メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

“春はあけぼの”の秘密 清少納言 悲しき愛の物語@歴史秘話ヒストリア

2019-04-07 13:46:03 | テレビ・動画配信

私は「源氏物語」は漫画でしか読んだことがない

清少納言のほうが好きで、学生時代に「枕草子」がとても好きだった

確か短大の面接の際にも、好きな作家として答えた

「彼女は平安時代のワーキングウーマンで、尊敬している」というようなことを言った気がする

 

【内容抜粋メモ】

「春はあけぼの ようよう白くなりゆく山際 少しあかりて」

春の夜明けの美しさを見事に捉えた「枕草子」の一節です

国語の時間 誰もが習った枕草子

実は、平安女性の日常を綴ったブログのような内容だった

そこに描かれているのは、貴族達の華麗なファッションや 憧れのスイーツ 甘い恋の駆け引き

千年前の平安女子のトキメキが詰まった宝箱を開けてみましょう

 

清少納言役:上原多香子

 

エピソード1 枕草子 トキメキの旅へ

今から1000年前 きらびやかな宮廷文化が花開いた平安時代

その新しい文化の担い手として活躍していたのは清少納言等宮中に仕える女性でした

清少納言が日々見聞きした出来事などをまとめたエッセイ それが枕草子です

もしかして 現存しているのか?写しか?

 

この作品は300余りの章から成り立っています

大きく分けると日記のように出来事を記録した部分が約1/3

残りは心の赴くままに 思いついたことや 素敵だと感じたことなどを書き留めたもの

枕草子は 当時の最先端の女性が何にときめいていたのかを知ることができる、平安文化のカタログのような作品なのです

 

枕草子を読むとまず目を引くのが「ファッション」についての記述

「宮様は白い着物の上に くれないの からあやを羽織っていらっしゃる

 それはもう美しくて 夢を見ているような気持ちになる」

 

「大納言様の 紫のお召し物は とても趣があって素敵」

 

1000年前も今と同じ 華やかな服に心を奪われる様子が分かります

 

風俗博物館(京都 下京区)

平安時代の装束を復元している博物館を訪ねました

 

学芸員さとみさん:

こちらは清少納言の時代の多くの女性の正装の十二単です

特徴は何枚も重ね着をすること 単(ひとえ)と呼ばれる肌着の上に

ウチキと呼ばれる 色とりどりの着物を重ね着していきます

上着とから衣を羽織って 合計9枚

 

十二単とは言っても 12枚というわけではないんだそうです

最後に 後ろに長く引きずる裳(も)をつけて完成

 

上原:思ったよりは 重くないですね 不思議と ただ、身動きは全く取れない

清少納言の時代 重ね着の枚数に決まりはなく 中には十数枚重ねて着ていた人もいたそうです

「枕草子」には着物のトキメキポイントがこう記されています

 

「さくらや、かいねりかさね、すおうかさねも素敵 藍や白の重ねも綺麗」 (ひらがな書きの文字もステキなんだよね

 

「襲(かさね)」 色を組み合わせること

十二単着こなしの鍵は、華やかな上着ではなく

この襲がよく見える袖口や裾の部分の色の組み合わせを季節に合わせて選ぶことが平安女子のトキメキでした

 

●京都伏見区

春夏秋冬 実際どんな襲を着ていたのでしょうか

平安時代の色彩の専門家 吉岡幸雄さん

 

古代の染色技術の復元に取り組んでいる吉岡さんは

薬品や化学染料は使わず、天然の素材だけで平安時代の色を再現しています

吉岡さんに当時の技法で再現した 四季の襲を見せていただきました

 

「桜の襲」

吉岡:これは白 色を拾うようにして なんとなく桜の花が咲いていくという雰囲気を出してるんです

 

清少納言がときめいた桜の襲

薄く透ける白い生地に ベニバナで染めた薄紅の三段階のグラデーション

これは淡いヤマザクラを表現したものです

 

「初夏の襲」 濃い紫 紫 薄紫の三色に、緑は菖蒲とカキツバタのイメージ

 

「秋」は濃い茜色と 少し薄い周防 赤のグラデーションに黄色の組み合わせは色づくモミジです

 

