なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンデーサンライズ 番外 穴を埋めるもの 

2025年01月13日 20時06分05秒 | サンデーサンライズ

1月13日

タイで八木澤の葬儀に立ち会いお別れをしてきたことを報告します。

10日バンコクの空港から真っすぐ葬儀会場のお寺に向かいました。

8日、9日、10日と3日間、18:00から読経が行われるとのことで、10日の読経が本葬という位置づけのようでした。

タイの仏式で執り行われるのですが、日本人でもあるし、長く曹洞宗の関係者とかかわってきたこともあるので日本の仏式の読経もさせてもらいたいと思い準備していきました。

頼まれもしないのに勝手に戒名を付けて血脈も準備しました。

戒名は「慈海昌道禅居士」としました。

「慈海」は海のように広大な慈悲心という意味になりますが、師匠ともいうべき有馬実成師の戒名「真海実成」から「海」を一字いただきました。

「昌道」は「克昌」の一字を使い、明らかな道、堂々とした公明正大な生き方をしたという意味になりますが、もう一つ、SVAの初代会長の「大満然道」から「道」一字をいただきました。

そしてもう一字「禅」を加えさせていただきました。

「シャンティ」は「寂静」という意味があります。静けさの意味ですが、それは「禅那」ですから「禅」に「シャンティ」の意味を込めました。

タイ式の読経の後、時間を頂戴し、現理事の僧侶二人と授戒を行い血脈を授けました。

 

11日は、読経、法話の後境内の火葬場で荼毘に付されました。

この日も大勢の方が彼を偲んで参列してくれました。

シャンティの、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ミャンマー難民キャンプの各国事務所スタッフ、元スタッフも日本、カンボジア、ラオスから、彼の活動を取り上げてくれた新聞記者、スポンサー企業、団体等など、本当に大勢の方が集まってくれました。

しかしこんなものではないでしょう。

ここに来られなかったシャンティファミリーのアフガニスタン、ネパールはじめ各国の関係者、友人知人、支援を受けたタイ国内外の人々、また日本の中にも断腸の思いで参列できなかった人々がどれほどいただろうかと思います。

あまりにも急でした。

12日は夜明け前にお骨を拾うのが習慣のようで、収骨の後さらに読経。

そして骨壺に納めました。

病気をした後遺言を遺していたようで、その遺志によりチェンカーンのメコン川に家族で散骨することになりました。

その一部を分骨にして、一つはバーンサワイの有馬さんのストゥーパに納めることと、先に亡くなった野村耕健師のお骨と一緒に静岡に納めることになりました。

八木澤と野村さんは師弟でもあり兄弟でもあるような間でした。その野村さんの葬儀が行われたのは2017年の何と1月10日11日、全く同じ日だったのです。何と奇遇なことか。

おそらく「ビール持ってこい」と呼ばれたのかもしれません。ちょっと早かったですね、野村さん。

日本におけるお別れ会は、日を改めて行うこととなりますが、詳しくは今後情報が流れると思います。

 

ぽっかり空いた心の空虚な部分はしばらく埋まらないと思われますが、くじけそうになったり諦めそうになった時、八木澤の慈悲心を思い出し、行動によって抗っていく、空虚な穴を埋めていくためにはそれ以外にありません。

心より慈海昌道禅居士の冥福を祈ります。ご家族を見守ってくれますように。合掌


サンデーサンライズ501 大切な人との別れ

2025年01月12日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第501回。令和7年1月12日、日曜日。

大切な人が亡くなりました。

八木澤克昌、シャンティ国際ボランティア会理事、66歳。

改歳を祝ったばかりの7日、訃報が飛び込んできました。

急遽タイに飛び、10日11日、葬儀並びに火葬に参列しました。

出会いは年が明けたので45年前、1980年8月でした。

サケオ・カンボジア難民キャンプの近くバンキャンに借りていたボランティアの宿舎。

22歳の八木澤青年でした。

以来人生の3分の2を同じ方向を向いて歩いてきました。

同志、仲間、心友、真友、畏友、善友、悪友、同胞、師匠、兄弟・・・・・・

どれも当てはまる相手でした。

例えば中島みゆきの『二隻の舟』のような。

以下は彼が還暦を迎えた時のお祝い会に寄せた文章。

ミパドの男

「八木沢克昌23歳ボランティア」と、カンボジア難民キャンプの活動記録映画『祖国なき人々』に紹介された青年は、還暦を過ぎて尚社会の底辺に暮らす人々と共に生きている。

この男を動かすのは、熱い思いと、酒。口にするのは「ミパド」。ミッション・パッション・ドリームの略だが、この男こういうキャッチフレーズがすこぶる好きだ。酒を飲んでは永遠に握手を繰り返し熱い思いで体当たりする。時には熱苦しいほどだ。

