただきたいと生意気にもお断りした経緯があります。
断っておきながら、行けばよかったかなと後悔したり、残念に思う気持ちもなかったわけではありません。
なので、今回も事前にお話をいただき、それでは行かせていただきましょうということになりました。
ブラジルは地球の裏側ですからとても時間がかかるのですが、ドイツフランクフルト経由だということには驚きました。
日本人の見ている地図ではなく地球儀で見なければなりませんね。
南米は2週間の日程ですが、その他にも単発の法話や講演の依頼が入っており、合計すると今のところ45教場になります。
留守の間は息子に勤めてもらって何とか役割を果たしたいと思います。

昨日は河北町環境を考える会の総会でした。
今年も、芸工大の三浦秀一先生に講演をいただき、最近の環境に関する情報を提供していただきました。
大石田のメガソーラーの問題、酒田のバイオマス発電所の問題、電力自由化でどこの電気を買ったらいいかなどなどを学びました。
そして懇親会。こちらも楽しい時間をいただきました。
これからも、環境問題を楽しみながらしかも真剣に考えて行けたらと思います。

暖冬だったり時ならぬときに雪が降ったり、集中豪雨ゲリラ豪雨。
それも連続すれば「異常」とも呼べない気候となり、異常ではないということはこれからも災害はあり続けることだと思わなければなりません。
我々は地球の上で生かさせていただいているわけですが、それなのにその自然環境を壊している原因をも生み出しています。
「自然」の反対語は「人為」ですね。
人為そのものが「不自然」ですから、人間の存在自体が自然とは相反する関係にあるということでしょうか。
「人間は地球にとって癌細胞だ」と言った人がいました。癌細胞は体の中に宿っておきながらその体を蝕み、やがて癌自身も生きられなくなると。
しかし、人間も自然の流れの中で生まれたわけで、最初から癌細胞ではなかったはずです。
問題は人間そのものではなく、人間の持つ「飽くことのない欲」なのだと思います。それこそが癌細胞なのでしょう。
縄文時代に戻れ、といっても無理でしょうが、人間も自然の一部であることを感じつつそれを喜びとして、欲をコントロールする生き方ができれば、癌細胞にならずに済むかもしれません。
仏の教えは抗癌剤を含んでいるように思います。さて、どのように処方しますか。

それではここで1曲お送りしましょう。中島みゆき作詞作曲、ももいろクローバーzで『泣いてもいいんだよ』。


ももいろクローバーz「泣いてもいいんだよ」

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。





サンサンラジオ205 ふるえているのは

2019年04月07日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第205回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

4月7日、日曜日。

「令和」。
はじめは「えー」と思いましたが、少し時間が経ってみると「うーん、いいかも」と感じてきました。国民全体の評価も悪くないみたいですね。
実際の改元はもう少し先ですが、まずは落ち着いたというところでしょうか。
木曜日は暇だったので福島県立美術館で「伊藤若冲展」を観てきました。
さすがの人気で、駐車場に入るまで順番待ちでした。
認知症予防に美術鑑賞がいいという情報のせいか、ウチも含めて高齢者夫婦が多かったように思います。脳に刺激を。

先日、静岡に出かけたとき、読みかけの本が途中で終わってしまいそうだったので何か探そうと思って駅の本屋に立ち寄りました。
文庫コーナーで目についたタイトルを見て「おやっ」と思いました。
最近の旅のお伴はもっぱらミステリー小説になっています。
『盤上の向日葵』を皮切りに『検事の本懐』『虎狼の血』『最後の証人』『慈雨』など柚木裕子を連続して読みました。
この種の本は、連れ合いが寝床の導眠薬として読んでいるもので、「そんな時間潰しだけの読書など」と冷ややかに見ていましたが、読み始めると止まらなくなるというのがこの手の本なのでした。
今は彼女の本棚からシリーズで引っ張り出してくるという状態です。
ただ、家にいるときは読む気にもならず、もっぱら移動中の旅のお伴です。
続いて湊かなえ。『告白』『少女』『花の鎖』『贖罪』などですね。
手持ちがないときに駅で買った内田康夫や東野圭吾をはさみ、必要があって柳田邦男を2冊。
しばらく藤沢周平はお休みして、現在連続しているのは中山七里です。
『アポロンの嘲笑』『嗤う淑女』『テミスの剣』ときて『切り裂きジャックの告白』を読み切るところでした。
で、次も中山七里をと本屋をのぞいたのです。
ありました。

「あれっ」と思ったそのタイトルは、『闘う君の唄を』。
もしかしてと、めくってみると果たして、目次は次のようでした。
1、闘いの出場通知を抱きしめて
2、こぶしの中 爪が突き刺さる
3、勝つか負けるか それはわからない
4、私の敵は私です
5、冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ
そうです、その通り、これは中島みゆきの『ファイト!』だったのです。
歌の歌詞は、ラジオ番組「オールナイトニッポン」に寄せられた手紙をもとにオムニバス形式で作られたものでした。
少年や弱い女性のふるえながら闘う姿にエールを送る歌、それが『ファイト!』です。
小説の中では一行も歌に触れていませんが、闘う新人の女性を主人公に描いています。
そして、解説の後の最後の最後のページに、「本書は、中島みゆきさんの楽曲『ファイト!』から、作品の構想を得ています。」と記されていました。

なんかうれしい。この時期にこの本に出合えたのもうれしい。
4月新年度。新しい社会で不安のままスタートを切った方も多くいらっしゃるでしょう。
あなたがふるえているのは弱いからではなく、闘おうとしているからです。
身をよじって「諦めという名の鎖」をほどこうと自分と闘っているからです。
大丈夫!君ならできる。ファイト!

それではお届けしましょう。闘う君に、中島みゆきで『ファイト!』

満島ひかり『ファイト!』

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。