メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

チェーホフ『黒衣の修道僧』

2011-02-09 19:52:18 | 
『黒衣の修道僧』(未知谷)
アントン・P・チェーホフ/作 ユーリー・リブハーベル/絵 中村喜和/訳

あらすじ
勉学に没頭しすぎて精神を病んでしまったコヴリンは、
医者のすすめで、育ての親であるエゴールの果樹園でひと夏療養することに。
文学修士であるコヴリンを誇りに思い、崇拝すらしているエゴールは、
四六時中、果樹園の心配をすると同時に、娘ターニャが継いでくれること、
もしくはコヴリンと結婚してくれればよいと心中を打ち明ける。

一方コヴリンは、黒衣の修道僧の蜃気楼があらゆる場所に出現するというフシギな伝説に捉われていた。
ターニャは信じなかったが、ある日コヴリンは修道僧の幻影に会い、「お前は選ばれた知恵者だ」と言われ歓喜する。

コヴリンはターニャと結婚し、幻影と毎日のように会話していたが、
妻は「2人のほかには誰もいない。あなたは病気なのです」と泣く。
喀血も伴ったため、医者の忠告の下、再び療養生活となり、
いまや幻影も見ずに凡人と同化したことを嘆くコヴリン。
義父エゴールをも軽蔑し、妻を罵倒し、すっかり人格まで変わってしまう。。


あとがきによると本作は、チェーホフ自身が見た夢の中に黒衣の修道僧が現れてヒントを得たという。
問答的会話が多くて、とても難解であると同時に、なんとも言えないホラーを見ているようで、
快活だった青年、幸せで素朴な父と娘、豊かな果樹園が様変わりしてしまう様子がただただ哀れになる。
青年が精神を病んでて、幻影を見てることも知った上で結婚するターニャ、それを勧めた父エゴールにも驚いたし。


以下、抜粋メモ。

p.33
「至高の大義に奉仕し、意識をもって自由に生活しているおまえたちがいなければ、人間なんてつまらん存在だ」

「真の快楽は認識の中にあるが、永遠の生命は認識のための数限りない、汲めども尽きぬ泉になるのだよ」


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モーツァルト歌劇『魔笛』(全2幕)

2011-02-09 19:39:28 | 演劇・オペラ
モーツァルト歌劇『魔笛』(全2幕)
ザラストロ=クルト・モル
タミーノ=フランシスコ・アライサ
弁者=ヤン・ヘンドリック・ローテリング
夜の女王=エディタ・グルベローヴァ
パミーナ=ルチア・ポップ
パパゲーノ=ヴォルフガング・ブレンデル
パパゲーナ=グドルン・ジーベル
モノスタストス=ノルベルト・オルト

バイエルン国立歌劇場合唱団
指揮:ヴォルフガング・サヴァリッシュ

収録:1983年 ミュンヘン バイエルン国立歌劇場


あらすじ
いきなり怪物(大蛇)が出現!驚 タミーノ王子は「もうダメだ・・・」と失神。
そこに3人の侍女が現れ、あっけなく大蛇を倒し、王子がイケメンだと騒ぐ
夜の女王に報せると、「悪魔に囚われた娘パミーナを取り戻してくれたら妻にしてもよい」という。
深いブルーの豊かなドレス&煌く王冠をかむった夜の女王は美しい!まるで小鳥のような歌声。
写真を見ただけでモーレツ恋をしてしまったタミーノは、魔笛をもらい、3人の童子に案内してもらう。

パパゲーノ(全身鳥の羽をつけてるw)は、お供としてついてゆき、先にパミーナを見つける(早っ!
太陽の輝く昼を支配するザラストロ(低音が魅力的)は悪魔ではなく、夜の女王こそ高慢なんだという。
♪男がいないと、女は自分の本分を超えてしまう など女性蔑視みたいな歌詞も多い
パミーナが欲しければ、さまざまな試練を乗り越えなければならない。
第1は沈黙を守ること。でも、パパゲーノはオウムの意味からとった名だから黙っていられないんだよね
主役が歌うどころか、ずっと黙っていなきゃならないオペラってすごいよね。

2幕。夜の女王がパミーナに「父を殺して復讐せよ!」と短剣を渡す時の歌は、
以前にも書いたけれども、ヒトのカラダが生きた楽器と化す1曲
黙りこくったタミーノに、心が離れてしまったのだと失望して、
自殺を図ろうとするパミーナ(極端すぎ)を止める3人の童子。
約束が守れなかったパパゲーノも失望して首をくくろうとして、やっぱり3人の童子に救われる。
パパゲーナと再会する時に歌われる歌も好きv

炎、水の試練も2人で乗り越え、無事タミーノとパミーナは結ばれる。



3人の童子は空を浮遊するし、門がシルエットになったり、工夫されたけっこう大掛かりな装置。
場所の移動は、後ろの絵の描かれた幕が流れてゆくことで表現しているのがのどか~

エジプトの奴隷のメイク&衣装はかなり差別的では?
魔笛を吹いた時に現れる動物たちは、なぜか二足歩行で「猿の惑星」よりブキミだ!
背を向けてもちゃんと聴こえるアライサの声量と歌唱力はスゴイ!

以前、ケネス・ブラナーが監督した映画は観たが、改めてオペラとして観るのもまた面白かった。
モーツァルトの楽曲は綺麗な高音がスピーディに流れて、とっても華やか!
解説には物語りのつながりがメチャクチャだってことが強調されてたけど、それほど気にはならず寓話のよう。
ほかにも「フリーメイソンとの結びつきが強い」とあった/驚 元は自由石大工組合(メーソン=石工)。
モーツァルトはとってもハマって、親類まで引き込んだらしい。そんな裏事情もあるんだね。


ソットヴォーチェ=伊Sotto Voce 静かに押さえた声で、という意味。まさにソットボッセにつながる言葉v

追。
オーケストラで1番お給料がいいのは打楽器の人だって図書館のコがゆってたがホントなのかな?w
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