絶滅危惧種のようなこんな男と同じ時代に生きてこられたことを生涯の喜びと感じる。

この男を評するエピソードや功績は枚挙にいとまはないが、その一つとして「アジア子ども文化祭」を挙げたい。

タイのバンコクスラムで始まったこの事業。普段は底辺に埋もれて浮かぶことのない子どもたちにスポットライトを当て、ステージに上げて主役に仕立てていく。

私が初めて立ち会ったのはラオス開催の時だった。

タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーからやってきたそれぞれ困難な事情を抱える子どもたち。国籍をシャッフルしてグループ分けされ、言葉も通じないまま音楽を共通言語にして数日間を過ごす。

ステージではそれぞれの国を代表した伝統舞踊を嬉々として披露する。その晴れやかさ。どれほど誇らしく自信につながったことだろう。

フェアウェルパーティでは、「また会おうね」と言い合うのだが、自分の環境を考えればそれがほとんど不可能だと分かっている。だから、涙を流し、抱き合い、いつまでも別れを惜しむ子どもたち。

八木沢は言った「虹は別々の色が集まり一つになるから美しいのだ」と。

自らの根差した文化を大切にするからこそ、他の存在も大切なのだと気づいていく。平和の礎はそこにあるのではないか。それを肌で感じさせ、気づかせてくれるのが「アジア子ども文化祭」だった。

こんな発想ができ、実行ができるのはこの男しかいない。ミパドの男。

草創期から現在まで、自分の嗅覚で発見し、自分の肌で感じ、自分の体で動く。まさに、SVAシャンティの体現者。八木沢克昌の足跡がそのままシャンティの足跡となるだろう。

ただ心配なのは、男の体調だ。酒を飲まない八木沢の魅力は半減するが、ほどほどということもそろそろ身に着けて長持ちするように願いたい。まだまだ杯を交わしたいからだ。

三部義道(八木沢の還暦を祝う会パンフレット用)

45年間、アジアの子どもたちに寄り添い続け、スラムの中に住み、「共に生き、共に学んで」きた生涯。

その姿は日本の道徳の教科書に載り、外務大臣賞も受賞しています。

大学の時は山岳部で、ヒマラヤの山も登ってきた体力に自信のある男でした。

ところが、2021年に脳の痙攣のような症状で倒れ数日間意識のない状態が続き、家族には「覚悟しておいてください」と告げられました。


八木澤ももうダメかと半分あきらめかけましたが、驚異的な回復で全く病気を忘れてしまうような状態まで戻っていました。

もしかして、この男不死身なのではないかと思わせるほどでした。

しかし、それは外見で、体の内部では静かに病気が続いていたのだと思われます。

7日朝、バンコクの自宅で倒れたままの状態で発見されました。亡くなったのはその前の晩かもしれません。

昨日の葬儀にはタイの要人、日本大使、アジア各国、日本からもたくさんの人々が参列し別れを惜しみました。

シャンティファミリーの中心にあなたはいました。

彼の関係の広さ、つき合いの深さ、人を感動させる熱意を、改めて肌で感じました。

年齢とともに別れが増えるのは当然のことであり、仕方のないことですが、それにしても大きな存在、心の支えを失ってしまいました。

しばらくは放心状態が続くと思われます。

ヤギちゃん、ありがとうございました。楽しい想い出をたくさん作りましたね。これからもあなたと一緒に生きていきます。さようなら。

今週の一言

「別れは突然にやって来る、だから今日」

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


サンデーサンライズ500 改歳を祝う

2025年01月05日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第500回。令和7年1月5日、日曜日。

 

新年明けましておめでとうございます。

2025年、令和7年という年を迎えました。

そして、このサンデーサンライズがついに500回目となりました。

 

ブログの書き始めは、2008年9月。16年前のことになります。

紙で出していた月刊寺報、松林寺の『いちょう』宿用院の『なあむ』をブログとして転載したのが始まりです。

やがて寺報は止めてしまい、こちらのブログのみとなりました。

左の欄にあるような(PCの場合)色んなカテゴリーに分けてその時その時の思いを書き綴ってきました。

これ以外のカテゴリーもありましたが公開をやめたのもあります。

2015年4月からは「三ちゃんのサンデーサンサンラジオ」と題して、毎週日曜日の朝に書くようになりました。

あえてラジオの態をなしていたので「このラジオはどこで聴けるのですか」と問い合わせをいただいたこともありました。

単に語呂合わせで思いついたタイトルでした。

地元の商店を勝手にCMのように流したり、今週の歌というような感じで音楽を挿入しました。それは全て中島みゆきの曲でしたが、著作権に引っかかるという理由で公開停止処分となりました。

