夕方近くになってから横浜駅近くのいつもの喫茶店まで出かけて、一服。「湘南幻想美術館」(太田治子)を読んだ。本日は10編をのんびりと読んだ。
印象に残った絵画作品は、ギュスターヴ・クールベ《海岸の竜巻〈エトルタ〉》(1870年)と、佐伯祐三《窓のある建物:パリ風景》(1925年)の2作品。
これらの作品につけられたストーリーは少々私の持つ絵に対する印象とはかなり違う。もっともではどんなストーリーを想像したのか、と問われると硬い頭の私には答えようがない。
著者である太田治子は、クールべの作品に、一見誠実さを装いながら女を口先で騙そうという男の話を配した。佐伯祐三の作品には、すぐにばれる嘘をついて女を騙す軽薄な男を配した。
クールベの作品からは、自然の威力に対するに人間の観察力を対峙しようとする意志の力。佐伯祐三の作品からは都会の片隅の崩れそうな建物の向こうにうらぶれた庶民の生活。これを私は感じている。そんな物語を匂わすものを想像している。
感じ方はいろいろなものがあることは前提である。反撥も含めていろいろな想像力を駆り立ててくれるこの書物に感謝している。
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