「冬」 寒中に真っ先に春を告げる 色鮮やかな梅の襲が見事です

(日本には美しい四季があって いいよね 今の時代はこうした四季の区切りがなくなってきている

 

枕草子には「装束は時に従う」という言葉が出てきます

衣装は季節にぴったりと合わせたい そんな気持ちを表す言葉です

それぞれの季節を襲で表現し、それを身にまとう

それが平安のおしゃれの極意だったのです

 

清少納言は、この他にも 恋愛や旅行など 沢山の心ときめくものを枕草子の中であげています

「スイーツ」

中でも女子のお気に入りと言ったら外せない食べ物のイチオシそれはかき氷 

「上品で心惹かれるもの 削った氷に 甘葛(あまづら)を入れたもの」

当時の宮廷行事の記録にも 夏の暑い盛りに 御所に氷が運ばれていたことが記されています

冷蔵庫もない時代 いったいどこから氷を持ってきたのでしょう

 

京都市北部の西賀茂氷室町

 

1000年前から 宮中に届ける氷を作ってきた集落です

周りの山々から冷たい空気が流れ込む天然の冷蔵庫のような地形をしています

山の斜面に残る平安時代の氷保管庫へ案内してもらいました

 

京都市文化観光資源保護財団 北田さん:この窪地 ここが氷室跡です

氷室平安時代の氷保管庫 一見ただのくぼみ

このすり鉢のような場所で一体どうやって氷を保管していたのでしょう

 

氷室は直径およそ5m 深さおよそ3m 中央に柱が立てられ 雨風を防ぐ屋根で覆われていました

床には大量の炭がぎっしり 湿気で氷が溶けないよう内部を乾燥させる工夫です

山の斜面をくりぬいて作った氷室は、一年中温度変化が少なく、氷を夏まで保管することができました

 

氷はどこで作られたか

秋 稲刈りの終わった田んぼに冬に水をまいて氷を作る

氷ができたら、その上にまた水をまいて 順々に氷を厚くしていく

良質の氷を作って、それを利用した という話が伝わっています

冬場は氷点下となる日が多い山の中 田んぼの周りには春先でも分厚い氷が張っています

自然の力を巧みに利用する平安の知恵がトキメキのスイーツを生んでいたんですね

 

「甘葛」

蜜のようなものと思われますが 一体どんなものだったのでしょう

平安時代の食文化の研究者 前川さん(奈良女子大学古代学学術研究センター 協力研究員)」:

木に絡まっているつたが 平安時代 あまづらと呼ばれていた植物でした

 

短く切った枝の一方にテープを巻く 反対側から 強く息を吹き込むと 透明な樹液が出てきました

舐めてみると ほのかな甘さがあって 植物の甘さがそのまま出ている

 

どれくらいの甘さなのか糖度計で調べてみる 14.6% 桃やメロンに匹敵する甘さでした

集められた樹液は 何時間も煮詰めて蜜にします

 

スプーン一杯の蜜を作るにも大量の枝が必要だそうです(テープは平安時代ないよね?w

甘いかき氷は、当時は大変な贅沢品 だからこそ人々にとって心惹かれるものでした

 

「枕草子」には、思わずクスッと笑ってしまう 一風変わった習慣もあります

この棒を使うのですがなんだかわかりますか?

 

「粥杖(かゆづえ)」

宮中では毎年1月15日 健康を祈ってお粥が炊かれました 粥杖はそれをかき混ぜるもの

しかし使い方はそれだけではなく 当時この杖で女性の腰を叩くと子宝に恵まれると信じられていました

そのため、「枕草子」によると、朝から女性達は腰を打たれまいと用心してキョロキョロ

その隙をついてうまく叩いた時にはみんな大笑い

この日は無礼講なので、お姫様でも、なぜか男性までも餌食に ストレス発散にぴったりといったところでしょうか

 

このように 宮中の様子をおもしろおかしく綴られた枕草子

実はこの作品が誕生した背景には、作者・清少納言の知られざる悲しみの物語が込められていたのです

 

エピソード2 清少納言運命の出会い  

華やかな平安文化の最先端に身を置いていた清少納言

幼い頃から雅な生活をしていたと思いきや 実はそうではありません

京都から遠く離れた港町 山口県防府市 清少納言はこの町で育ったと言われています

 