仕方なく、全ての楽曲(歌詞だけですが)を削除した経緯があります。

そんなこともあり、その後、タイトルを「サンデーサンライズ」に変更しました。

そしてその通算が500回を迎えたということです。

 

1週間がこのブログを中心に回っていたという感があります。

次は何を書こうかと、常に探しているのが日常になっています。

下書きしてから何度も読み直して校正するので、早い時は木曜日あたりから書き出したりします。

その場でスッと書き上がることもあれば、難産することもあります。

出先で書くことも度々です。タイやブラジルから送ったこともありました。

困るのはWiFiが通じない宿で日曜日の朝を迎えた時です。

仕方なく、携帯電話からテザリングで送ったりしました。

それでも毎週何とか継続していけば500回という大台にも乗るのだと実感しています。

 

尊敬する秋田の亀谷健樹老師がはがき伝道を始められたのがいつの頃か、定かではありませんが40年は経過しているものと思われます。

昨年特派巡回で秋田を回らせていただいた時の教場の一つが太平寺様、亀谷老師が東堂を勤めるのお寺でした。

何十年かぶりにお目にかかり、失礼ながらご存命とも思っていませんでした。96歳におなりのはず。

初正見の頃、「はがき禅」と題した伝道はがきを毎月2回発行されているとお伺いし、素晴らしいと敬服していました。当時はガリ版刷りでした。

昨年お訪ねすると元気にお迎えいただき、茶室でお茶をいただくことができました。

その際、「あのはがき伝道はいつまで続けられたのですか」と過去形でお尋ねすると、何と「今も続いている」と。

大変失礼なことを聞いてしまいました。

以来月2回送られてくる「はがき禅」は、最終12月15日号で1096信を数えています。

それから考えれば半分にも到達していません。まだまだです。

 

それはそれとして、一つの区切りとしての500回。

先週お約束したように読者プレゼントを準備しました。

以下の写真の手ぬぐいと刺繍シール(5×7㎝)です。

ご希望の方は、メールshorin@cup.ocn.ne.jpまでお報せください。

先着10名様まで、なくなり次第終了となります。

今週の一言

「継続は力なり。めざせ1000回!」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

 

 

 

 

 


サンデーサンライズ499 インフルエンザ

2024年12月29日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第49回。令和6年12月29日、日曜日。

 

インフルエンザ初感染。

日曜日から木曜日まで寝ました。

おそらく、19日に東京から戻った時にもらって運んできたのだと思います。

21日土曜日の飲み会で一緒だった仲間にもうつしてしまいました。

その時は全く症状がなかったのですが、次の日曜日から、体がだるく、くしゃみ鼻水咳と風邪の症状が現れました。

発熱は一度だけ、38.3℃に上がりましたがすぐに平熱に戻りました。

症状はコロナに罹った時に似ているのでもしかしてと思っていました。

火曜日ようやく起き出して病院に行くと、検査の結果インフルエンザ陽性との診断。

これがそれかという感じでした。

全く気にしていなかったのでワクチンも一度も打ったことはありません。

熱が出ればもっと辛いのでしょうが、この程度であればそれほど重大なこととも感じられません。

ただ、眠れるものですね。

一日だいたい5時間ぐらいは起きていましたが、それ以外の19時間×5日間はほとんど眠っていました。

脳が体に「休め」の指令を送っているのでしょう。

この間いくつか用事がありましたが、キャンセルしたり代わってもらったりして何とかこなしました。

自分が流行り病に罹るのは自己責任の部分もあるし避けられない状況もあるかもしれませんが、知らぬ間に他人にうつしてしまうのは申し訳ないことと思います。

これも症状の一つでしょうか、尿意が以上に近くなりました。

出たいと思うとたんに我慢できなくなり、トイレに着くまでに何度もちびってしまう状態です。それが1時間に何回も。

筋肉が弛緩していたのでしょうか。

尿漏れパッドを買ってもらい対処しました。

ついにここまで来たかと、老いの進行を嘆いていましたが、やがて平常に戻りました。

パッドはやがて使うだろうととっておきます。

 

