Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

本日の読書

2011年02月13日 12時18分52秒 | 読書
「ヤマト王権」(吉村武彦、岩波新書 シリーズ日本古代史②)
「日本列島の政治的統合のプロセスを、時系列で位置づけると、
①倭国としての統合の展開(一世紀末から二世紀初頭)
②近畿地方を中心とする定型的規格ををもつ前方後円墳秩序の形成(三世紀中葉から後半)
③ヤマト王権の成立(四世紀前半)
という三段階を設定し、考察するのが妥当であろう。」
「ヤマト王権が②段階を前提として生まれたことを重視し、この歴史的ステージを「プレ・ヤマト王権」と評価することとしたい。ヤマト王権の成立にあたっては、それ以前に、すでに前方後円墳を築造する政治的秩序が形成されており、それを継承していることは重要な問題だと考える。」
「倭国へと統合するプロセスのなかで前方後円墳による政治的秩序を捉え、さらに発展した形態として、列島史におけるヤマト王権の成立を考えるということになる。」
「歴代遷宮はなぜ行われたのであろうか、言葉を変えれば、どうして同じ場所に王宮が営まれなかったのであろうか。結論的にいえば、ヤマト王権は特定地域を政治的・経済的基盤にするような王権ではなかったため、必要なところに自由に王宮を造ることができたからである。」

 この最後の引用はなかなか示唆に富むと思われる。また前方後円墳ではなく王宮の遷移に焦点をあてて歴史を解くというのも私には新しい視点に思えた。
 しかし後半になるに従い、日本書紀の記述による叙述になっているのはうなずけなかった。