ここにはかつて周防の国の役所がありました 「周防国衙跡」

およそ1000年前 清少納言は周防に赴任する父に連れられ、ここにやってきたと伝えられています

 

清少納言の生まれた清原家は和歌の名門 

その実力は百人一首の中に曽祖父、父、清少納言の3人が選ばれるほど

 

清少納言の父のもとすけから 和歌や漢詩の英才教育を受け 文学の素養溢れる女性に成長します

 

清少納言に人生の転機が訪れたのは28歳の時 (当時はいい歳だね

その才能を聞きつけ、宮中から宮使いの誘いが来たのです

仕事は天皇の后に仕える女房でした

 

当時、天皇は複数のきさきを持つことが常識

そこで、きさきは競って様々な才能を持つ女性を女房としてスカウトします

魅力的なサロンを作ることで 天皇の寵愛を勝ち取ろうとしたのです

 

当時の女房の多くは10代から宮仕えをするため サロンは華やかなものでした

「私は30代目前 本当に宮仕えが務まるのだろうか? でも憧れの雅な世界 一度はこの目で見てみたい」

 

京都学園大学人間文化学部教授・山本さん:

清少納言は宮仕えに自分の幸運を見出そうとしていたのだと思います

そこに行けば彼女の大好きな雅の世界 機知に富んだ会話の世界が繰り広げられている

そうした最先端の文化に我が身を浸したいという強い憧れ 願いがあったのではないとしないでしょうか

 

遅咲きの宮中デビューを果たす

悩んだ末、正暦 4年(993年頃) 清少納言は宮仕えを始める

しかし、宮仕えは簡単なものではなく 宮中に初めて入った頃は失敗すること数知れず 涙がこぼれそうでした

戸の影に隠れているのが清少納言

落ちこぼれ女房だった清少納言は、宮中にいても人目につかぬよう 引きこもってばかり

いつになったら人並みに仕事ができる日が来るのだろうか そんな弱音を書き残しています

 

そんなある日、清少納言の主である定子の目に留まる機会が訪れます

雪が降り積もった日のこと 定子が女房になぞかけをしました

「香炉峰の雪はどうなっているのでしょうね?」

 

「香炉峰」とは中国の有名な山の名前 はるか海の向こうのことなどわかるはずがない

他の女房が怪訝な顔をしていると 清少納言はにっこり笑って 縁側に近づき御簾を持ち上げて見せました

 

すると定子は「お見事」と微笑みます これは有名な漢詩を踏まえたなぞかけでした

「香炉峰の雪は簾をかかげて看る」という一説がもとになっています

 

清少納言は漢詩を踏まえ 美しい庭の雪が定子に見えるように機転を利かせたのでした

清少納言が仕えた定子は 11歳下の17歳 文学好きで 機知に富んだお姫様です

二人は趣味もぴったり同じで意気投合

清少納言は定子のサロンで持ち前の才能を存分に発揮するようになります

 

ある時、定子のサロンに帝がやってきました すると定子は女房に今すぐ何か歌を詠むようにと命じます

突然のことに同僚の女房はなかなか良い歌が思い浮かびません 気まずい雰囲気が漂います

その場を救ったのは清少納言 スラスラと歌を書き始めました

(私はもう年を取って老けてしまいましたけれども 帝は若くて輝いていらっしゃいます)

「古今集」の歌を引き 三十路間近な自分をユーモラスに読み込みつつ 帝の若さを歌い上げました

「お見事」と定子様も帝も大満足 サロンはほっと明るくなりました

帝にも才能を認められた清少納言は、定子のサロンを支える名物女房として欠かせない存在になっていきます

 

女房というのは勤め先を知的に美的に盛り上げるためのスタッフ

清少納言はその能力を遺憾なく発揮して女房集団の中で筆頭のような位置についた

 

「清少納言というセンスの良い女房がいるらしい」 噂は宮中に広まっていきました

 

「恋文」

清少納言の元には夜毎イケメン貴族たちがお忍びでやってくるようになりました

お相手は名門藤原家の御曹司を始め とびきりの貴公子ぞろい

美男子たちと甘い恋を楽しむ毎日が始まります

でもそれは長くは続きませんでした この後に待つ悲劇が 千年の名作を読むことになるのです

 

