なあむ

やどかり和尚の考えたこと

境界線上のことば 16

2011年02月19日 19時32分39秒 | 境界線上のことば
突然思い出したように、懐かしいカテゴリーです。
冬になると首周りが寒くなり、欲しくなるのが、「襟巻き」か「マフラー」か。
自分でどちらを使うか迷うことがありました。
「えりまきとかげ」などというものが流行った頃がありましたから、境界線はけっこう新しいのかもしれません。「マフラーとかげ」とは言いませんものね。

「外套」は和装に使った言葉かと思いますが、70歳以上ぐらいの人は洋装にも使います。洋装では何を指すのかと言えば、それに一番近いのは「コート」でしょう。でも、それ以外のもの、例えば「ジャンバー」や「ブルゾン」「ジャケット」なども、「外套」の範疇に入るでしょうし、実際にそのように使っているようです。
この手のもので、今はほとんど使われなくなったのが「ヤッケ」。品物はあって、今でもそう呼ばれているのだと思いますが、極端に少なくなったということでしょうか。スキーするのはみんなこれでした。
「アノラック」。懐かしい名前でしょう。あの呼び方はどこへ行ったのでしょうか。
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境界線上の言葉 15

2009年09月18日 12時50分14秒 | 境界線上のことば

呼び方の変化した固有名詞には食品が多くあるように思います。

元々外来食品であったものが日本語化して呼び習わされてきて、外国語が一般化されてくるにしたがい、元の呼び方に戻っていく、というような例です。

1g17a 「たまな」→「キャベツ」などが典型的な例で、「にどいも」「ごしょいも」→「ジャガイモ」などもそれに似た例でしょうか。

また、田舎特有の呼び名が、標準語というか、都会的な呼び方に変わっていくという例もあります。

「いものご」→「里芋」、「とっきび」→「トウモロコシ」、「ととろいも」→「山芋」など、何故か芋類が多いようですが、加工食品では「きりごみ」→「塩辛」、「なんば(っこ)」→「唐辛子」なども標準化した例です。

今の「塩辛」は昔の「きりごみ」の味しねえ、などと、呼び名に味が染みついているなどということもあるでしょう。

呼び方とともに、味や調理の仕方も変化していくのかもしれません。


境界線上の言葉 14

2009年09月14日 05時36分59秒 | 境界線上のことば

久しぶりのこのコーナー。母と一緒にいると時々この言葉に気がつかされます。

「つっかけ」と「サンダル」

Fitfixrpww558img82 「つっかけ」が指しているのは「サンダル」だと思うのですがその他にもありますかね。

意味からすれば「スリッパ」も「つっかけ」なんだと思うのですが、スリッパが一般家庭に入ってきたのが遅いせいか、古い言葉は無いように思います。

これは椅子のちょっと下ぐらいでしょうか。けっこう若い者も使うことがあります。因みに「つっかけ」で検索したら画像がたくさん出てきました。まだ充分使われている言葉なのですね。

もう一つ

「てぬぐい」と「タオル」

E382bfe382aae383abe68e9be38191 この場合の「てぬぐい」は、いわゆる「日本手ぬぐい」ではなく、風呂で体を洗う布、の呼び名です。

一緒に風呂に行こうとするとき「てぬぐい持ったが(ぐぁ)」という使い方の言葉です。

もちろん言っている本人も、それは「タオル」であることは分かっているのだけど、ついつい「てぬぐい」と言ってしまう年代。この人たちは当然バスタオルなど使う習慣がありません、最近使うようになりました、という感じです。

椅子の少し上ですかね。

このコーナーでは皆様の投稿をお待ちしています。

椅子の上か下かというのは、「椅子」を「腰掛け」と呼ぶ年代を基準にして判断しています。


境界線上の言葉 13

2009年06月19日 20時40分07秒 | 境界線上のことば

先日の境界線上のおばさん方から出た言葉。

「ポケットとかぐす」

171118542491624454a これはかなり椅子の上ではないかと思われます。私もほとんど忘れてました。

あるいは一部の地域の言葉だったかもしれません。

また

「帽子をチャップ」と言っていました。これは当然「キャップ」からきたものがなまったのでしょう。

Big 意外とこれは今でも使われるケースがあるので、椅子と同じような時代かと言えます。

時代とともに変化していったものとして

「ズボン→スラックス→パンツ」

があります。ただ「パンツ」はファッション用語という感じではないでしょうか。作業ズボンとか下ズボンとか、ズボンも種類によっては現役に使われる言葉です。


境界線上の言葉 12

2009年06月14日 04時46分43秒 | 境界線上のことば

昨日は松林寺の大般若祈祷会。約200名の参詣者で本堂がいっぱいでした。

後片づけも終わって、手伝いのお母さん方とお茶を飲みながら境界線上の話題となりました。

さすが境界線上の年代の方々。懐かしい言葉がぼろぼろ出てきました。

「傘とこうもり」

01001369854_l 当地では、発音を正確に表記すると「こんもり」にjなるようで、「こんもり傘」という言い方もします。和傘と区別した言葉だったのでしょう。

また、体の部分の名称は古い言葉が多いようです。「でんび(額)」「おどがい(あご)」「ひじゃかぶ(膝)」「あぐど(かかと)」「べろ(舌)」「ずずこ(おっぱい)」など。

今考えてみると、「ズズコ」もアイヌ語と地名のコーナーで前回取り上げた言葉「スズ」同様、アイヌ語の泉からの転用かもしれません。湧きだしてきますからね。だとすると、他の体の名称も、アイヌ語との関連が気になってきました。調べてみましょう。