そんな中、27日、どうしても外せない最上の地酒を創る会の今年度の「新酒を楽しむ会」は何とか開催できました。

今まで新酒ができるのが1月だったので楽しむ会も1月後半でした。

今年は2回に分けての仕込みとなり、その1回目が正月前に完成というスケジュールでしたので楽しむ会も年末となりました。

ただ、この時期多忙の人が多くまた、私以外にもインフルエンザ感染者がいて、参加者は少人数でした。

けじめの恒例行事として開催できたことを良しとしたいと思います。

今年は会員の2名が他界し寂しい思いをしました。

お二人とも町議を勤め、人一倍町を愛し酒を愛した方でした。

昨年は(実際は今年の1月ですが)ここで一緒に盃を交わし、夢を語り合ったことを考えると哀惜の情禁じ得ません。

乾杯の前に、二人に盃を供え新酒を献じました。

今後も、美味い酒で町を盛り上げていくことを誓います。

 

今回のこのブログが今年の最終回となりました。

第499回。

そう、次回は正月のタイミングで500回を迎えます。

我ながらよく続いたと思います。

もう毎週の習慣になってしまったのでさほど苦労も感じません。

毎週毎週積み重ねて行けばこんな日も来るのですね。

せっかくですので、500号記念の読者プレゼントを用意しようと考えています。

詳しくは年明けの来週5日にお伝えします。

 

それでは、今年も当ブログにお立ち寄りいただきありがとうございました。

また来年お立ち寄りくださいますよう、心よりお待ち申し上げます。

佳いお歳をお迎えください。

 

今週の一言

「一歩、また一歩」

 

今週はここまで。

 


サンデーサンライズ498 車の話など

2024年12月22日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第498回。令和6年12月22日、日曜日。

 

昨日は冬至でした。

朝食にあずきかぼちゃを食文化習慣に倣いました。

夜飲み会だったのでゆず湯には入りませんでしたが。

太陽の光が極まるこの日はまた、新たな太陽の始まりとも捉えられ「一陽来復」としてめでたい気持ちで迎えられたものでしょう。

ハロウィンなどよりもずっと意味のある行事だったのです。

経済効果は薄いかもしれませんが、意味のある伝統文化は何とかつなげていきましょう。

 

先週は、17日に仙台で東北管区教化センターの「禅をきく会」に行き、藤田一照老師のお話をお聴きしました。

そのまま次の日東京へ。特派布教師協議会の一泊二日の勉強会。

そしてその後、布教師養成所の事前学習ビデオ撮影と続きました。

毎度のことながら、誰もいない所でカメラに向かって話をするというのは苦痛以外の何ものでもありません。

講演というのは一方的に話をしているように見えて、やはり話は対話であり、聴いてくれる人の反応を見ながら話すものです。

カメラといっても、人でないもののどこを見ればいいのか、焦点が定まりません。

結局話はしどろもどろになり、満足のいくものにはなりませんでした。

そう考えてみると、テレビのアナウンサーなどはたいしたもんだと思います。

慣れでしょうか。

YouTubeのようなもので一人で話している人を見かけますが、あれもすごいと思います。

カメラの向こうの人に向かって話すのでしょうね。

私は苦手です。

 

めずらしく車の話をしたいと思います。

現在乗っているのはトヨタ・プリウス。

9年目で走行距離12万3千㎞、燃費はリッター27㎞です。

来年3月に車検を迎えることになっていて、それを機会に買い替えようかと思っています。

今のプリウスの前もその前の車種のプリウスでした。

そちらは22万キロを走っており、バッテリーの寿命を想定して買い替えたいと思っていました。

ちょうどその時、プリウスに4WD車が出るというので、今の車種になりました。

4WDと言っても、e-fourという形式で、坂道やスリップを検知したときに自動的に電気のモーターで後輪も動かすという4輪駆動です。

前のプリウスが雪道に弱く、少しの坂道でも登れないことがあったので求めたものでした。

ところが、4WDと言いながらe-fourというものは雪道には決して強くありませんでした。前車種よりは少しいいかなという程度です。

一度、少し積もった平らな道でスタックしたことがありました。

やはり雪道には弱いと実感していました。

もう一つの理由は、来春から車で出かける用事が増えることが予定されていることです。

これまで以上に走らなければならない状況です。

年齢的にもいろんな能力が衰えてきていることを感じており、安全性を重視した車選びが求められてきました。

安全性で調べてみると、スバルの車が最も優れているということがだんだん分かってきました。

ただ、燃費はとても悪い。

そこで悩んだのは、燃費をとるか安全性をとるかの二者択一でした。

燃費で言えばプリウスを乗り継いでいくことも選択肢です。安全性で選べばスバルに軍配が上がります。

おそらく最後の車選びとなるでしょう。後悔のないものにしたいと思いました。

車好きの人に聞いたり、ネットでいろんな情報を見たり、さんざん悩み選んだ結果、スバルに買い替えることとしました。レボーグ・レイバックという車種です。

契約は済ませましたが、納車は2月末か3月になるようです。

大きな買い物ですし、さんざん選んで決めたものですから、子どものように今から楽しみです。

 