夢のような宮中生活を謳歌していた清少納言

幸せいっぱいの様子が伝わってくる恋の歌も残しています

それが百人一首にも収められたこの歌

 

この歌に込められた真意は

「関所は夜の間閉じられていて、朝にならないと開きません

 あなたは鳥の鳴き真似で関所を開けるように 甘い言葉で 私の心を開こうとしてばかり

 でもそんな手に引っかかって 簡単に会ってはあげませんよ」

歌の才を存分に発揮し 宮中でもひときわ輝いていた清少納言

ところがこの後 予想もしない悲劇が襲います

 

エピソード3 枕草子 涙の誕生秘話

清少納言が宮仕えを始めて3年目 定子は初めての御子を懐妊します

幸せの絶頂にあった二人が 互いを信頼し合う様子が「枕草子」に記されています

ある時、清少納言は自らの恋愛観をこう語りました

「もし誰かに愛されるとしたら 私は一番じゃないと嫌 2番や3番なら死んだ方がマシ」

それを聞いた定子は問いかけます

「私が一番好きなのが あなたじゃなかったらどうするの?」

清少納言は遠慮がちに答えます 「いいえ、一番じゃなくても構いません」

「意気地なしね 一番好きな人に一番に思って欲しいって 胸を張って言いなさいよ」

お互いを一番に思い合う二人の強い絆が伝わるエピソードです

 

長徳元995年 定子の父 朝廷の最高権力者だった関白 藤原道隆が病死

 

すると、定子の父をライバル視していた左大臣の藤原道長が次の権力者へ名乗りをあげました

道長の一族は、ライバルを追い落とそうと様々な陰謀を画策

定子の兄達は謀反の罪に問われて京都を追放されてしまいます

 

さらに定子の屋敷も原因不明の火災で焼失してしまいました

身重だった定子は、仕方なく仮住まいを転々とします

しかし用意された屋敷はどれも天皇のきさきの住まいとは思えないみすぼらしいものでした

没落していく定子を懸命に支えようとする清少納言

しかし、清少納言は定子たちを陥れた藤原道長のスパイだと言う噂が流れていたのです

清少納言と恋仲になった貴族たちが道長の側近だったことが理由でした

 

「あれだけ定子様に愛されながら、裏で政敵と通じる裏切り者

「なぜ定子様はあんな女を側に置くのか」 同僚からの批判の声は高まる一方でした

これ以上、定子様の元にいては迷惑がかかる

清少納言は定子の元を離れ、実家に引きこもるようになります

清少納言を失った定子は、次第に宮中で孤立していきました

女房たちは次々と定子の元を離れ、サロンからはかつての輝きが失われていきます

それに代わって宮中で一大勢力となったのが天皇に嫁いだ道長の娘のサロンでした

多くの美女や、名門貴族の令嬢、紫式部や和泉式部 のような才媛までを取り揃え、帝の寵愛を受けていきます

(紫式部と清少納言てライバル同士じゃなかったっけ? 清少納言を嫌ってたんだよね

 

たった一人で耐えている定子様を 私は隣で支えることができない 一体どうすれば・・・

そんな折、清少納言のもとへ包みが届きました 入っていたのは真っ白な紙

文章を書くのが好きな清少納言を元気づけようとする定子の心遣いでした

感激した清少納言は、その紙に定子と宮中で過ごした 楽しい日々の思い出を書き始めます

 

辛い毎日を送る定子に これを読んでもらい 少しでも明るい気持ちになってほしい

そんな思いで綴られていたのが あの「枕草子」だっだったのです

 

 

月の明るい夜 御車に乗って 川を渡るとき 水晶が割れるように水が飛び散る様は素敵でしたね

 

偶然、人の恋文も拾ったことがあります

破ってあるのをつなぎ合わせてみたら 中身が読めたことがあって ドキドキしました

 

腹の立つことと言ったら お忍びで恋人が訪ねてきたのに 大声で吠えてしまう犬w 本当に台無しですよね

 

眠くて寝ている時 がブーンと音を立てて 顔の前を飛んでいくこと ああ憎たらしい(わかる!