他にも色々出ましたが、もったいないので次回以降に譲ります。


境界線上の言葉 11

2009年06月09日 07時15分05秒 | 境界線上のことば

このコーナーにいつも投稿してくれるshunさんから、またまたいただきました。

「かき氷と氷水(こおりすい)」

4675580 そう言えばそんな言い方ありましたね。おばあちゃんが言っていたような気がします。意外と古いかもしれません。椅子の上かどうかは微妙ですね。やはりフォッサマグナ地帯でしょう。

私からも一つ。

「美容室とパーマ屋」

E383aae383a8e382b3e7be8ee5aeb9e5aea これはわりと新しいでしょう。私なども若い頃に行ったのは「パーマ屋」だという感覚があります。そう、パーマ屋でアイパーかけてました。でもおそらく消えていく言葉でしょうね。

同じように「理容室と床屋」がありますが、「床屋」は今も充分使われているし、これからもしばらくは残るのではないでしょうか。


境界線上の言葉 10

2009年05月24日 17時55分56秒 | 境界線上のことば

22日は私の誕生日でした。いえいえ、どうも、ありがとうございました。勝手に返事していました。

ということで、家族3人で河北の板長こと紀の代寿司へ。(ここにリンクも貼っていますので是非一度どうぞ)

ブログの話題となり、若奥様から境界線上の言葉をいただきました。

「味噌汁とおつけ(おづけ)」

H0000021319 味噌汁を「おつけ」というのは地域差があるかもしれません。最上町ではやはり腰掛けと同じような世代で(もう少し上かな)使っていました。最近聞かなくなりましたね。

東京出身の私の永平寺修行仲間が「おつけ」と言っていたのを聞いて意外に思いました。

「御付」で広辞苑に載っているので全国的な言葉だったのかもしれません。

「御御御付け(おみおつけ)」などと書いて味噌の宣伝をしていたコマーシャルが以前ありました。

「おつけ」そのものは消えていく言葉でしょうね。

さて、前回の言葉「背広」ですが、前回は時間がなくて書きませんでしたが、背広の語源にはいくつかあって、英語の「civil clothes」の「civil」が訛ったという説、ロンドンの高級洋服店「Savile Row」から売り出されたところからという説、など諸説があるようです。

日本語で「背広」と書くとどうしても上着をイメージしてしまいますね。


境界線上のことば 9

2009年05月22日 13時59分57秒 | 境界線上のことば

shunさんから

「スーツと背広」をいただきました。まいど。

68b7e17deca2bd0a しかし、スーツは上下揃いのことですし、正確には背広は上着のことだから、むしろ「ジャケットと背広」がいいかもしれません。

と、ここまで書いて、一応と思って調べてみたら、何と私の思い違い、背広とは、ズボンも含めた上下のセットのこと「スーツ」と同じでした。

「三揃え」についても書いてありましたが、三揃えはベストもつけた三点セットのこと。そういえば最近あまり見かけませんかね。ベストを別の色でコーディネイトしたりするかも。

アフガニスタンに行ったとき、多くの男性がスーツのベストを着用していたのを見た。ほとんどの男は子どもも含めて、民族衣装「シャルワールカミーズ」という上下の服を着ているのだが、その上にベストを着るというのが流行のようでした。いらなくなったベストを送ると喜ばれるかも。


境界線上の言葉 8

2009年05月21日 22時21分32秒 | 境界線上のことば

「結婚(式)とむかさり」

750197131924975c ここ数十年で全く変わってしまったものの一つに結婚式の形態があげられるだろう。

昔の結婚式、いわゆる「むかさり」は、嫁をもらう側の自宅で、親戚、集落、友人の手作りで行われた。私の従兄弟などは、昔ながらのむかさりをしたので、はっきりと覚えている。

村の入口で花嫁が車から降り、道の両側に村人が迎える中、花嫁行列をしたものだ。それが、村の仲間入りの儀式であり、披露であった。

変な話だが、その逆が葬儀の時の野辺送りだ。

私が永平寺から歩いて帰ってきたとき、村の人たちが、道に立って迎えてくれた。「むかさりを待つようだった」と言われたのを今でも覚えている。

結婚も葬儀も本人だけのものではない、村人全体の問題なのだという考えを「うっとうしい」と思うか、「大切なこと」と思うか。個人の意見が尊重されることと、村の連帯感は相容れない事柄なのかもしれない。


境界線上の言葉 7

2009年05月17日 19時16分40秒 | 境界線上のことば

久しぶりにこのコーナーです。

今日の言葉は

「トイレと便所」

J0405346 「便所」は、直接的というか、そのものズバリの臭いまでしてきそうです。消えつつある言葉のように見えますがいかがですか。

これを表す言葉はいくつかあって、「はばかり」「お手洗い」「化粧室」など。「バスルーム」などと言うと「欧米か!」と言われそうです。

禅寺では「東司(とうす)」と呼びます。

昔、伽藍の東と西にあって、「東司・東浄」と「西司・西浄」と呼ばれていたようですが、何故か東の名前だけが残ったのだとか。

「トイレ」も、長年使われ大衆化すればするほど臭いがついて消えていく運命かもしれません。

反対に、最近居酒屋などで「厠」を見かけます。時間が経って臭いが消えたということでしょうか。いつかまた、「便所」がトレンドになる日が来るのかも。