今週の一言

「無常はまさに現前の道理」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


サンデーサンライズ497 縁に随って

2024年12月15日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第497回。令和6年12月15日、日曜日。

 

今年も押し迫り、来年の予定表の書き込みを行っています。

定期的な用事も大分あるので、忘れずに書いておかなければなりません。

その他にも依頼を受けた講演など、決まっている用事が数件あります。

それに今年の予定表を見ながら、来年の予測をして予定を書き込んでおきます。

既に法事の予約も何件か入っているのでそれも記入します。

すると、予定表がだんだん埋まってきて、何だか来年も終わってしまったような感覚を覚えます。

予定があるだけありがたいことだと受け止めて、一つ一つ立ち向かって行きます。

 

予定があろうがなかろうが、誰にでも日々時間は目の前に立ち現われ、開かれ、迫ってきます。

その時の自分の状態を予測することはできません。

冷静な判断ができるようにはしておきたいと思いますが、間違った選択をしてしまうこともあるでしょう。

道元禅師が「善悪は縁に随って起こる」と言うように、物事は他との関係性の中で進んで行くものですから、善悪も規定されたものではありません。

自分自身が不安定で不確かなものですから、自分以外の存在との関係が確かなものであるはずがありません。

不安定な要素を含む不確かな状況にその都度対処していかなければならないのが現実です。

自分を棚に上げて他を責めることだけは止めておきましょう。

不確かな善悪を振りかざして相手を責めるのは土台間違いです。

自分に間違いがあると感じている人は他を責めませんが、自分は正しい、善であると思う人が他を責めるのです。

自分も間違うように相手も間違う、だから許せるのです。

個人と個人の関係でもその通りですが、国家間でも同じことが言えるでしょう。

各国の不安定な情勢を見ながら、みんな謙虚であればいいのになと思うことしきりです。

他を責めない、許し合う、それが平和というものであるし、仏教の基本的な考え方だと言えます。

そんなことをしたら他から攻められると、一見弱そうに感じるかもしれませんが、それが最も強い意志によるものだと確信したいと思います。

仏教の基本的な教えは「不害の教え」です。

 

間もなく「山と水と、」今年の新酒が出来上がります。

昨年までは12月に仕込んで1月にできる1回の仕込みでしたが、今年は量を増やし2回の仕込みにしました。

その1回目の完成を正月に間に合わせるべく、11月に仕込みました。

但し1回目は生原酒のみです。例年の生酒と火入れ酒は2回目の仕込み2月の完成となります。

当初完成予定は12月20頃と想定していましたが、発酵が遅れているらしく、もう少し先になりそうです。

なにせ発酵は菌まかせなので菌に聞かなければなりません。

和田酒造さんからは「今年もいい出来になっていますよ」とのことなので楽しみに待ちます。

なので、販売は23日の週になる模様です。

昨年までの先行予約販売は行わず、直接販売とします。

町内酒販店での販売開始は未定ですが、メールでの申し込みはこちらで受けたいと思います。

「山と水と、」生原酒、720ml、1980円(税込)。

宅配便で送りますので、専用の箱代、代引き料、送料着払いがかかります。

以下のメールアドレスに、住所、氏名、電話相談、本数をお書きの上お申し込みください。

生酒と火入れ酒ご希望の方は1月末頃お申し込みください。

shorin@cup.ocn.ne.jp 松林寺

 

今週の一言

「善悪は縁に随って起こる」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。


サンデーサンライズ496 成道会

2024年12月08日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第496回。令和6年12月8日、日曜日。

 

先週は断続的にみぞれが降りましたがもちろん積もるほどではありませんでした。

一転昨日は、いわゆる雪が本格的に降り、少し積もりました。

今期初めての除雪機始動です。

 

昨日はボランティア会の古い仲間が取材のために新庄まで来たので、一緒にホテルに泊まり、鴨すきをつつきながらしゃべり、スナックで少し歌も歌いました。

本来、昨日まで蝋八接心で本日は成道会なのに何ということでしょう。

蠟八(ろうはつ)とは、蠟月八日つまり12月8日のことで、修行道場ではお釈迦様の成道の故事に倣い、この日に向けて12月1日から坐り詰めの行が行われます。それを接心(せっしん)と呼びます。

修行時代の一座目、維那和尚さんの「これより接心!」と宣言する新潟なまりの大音声に堂内がピーンと引き締まった記憶がよみがえります。

もちろん、道場だけでなく、一般寺院でも各々まじめに行じられる方もいます。

私は毎朝の坐禅に集約して特別に通常と変わったことはありません。

成道会の法要は12月1日、梅花講の総会で講員のみんなと勤めました。

だとしてもねえ。

彼が今日だというので仕方ありませんでした、と彼のせいにしておきます。

 