 

定子様にお仕えして嬉しかったことがあります

定子様がたくさんの女房の前でお話しされる時、いつも私と目を合わせてお話ししてくださることを私はたまらなく嬉しいと思っていました

そしてほどなく 清少納言の書いたものが定子に届けられます

 

「少納言よ そなたの思い 確かに伝わりました」

感激した定子は 清少納言に返事を用意します それは小さな包み紙 中には 山吹の花びら

「言はで思ふぞ」と書かれていた

(あなたに帰ってきてと口に出しては言わないけれど あなたのことを心から思っています)

(花びらに書くって、昔の人は本当にセンスがあったね

 

清少納言は宮中へ戻る

定子様は私を必要としている 清少納言は定子を守るために宮仕えに戻る決意をします

宮中へ戻った清少納言は、各地の寺社を参拝して回るようになりました

 

京都伏見稲荷 京都の東山にある伏見稲荷を訪れ 険しい山道を必死に登って参拝

 

またある時は奈良の長谷寺を訪ねます

(ゴーゴーと音を上げる谷川に身を縮めながらも 観音様に祈りを捧げました)

 

参拝の理由は、定子の健康と安産祈願だと考えられています

 

長保2年 定子24歳でこの世を去る

その祈りも虚しく、3度目のお産の直後 定子は24歳の若さでこの世を去りました

定子を失った清少納言は ほどなく宮中から身を引きます

そしてかつて定子のために書き始めた文章を一つの作品として完成させました それが「枕草子」

「枕草子」は 清少納言が定子と過ごした 美しい思い出が詰まった宝箱

千年の時を経て読み継がれることになる名作は、たった一人の姫君のために捧げられた作品だったのです

 

清少納言が宮中を去った後 「枕草子」は平安貴族の愛読書となる

一方で 作者の清少納言は厳しい批判を浴びた

源氏物語の作者・紫式部は日記にこう記しています

 

清少納言は、自分の教養をひけらかしてばかりだ

 定子との機知に富んだ漢詩のやり取りなど 自分の自慢話ばかりを書いている」と世の批判を浴びたのです

(やっかみだな バックが代われば、取り巻きもかわる 女性の園はコワイコワイ

 

それから200年後の鎌倉時代

清少納言への評価は変わっていきます 「無名草子」

 

「清少納言が定子を襲った悲劇や、その後の衰えぶりを一切書かず

 美しいことだけを書き残したことは、主への素晴らしい心遣いだった」

悲劇の中でこの世を去った定子を最後まで明るく前向きに支えようとした清少納言を人々は賞賛したのです

 

徳島県鳴門市

定子の死後 流浪の旅に出た清少納言がここに流れ着いたという伝承がある(流浪の旅、憧れる

地元に伝わる清少納言の墓は 地域の女性たちの 厚い信仰を集めています(大根と人参?

 

毎月10日の縁日には 安産や健康を祈る人々が 大勢訪れます

定子の幸せを一心に祈り続けた清少納言は 京都を遠く離れた地で 女性の守り神になっていました

自分を認めてくれた たった一人の姫を守るためにその生涯を捧げた清少納言

「春はあけぼの」に始まる千年の名作には、その尽きせぬ思いが 綴られていたのです

 

 

コメント

『ポケットのABC』眉村卓/著(角川文庫)[前編]

2019-04-07 13:46:02 | 

眉村卓/著 カバー/木村光佑(昭和57年初版)

※「作家別」カテゴリー内「眉村卓 角川文庫」に追加しました。

 

[カバー裏のあらすじ]

「何だ、あれ」 ぼくは身体を乗り出して、新幹線の車窓のかなたをみつめた。

集落の、とある家に、洗濯されて干してあるシャツの一枚ごとに、 背番号のように文字が書かれていたのだ。

読むと、……タスケテクレ……となる。 が、ぎくりとした瞬間、文字は消えてしまった。さてその結末は……。 「タスケテクレ」より

奇妙な話、耳よりな話、恐ろしい話愉快な話、ふざけた話、迷走する話etc……。

眉村卓の、SFショート・ショート満載。「ポケットのXYZ」の姉妹編。

 

