昨日は20日の発刊を待っていた「酒井抱一」(井田太郎、岩波新書)を購入。
「ゴヤⅢ」(堀田善衛)はまだ読み終わっていないが、両方併読することにした。
酒井抱一は琳派の中ではもっとも惹かれる。鈴木其一も気に入っているが、デザイン性が前面に出てきて、人を驚かすような押し出しの強さを感じる。一方酒井抱一は抒情性豊かで、心のゆとりも感じる。姫路15万石の譜代大名の次男に生まれ、藩主の兄ともども江戸文化の先端で活躍している。
大名の手慰みとはいえ、江戸時代の大名の文化的素養はなかなか時代の先端に位置していたといえる。特に絵画は世界の絵画史の流れを敏感に反映していたともいえる。いわゆる博物誌的な観察にも見るべきものが多いといわれる。さんな文化的な最上級武士の担った文化の再評価にも惹かれる。
そして酒井抱一が俳句をはじめとしてさまざまな階層との文化的な交友関係を結んでいたということにも興味がある。
井田太郎という作者は私は初めて読む。立ち読みの範囲では期待できそうである。