永平寺に居た時に成道に因んで詠んだ句があります。

 蝋接心 差定をながめ ながめ坐す

7日間、朝の3時から夜9時まで僧堂で坐り詰めの坐禅が続きます。普段は法堂で行じられる朝課も接心中は僧堂で坐ったまま行います。回廊掃除とトイレ以外は三度の食事も坐禅のままです。一日最大14坐ほど坐ります。最後の夜は日が変わるまで続けられるので、合計すると1週間で100回ほどの坐禅を行ずることになります。その差定(プログラム)が書かれた紙を何度もながめながら、どこまで来た、後何回と指折り数えて坐る心を詠みました。

 経を読む 白き息満つ 成道会

12月8日に日付が変わり、大開静の鐘が鳴るとようやく坐禅から解放されて、僧たちは列をなして僧堂から仏殿へ赴きます。お祝いの五味粥を一さじ掌に受けて口にし、成道を祝うお経を読むのです。仏殿を埋め尽くす200名近い僧が経を読む白い息で堂内がかすむほどです。疲労感とともにやり遂げたという何とも言えない満足感で胸がいっぱいになります。

 満堂に 成道祝う 僧の髭

接心中は本来風呂にも入らず頭も髭も剃りません。参拝者と接する役の僧はその限りではありませんが、特に役にあたらない僧は1週間頭も髭も伸ばしたままです。仏殿で経を読むその顔は、苦行を終えた釈尊のように荒々しく逞しく見えます。接心前と比べて一回り大きくなったようにも感じられます。

 

今年も多くの修行僧が接心を通して一回り成長したことでしょう。

毎年毎日繰り返される同じ行によって、新たな僧を育てていくのです。

僧とは行のことだと言っても過言ではありません。

仏道を行ずるのが僧なのです。行じないのは僧ではありません。

半僧半俗、在家と対比するのは出家なのですが、残念ながらこの国の多くの僧は出家とは言い難い状態です。それでも僧ではあります。

東南アジアなどのテラワーダ仏教では、出家と在家は10か0かで、半僧半俗というような中途半端な状態にはなり得ません。

今我々は在家と変わらない生活を送っている、その内容からして半分どころか2対8、1対9であっても、僧は在家ではありません。

では何を以て僧であると言えるのか、私はこう思います。

1,浄髪 頭を剃ること

原始仏教以来、僧を在家と区別する形として、頭を丸めることと袈裟を身に纏うことになりました。

それは恩愛を断つ意思表示で、周囲の人から見て「あれは僧だ」と判別され、衆目の力を借りて自らを僧らしい振舞いに規制する意味であったはずです。

2,暁天・朝課 朝の坐禅とお勤めを行ずること

曹洞宗の命脈は坐禅です。最低限この二つを以て、宗門の僧は自らを僧であると言える確信としていいのではないか、と思います。

 

今週の一言

「僧である自覚を忘れない」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

 

 


サンデーサンライズ495 雪が来た

2024年12月01日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第495回。令和6年12月1日、日曜日。

 

12月、師走になりました。

今月も若干出かけることはありますが、割と落ち着いて来年の準備が出来そうです。

「寺の銀杏が散ると雪が降る」の謂われの通りとなりました。

先週、銀杏の葉について書きました。

あの後、火曜日の朝に強い霜が降り残っていた葉が一気に全て散りました。

この、ある意味潔さは気持ちがいいほどです。

風もなかったので、片付けも今のうちにやらないとと思い、手伝いを要請して4人で一気に片づけました。

次の日には雨が降り出したので間一髪でした。

「濡れ落ち葉」という隠語があるほど、雨に降られると落ち葉は地面にくっついて離れず、特に銀杏葉は片付けるのが難儀です。

躊躇しているうちに雪など降られてしまったら春までそのままになってしまう、と思っていたら、金曜日の朝、来ました雪が。

銀杏葉の片付けを絶妙のタイミングで終えることができホッとしています。

偶然に前日に葉のある写真を撮ってくれた人がいて、一朝のビフォーアフターを比べることができました。

自然の妙を感じます。

 

先週の日曜日千秋楽を迎えた大相撲11月場所。

大関琴櫻が見事優勝を果たしました。

先場所の様子を持て優勝はまだ先かと思っていました。

琴櫻ファンの皆様、大変失礼しました。

どうも先場所は腰痛があったようで、8勝7敗の成績に終わったのはその影響もあったようです。

以前から気になっていた最後の塩の時の鬼の形相ですが、解説の琴風さんによれば、「優しい子なんですよ、あの形相も以前は自分の気持ちを鼓舞するために無理に気合を入れていたようですが、今場所は自然に内から出ているように見えますね」と。