▼あらすじ(ネタバレ注意

ひとり遊び

おかしな夢を見た 目を覚ますと、緑色の皮膚の3人が立っている

「あなたにひとり遊びをさせたいの それを観察したい お礼もする」

ホールのような場所にきて、スクリーンなどがある

そこでいろんな妄想をしろと言われて、絶世の美女を考えると スクリーンに棒と丸だけの形が出てきた

「群衆10万」「殺し屋を1000人」

「グンシュウ ガ コロシヤ ニ テイコウシハジメタ」

バルコニーから見ると群衆が「独裁者を殺せ!」とわめいている

「助けてくれ!」

「よろしい では、お礼として夢だったことにしてやる」

そこで目が覚めた

みんな、何もかも、誰かの夢にすぎないんじゃないのかね

もっと本気で考えたほうがいいんじゃないか?

 

お相手

耳寄りな話をもちこんできたヤツがいる

重要なポストのお嬢さんを、ある会議の間だけ軟禁しなきゃいけない

 知識も経験も豊富でプレイボーイの君にやってもらいたい 5時間でいいんだ」

20代の美人で、いろいろな話をするが、すべての専門的知識を持っていて敵わない テニスをしても選手並み

「大成功だ」 「どうして?」

「彼女は退屈しなかったじゃないか いよいよ本番だ  本物は彼女よりもっと博学多識ですごい人だよ」

ぼくは逃げ出した

 

AとBとCの話

Aの話

「妙な姿でした 近づこうとすると、叫んで、強烈な光線を送ってきて反撃しました

 私の宇宙船を誰が弁償してくれるんです? はるばる遠い星から来たのに」

 

Bの話

「私の記憶バンクにはない乗り物でした ロボットの務めとして戦いました  相手も応戦し、乗り物を壊してやりました」

 

Cの話

「まだ大多数は信じませんよ 異性人の乗った宇宙船が降りてきて

 銀河連邦からの非公式の使いが友好関係を樹立しようとしていたけれども

 出くわしたのは半分壊れたガードマンロボットで撃ち合いになりました

 私にはどうにも出来ない 幽霊ですから 見ているほかないじゃありませんか」

 

どこかで聞いたような話

研究報告。第三惑星から送られたと思われるフシギな乗り物と

品々を解明しつつある そのうち植物性の資料の解読をした

「四季」の文章の直訳 これを我々の表現で読みます(高度な科学的な言葉で話す

なんと恐るべき世界でしょうか

この世界ではメタンの海はなく、猛毒の水があり

そこに住む生物の姿は眺めるだけで気分が悪くなります 報告は以上です

 

終電車

終電車でむこうの隅に女が1人座っている

いつのか間に正面に座り、髪も着物も濡れている

微笑したが、氷のような笑い方だ 海藻の匂いがする

「私と一緒に行くんでしょう? 逃がしてたまるものか!」

同時にひどい衝撃を感じた 電車が何かにぶつかって脱線転覆した

見舞いに来た電鉄会社の人は

「怪我をさせたのは申し訳ないが、あなたはあの辺りで投身自殺した亡霊にとりつかれて殺されるところだった

 いつも頭蓋骨が転がっていて、内密に片付けています  あなたは幸運だったんです」

 

ロボットのたたかい

これまでずっと僕が負けている 友人のほうが作戦が上手いからだ

でも、今回は新しいロボットを買っている ロボットの軍隊をぶつけて戦わせるのだ

これまで僕の軍隊は古代ローマ軍で、小遣いをためて増やしてきた

友人はナポレオン時代のフランス軍

僕は快速の騎馬隊で包囲にかかったが、友人はうまくしのいだ

こうなればとっておきの新兵器しかない 相手のロボットの統制がとれなくする電波を出すのだ

だが友人は僕より一回り大きな電波撹乱機を持っていた

「これで、相手のロボットは自分で判断する 一種のスパイ的要素を持っていて

 君のロボットたちに、これまで1勝もしてないから戦うだけ無駄だと送ったんだ

 悪いけど、これは戦争だからねえ」

 

