本日は上野の国立博物館に「ボストン美術館 日本美術の至宝」展へ。天候が思わしくなかったためか、観覧の人もそれほど多くはなかったようで、ゆったりと鑑賞できたと思う。
まず目を奪ったのが快慶作の「弥勒菩薩立像」。全身金色に輝いているが保存状態も良いようで、金箔地の体の線、衣文の線の流れ、顔の表情など写実的でなかなかなまめかしい。また見ていて飽きない、どころか吸い込まれそうな視線を感じた。そして手の表情が秀逸だ。花瓶を持つ左手の小指・薬指のなんともいえない艶なる表情に吸い寄せられる。以前にも写真で診た記憶がある。はっきりはしないが、そのとき私が抱いた印象からはもう少しひと回りくらい小さいのかと思っていて、今回その大きさにも驚いた。
このすぐそばに「僧形八幡神坐像」(康俊作)も心惹かれた作品だ。僧形八幡神というものがどのような背景といわれがあるのかは私にはわからないが、端正でおだやかな伏目がちの表情といい、またゆったりとした座る姿勢など私にはとても好感度抜群であった。この二つはまたじっくりと見たいものである。
「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語絵巻」は展示にも工夫があり、私などの素人でも理解しやすい。彩色も鮮明だし、人物の表情・仕草もなかなかだ。こんなにも保存状態の良いものがあるということは驚きである。
長谷川等伯の「龍虎図屏風」、この虎は私の知人に言わせるとどうしても「猫」だそうだ。もっとも等伯は虎を見ていないと思われ、それもいたし方のないところ。首を傾げた仕草はどこか愛嬌があるが、それでも虎らしい威厳を見出すこともできる。等伯にとっては当然龍も想像上の動物であり、龍・虎ともにお互いを初認識して戸惑いを見せ合っている所の図とでもいったらよいのではないかと勝手に面白がれる作品だ。両者の間の雲、虎の立つ断崖、こちらは迫真の筆の冴えではないだろうか。
尾形光琳の「松島図屏風」、伊藤若冲の「十六羅漢図」、「鸚鵡図」も今回の見所の一つで「十六羅漢図」は水墨画としての明暗のはっきりした図でとても興味深かった。
今回、刀剣と染織も展示され、織物では唐織、小袖、縫箔などの能装束が目を惹いた。
しかし何といっても今回の見所は曽我蕭白である。その「雲龍図」の迫力はまさに奇才というのだろう。画面いっぱいにズーム写真のような構図は、龍を一層巨大に見せている。本日は見る人の数も多くなく、展示室を広く使って鑑賞できたのは、そしてその迫力を堪能できたのは、幸いであった。これもまた再度見に行かなくてはならない。「風仙図屏風」もその他の作品の惚けた味わいもなかなか面白い。
よくもこれだけの数々の作品がボストンに渡っていたものだと感心すると同時に散逸を免れた鑑賞できることに感心もした。なかなか見ごたえのある展覧会であった。
まず目を奪ったのが快慶作の「弥勒菩薩立像」。全身金色に輝いているが保存状態も良いようで、金箔地の体の線、衣文の線の流れ、顔の表情など写実的でなかなかなまめかしい。また見ていて飽きない、どころか吸い込まれそうな視線を感じた。そして手の表情が秀逸だ。花瓶を持つ左手の小指・薬指のなんともいえない艶なる表情に吸い寄せられる。以前にも写真で診た記憶がある。はっきりはしないが、そのとき私が抱いた印象からはもう少しひと回りくらい小さいのかと思っていて、今回その大きさにも驚いた。
このすぐそばに「僧形八幡神坐像」(康俊作)も心惹かれた作品だ。僧形八幡神というものがどのような背景といわれがあるのかは私にはわからないが、端正でおだやかな伏目がちの表情といい、またゆったりとした座る姿勢など私にはとても好感度抜群であった。この二つはまたじっくりと見たいものである。
「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語絵巻」は展示にも工夫があり、私などの素人でも理解しやすい。彩色も鮮明だし、人物の表情・仕草もなかなかだ。こんなにも保存状態の良いものがあるということは驚きである。
長谷川等伯の「龍虎図屏風」、この虎は私の知人に言わせるとどうしても「猫」だそうだ。もっとも等伯は虎を見ていないと思われ、それもいたし方のないところ。首を傾げた仕草はどこか愛嬌があるが、それでも虎らしい威厳を見出すこともできる。等伯にとっては当然龍も想像上の動物であり、龍・虎ともにお互いを初認識して戸惑いを見せ合っている所の図とでもいったらよいのではないかと勝手に面白がれる作品だ。両者の間の雲、虎の立つ断崖、こちらは迫真の筆の冴えではないだろうか。
尾形光琳の「松島図屏風」、伊藤若冲の「十六羅漢図」、「鸚鵡図」も今回の見所の一つで「十六羅漢図」は水墨画としての明暗のはっきりした図でとても興味深かった。
今回、刀剣と染織も展示され、織物では唐織、小袖、縫箔などの能装束が目を惹いた。
しかし何といっても今回の見所は曽我蕭白である。その「雲龍図」の迫力はまさに奇才というのだろう。画面いっぱいにズーム写真のような構図は、龍を一層巨大に見せている。本日は見る人の数も多くなく、展示室を広く使って鑑賞できたのは、そしてその迫力を堪能できたのは、幸いであった。これもまた再度見に行かなくてはならない。「風仙図屏風」もその他の作品の惚けた味わいもなかなか面白い。
よくもこれだけの数々の作品がボストンに渡っていたものだと感心すると同時に散逸を免れた鑑賞できることに感心もした。なかなか見ごたえのある展覧会であった。