子どもの頃から見てきたいわばおじさんの見方ですから、きっとそうなのでしょう。

確かに今場所は、力が入りすぎて動きが硬いという感じもなく、どっしりと落ち着いて相撲が取れていたように見えました。

14日目の大の里戦の勝ち方は見事でしたね。

来場所は綱取りの場所になります。

これはひょっとするとひょっとするかもしれません。

大谷翔平が50・50をすんなり達成したように、意外とあっさりとなってしまうかもしれませんね。

今の大相撲界は、以前のように強い力士は絶対的に強いという様相ではなく、次から次へとおもしろい力士が顔を出してきて、目が離せない状況にあるように思います。

観ていても琴櫻だけでなく気になる力士がたくさんいます。おもしろい世代です。

来場所も楽しみにしていましょう。

 

外の冬支度は終わりましたが、事務仕事として片付けておかなければならないものがいくつかあります。

花の鶴楯の事業会計報告書提出、新酒販売開始の配布物、連絡業務、新酒を楽しむ会の設定など。

布教師養成所の事前学習、主題講話の原稿などもあります。

寺の方でも、年回表の準備、お札の準備、大掃除など正月に向けた準備も視野に入れておかなければなりません。

ということで、師走の名の通り気ぜわしさを感じる月となりました。

年賀状は出さないことにしたので、その分は事務仕事が軽減されます。

今年も色々ありました。

後もう少し、「忙中閑あり」で今月を過ごしたいと思います。

 

今週の一言

「忙しいかどうかは、主観」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

 

 

 


サンデーサンライズ494 銀杏が散れば雪が降る

2024年11月24日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第494回。令和6年11月24日、日曜日。

 

旅行中に一度うっすらと雪が降ったようです。

「寺の銀杏が散ると雪が降る」と地元の人間に言われているので、本格的な雪はもう少し先だと思われます。

先日の旅行を楽しみに今月初めからの業務を頑張ってきました。

19日に帰って来て心地よい脱力感に包まれています。

想定通り、底が抜けるぐらい楽しい旅でした。

旅館の朝食で飲み、昼食で飲み、もちろん夕食で飲み、移動のバスの中で飲み、飲まないのは飛行機の中だけでした。

さすがに飛行機の中でやかんを回すことはしませんでした。

それだけ飲んでも誰一人潰れる者はなく、周りに迷惑をかけることもなく、自分の足でしっかりと歩き観光地を巡りました。なかなかたいしたものです。

松江城の堀川めぐりでは船頭さんの歌に誘われて故郷の民謡を歌ったりして、あいにくの雨も全く気にならないぐらい楽しく過ごしました。

「目のお薬師様」一畑薬師として有名な臨済宗一畑寺にも参詣し、一畑薬師教団の管長でもある住職さんからお話を聴くことができました。

その際、ショルダーバッグを足元に置き忘れてしまいましたが140段の石段の下で思い出し事なきを得ました。

話を聴くまでは目が曇っていましたが、話を聴いて心眼が開けて思い出したんだなと、勝手に解釈しました。

出雲大社の参詣でいろんな縁が結ばれ、更に心の目が開けたかもかもしれません。

誰一人批判的な発言をする者もなく、和合和睦の旅となりました。そうなるような準備はしたつもりです。

今際の際(いまわのきわ)に思い出して微笑むほど楽しい想い出になればいいと思います。

 

寺に帰って来て、手つかずにいた冬支度に取り掛かりました。

植木の方は常にお願いしている人に留守中に済ませてもらいました。

その他に、本堂と庫裡の周囲の窓を囲い、盆栽を片付け、亀とメダカを屋内に移動し、池の鯉を籠で囲って、銀杏葉を片付けるという作業があります。

今年は雪が多いのか少ないのか、分からないけど多い時に備えておかなければなりません。

雪の降らない地方にはこのような作業も必要ないのだと思いながら、ここに棲む者の宿命と受け止めて黙々と続ける以外にありません。

 

最上の地酒を創る会の酒造りも進んでいます。

今年は2回に分けて仕込むことになり、第1回目は正月に間に合わせるよう今月から水の搬送を行いました。

米と水を最上町産にこだわり、酒米出羽燦燦は代表の奥山君が作っています。

水は三和食品さんの湧き水を汲んで運んでいます。

酒造りはいわゆる三段仕込みと呼ばれる方法で造られます。

まずは米と麹と水で酛である酒母を造り、そこに初添え、仲添え、留添えと三回に分けて蒸し米と麹と水を加えて増やしていきます。

その水をその都度全て最上町から河北町の和田酒造さんに運んでいるのです。

会の作業としてはこれが一番大変ですが、和田酒造さんから「この酒はこの水がいいからこの味が出るのだろう」とお墨付きをいただいているので、会員手分けして運んでいます。