見えないたたかい

映画を観て、プールで泳いだ後で疲れていた

地下鉄が来て、1つ席が空いている 優先席

僕は座った 少し眠ると急に胸が針で刺されたように痛くて目覚めた

前に立っている老人の一人が見つめている

君のように若い人は、席を譲るのが当然だ

僕はテレパシーを投げ返して抵抗し、超能力で攻撃したが、老人のほうがずっと勝っていた

こうした争いに大多数の人は気づいていない

4、5人は超能力者がいたが、みんな中年以上で、僕がやっつけられるのが当然と思っている

「どうぞ おかけ下さい」 「や ありがとう」

超能力を持たない人々は、久しぶりに親切な若者を見たという気分を感じ取り

僕はドアの横に立った

 

最高刑

裁判長が被告人に最高刑を言い渡し、どよめきが広がった

最高刑とは、被告人を過去の必ず死ぬ状況へ送り込むものだ

「この最高刑が、かつての死刑と違うのは、被告人が必ず死ぬと決まってないところである

 3つの状況から選べる

 1.源平の戦いの壇ノ浦の合戦の平家として戦う

 2.戦国時代末期 織田信長が比叡山を焼き討ちにした時の僧兵

 3.21世紀初頭の大暴動で完全鎮圧された大阪民兵団」

被告「どこだって生き延びてみせるさ」

廷吏「核物質を盗んで、原子爆弾を作り、面白半分に都市で爆発させ

何十万を殺したヤツにこんな甘いことでいいのかね」

 

深夜のできごと

深夜2時 車のエンジン音、大勢が行き来する靴音で目が覚めた

窓から見ると何十台ものトラック  がひしめき、 バリケードには迷彩服で銃を持つ人々がいる 自衛隊の演習か?

反対側からも同じようなのが来て銃撃が始まった

そこに1台の乗用車が来て、たちまち炎上した

我に返り110番すると、パトカーが来たが警官も射殺された

むこうのマンションの窓が灯り、銃火はそこに集中し火事になった

テレビをつけても何も映っていない 見たことのない形の戦車が来た

現場は巨大なレッカー車みたいなのが片付けていった

どこでも何も言わない 火事で何人か焼け死んだという記事だけ

同じマンションの人たちも見たが、それを話した人はみな行方不明になる

町を歩くと道路に大穴が空いていたりする所があるけど 本当に何もなかったのか?

 

復元映画

「今日の21時に試写会をやるから観にこないか」と誘われた

「普通の立体映画じゃなく平面映画で、白黒なんだ」

白黒映画は専門家の教材以外は禁止されているだろう?」

「今日のは1コマずつコンピュータ分析してカラー化してあるんだ」

映写が始まると、話に聞いた花びらのようだ 男女が制服と着物で歩いている とても派手だ

あれは満月に違いない

しだいに耐えられず「やめろ! もう辛抱できない!」と誰かが叫んだ

「コンピュータは忠実に本来の色を再現したが、なぜこんな強烈か分かった

 我々が観てきた映画や絵画は、色が褪せていて、今のが本当なのだ」

「それが事実なら情けない 羨ましくて、やりきれない」

金属と岩壁に囲まれた色の乏しい単調な世界 地下で生き延びている人間には侘しいのだ

第五氷河期に入って2000年 

まだ何万年も続くだろうから、地上のあんな色や風景を見ることは一生ないんだ つまらないなあ」

 

色即是空

姿形の似た君たちなら分かってくれるだろうと話す

はじまりは、自分の心に描いたものを映像化することからだった

それではもの足りず、立体化し、本当に生きていること望んだ

そのうち人間づくりが流行りだした その流行も終わり

次は自覚していない部分が求めるものを作る技術が出てきた

あらゆるものが横行し、いい加減にしようという者が増えた

優れた存在は、人間より長生きする ある意味、神さまみたいな存在だ

神さまが無数に出現し、互いに争い、連合し、二大勢力になった

神さまにとっては、地上のことなど構っていられない(どっかの国みたい

神々の最終的な対決で、地上は滅びるだろう

君の乗り物ならうまく逃げ出せるかも 僕も神さまづくりに従事して逃げられないんだ

君は神さまを取り押さえに来た? それが仕事?

君にしたらあれは化け物で、君が本当の神さま?

