「猫」1966
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長谷川リン二郎の髭の無い猫は、不思議な絵だ。確かに髭がなくて顔のバランスは悪い。あれに髭を書き加えるのは確かになかなか難しそうだ。先が曲がってしまうのか、また白い髭がどのように輝くのか、どんな色に見えるのか、興味は尽きない。あの姿勢を再びとってくれないと描けないというのもよくわかるような気がする。
しかし黒の縞模様がなんとも良く描けている。四肢と尻尾を体の一部のようにまとめて寝る仕草もよく観察をしている。多くの評者が、長谷川リン二郎の絵は「中心がない」「全ての要素・対象物が等価に扱われている」から「不思議な雰囲気となっている」と指摘する。
確かに私もそのように思う。この絵も猫の顔からしっぼの先まで全てにおなじエネルギーの視線が感じられる。そして縞模様によって、猫の息遣いで体が微かに動いている錯覚すら覚える。
そしてなによりも背景の色の処理が何とも安定感を示す。赤と灰色のコントラストが、猫の黄色と黒、そして白といづれの色とも、ほどよく釣り合いが取れていると感じる。
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長谷川リン二郎の髭の無い猫は、不思議な絵だ。確かに髭がなくて顔のバランスは悪い。あれに髭を書き加えるのは確かになかなか難しそうだ。先が曲がってしまうのか、また白い髭がどのように輝くのか、どんな色に見えるのか、興味は尽きない。あの姿勢を再びとってくれないと描けないというのもよくわかるような気がする。
しかし黒の縞模様がなんとも良く描けている。四肢と尻尾を体の一部のようにまとめて寝る仕草もよく観察をしている。多くの評者が、長谷川リン二郎の絵は「中心がない」「全ての要素・対象物が等価に扱われている」から「不思議な雰囲気となっている」と指摘する。
確かに私もそのように思う。この絵も猫の顔からしっぼの先まで全てにおなじエネルギーの視線が感じられる。そして縞模様によって、猫の息遣いで体が微かに動いている錯覚すら覚える。
そしてなによりも背景の色の処理が何とも安定感を示す。赤と灰色のコントラストが、猫の黄色と黒、そして白といづれの色とも、ほどよく釣り合いが取れていると感じる。