1回目の留添えが21日だったので、20日にその分の水600ℓを運んできました。

後は和田酒造さんにお任せです。

第2回目の仕込みも12月25日の酒母造りから始まるので、同じように数回に分けて水運びが続きます。

全ては旨い酒ができるため、町の人々を喜ばせるための作業です。そして、会員の特権で真っ先にその味見をするためでもあります。

今年もいい酒ができますように。

 

今週の一言

「喜びの、三段仕込み」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

 


サンデーサンライズ493 役に立つのか

2024年11月17日 04時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第493回。令和6年11月17日、日曜日。

 

先週は木曜日に北海道から戻り、日曜日から東京でした。

今年度2回目の布教師養成所で金曜日まで研修道場に詰めていました。

今年度の年間テーマを「法が良薬ならば」として、現代社会の苦悩に仏法がどう応えられるのかを勉強しています。

その発想の原点は「現代社会に仏教は役に立つのか」という問いからです。

もし現代社会の苦悩に仏教が役立てていないのだとすれば、それは現代に生きる我々僧侶の責任であると言わなければなりません。

仏教・仏法が役に立つのかではなく、僧侶が「役に立てているか」の問題です。

お釈迦様の教えが2600年ほどの長きにわたって生き続けてきたのは、その時その時代の苦悩に仏教が寄り添い、衆生の救いとなってきたからに違いありません。

そこで今年度は、現代の苦悩を3つに分類し、7月の第1回は「根本苦、スピリチャル・ペイン」つまり、生老病死をはじめとする根本的な苦悩について、どんな薬・法を伝えられるかを学んできました。

第2回目の今回は「社会苦、ソーシャル・ペイン」についてでした。

「社会苦」とくくられるものには多種多様な苦悩があります。

今回養成所員が対象として設定した現場は、中高生、フリースクール、いじめ、教職員、保護者会、養護施設、人権学習、LGBTQ、SNSの問題、思春期の子どもと親、子育てママ、介護職員、過疎問題、環境ボランティア、被災者のつどい、北方領土の島民、平和のつどい等々。

実に多様な現場の苦悩に真剣に向き合って法話を作成してくれました。

その一つ一つの実演に対して、講師と所員が率直な感想や意見を述べ合い、ブラッシュアップしていきます。

50名の所員の実演が2回ずつ、研修課程の所員はさらに一般聴聞者を前にした「法話の会」と、とげぬき地蔵さんでの辻説法も行い、5日間で計100回以上の法話を聴きました。まさに飽和状態です。

今後、多くの布教師が上記のような現場に出向き実際に布教を行っていけば、社会の目は変わってくるだろうと思います。

「お坊さんもこういう問題を真剣に考え向き合っているんだ」「抹香臭い話だけじゃないんだ」という気づきから「今度お寺に行って和尚に相談してみよう」と思ってくれるのではないかと期待します。

お寺と和尚の存在意義の再構築です。

第3回目は2月に「生きがい苦、ライフプラン・ペイン」を対象として研鑽を重ねます。

 

金曜日に松林寺に戻り、今日から檀家衆と出雲方面への旅行です。

男性13名女性27名、総勢40名の団体です。

これを楽しみにして今月前半頑張ってきました。

松林寺団参恒例のやかんも準備しました。クーラーボックスに焼酎と割物も詰めて飛行機に載せていきます。

バスの中でこぼさないように、やかんに氷と焼酎と割物を入れて飲み具合のいい酒を作ってカップに注ぐのです。

以前は、調理用のボールに作りお玉で掬っていましたが、走行中の酔っぱらいはこぼしてばかりでさんざんな目に遭いました。

その反省から、このような形になったのです。今では松林寺の定番です。

そのまま飲める蓋つきのプラカップも用意しました。蓋にそれぞれの名前を書くためのマジックペンも忘れていません。

バスの席に貼る名前のタックシールをバス会社に送ってあります。

隣の席が誰かによって旅行は楽しくもなりつまらなくもなります。顔を思い浮かべながら組み合わせて指定席にしました。もちろん宿の部屋割も完璧です!

その場面を想像しながら準備を進めていくのが何よりも好きです。

きっと帰り着くまで笑い続け飲み続けることでしょう。ああ楽しみ。

 

今週の言葉

「楽しみは、自分で作る」

 

今週はここまで。また来週お越しください。