なんだかいよいよ分からなくなってきたなあ

 

テリカさん

テリカさんがうちのFM局にバイトとして入り、僕のアシスタントになった

彼女はあまりに有能で、バイトどころか、どの職種でも第一級の技術者の実力者だと分かった

だが、いわゆる女らしさがまるでなく、みんな女の子として惹かれはしなかった

パーティで酔った別の社員がテリカさんに手を出して 「待て、痴漢」言うなり男は宙返りして落ちた

テリカさんはもうバイトを辞める時期だと言った

私は22世紀から来た 過去を調べる実習で来たけど

 この時代は女にとってまだまだ不便だねえ

 能力があっても、男より一歩さがっていなきゃいけないし

 一段上みたいな顔をしてる男の能力も大したことないし  でも、これで論文が書ける じゃ、ね」

近頃の僕は、恋人にするならテリカさんみたいな人がいいと考えるようになった

 

進路指導

テストの結果と調査書について

調査書には育った環境、知人の自分についての意見まである

それをコンピュータにかけて、結論を職業表に照合すればいい

君のもっとも高い数値は研究職 それ以外の分野に進んでもぱっとしない

え?絵を描きたい? 平均以下で努力しても無駄です

コンピュータは、判定した職に落ち着くよう勉学の機会も提供する

たしかにコンピュータの面子優先かもしれません

しかし、コンピュータに権威がなければ、誰もこの進路指導に従わなくなる

せっかく莫大な金をかけたのに税金の無駄遣いになるでしょう?

 

マイ・タイムマシン① 試用

他人はみんな僕をおっちょこちょいだと言う

僕の所に大きな段ボールに入った箱が届き、ガイドブックにはこうあった

これはタイムマシンです とてもカンタンに組み立てられます

 使用料は要りません 24時間使って気に入ればお支払いください

 気に入らなければ、近くの海か山へ捨てれば回収します」

20時間もかけて作り上げ、使う時間が減ってしまった

ガイドブックは何百ページもあり、読むひまはない

僕はGOを押すと時間を飛びはじめた 止めるスイッチを押すと水中だ 必死でまたGOを押した

次は砂漠だ 未来か過去かも分からない

「助けてくれえ」 帰るにも、ここは僕の時代より土地が低いため、 帰ったら土と重なり大爆発するだろう

なんとか自動帰還スイッチを見つけて戻ってきた

 

妻:

だからインチキだって言ったでしょ?

消えたと思ったら、次の瞬間ずぶ濡れで、血だらけで ほんとにおっちょこちょいね

あの機械、捨ててもらったわよ

請求書が来て、500円て安かったけど、あんな物騒なものいらないわ

 

マイ・タイムマシン② 講義(一)

第四地域一般相談セクションです タイムマシンを買いたい? 金はうんとある 資格も持っている

ご存知でしょうが、タイムマシンが厳重に管理されているのは

やたら歴史を変えられては困るからです 知っている?

金儲けの手段でタイムマシンの売買も制限されています それも知っている?

歴史の話で、私たちが無事でいられるのは、タイム・パトロールが守っているからです

自分の時流だけは途絶えさせまいとそれぞれ必死で頑張っているわけです

タイムマシンを売る時は、自動的に別の時間に行く型に限られる

それなら、私たちの歴史に危険はない それでも欲しい?

あ、それ武器ですか? 原子分解銃?

おまえ、よその時間の流れから来たんだと?

それにしても時間の流れなんて無数にあるのに、その全部を支配しようなんて出来ないと思うな

同じ真似をしているグループが何十もあり、全宇宙の支配権を争うなんて バカなヤツだよまったく

 

マイ・タイムマシン③ 拾い物

酔って、金屑置き場のような所に着いた

そこに変なものがあり、ソファに腰をおろすと音がして、振動があり

気づくと広い道の真ん中にいる どう見ても平安時代です

やたらスイッチを押して、轟音がして、化け物が降下してきた 未来の戦争に違いない

またスイッチを押したが、ヘルメットの連中に捕まって、穏やかな照明の宇宙船のような所にいました

アンタ ステラレタル タイメマシン ツカッタ

 ワタシタチ タイメパトロール コワレタ タイメマシン 過去ニ ステテイル  モット古イ時代ニスル」

僕はちゃんと送り届けてもらいました

この間、古墳を発掘したら妙な残骸が出たけど、あれもその1つですよ

 

マイ・タイムマシン④ 講義(二)

教授は、自分の研究室に来た3人の学生にタイムマシンの説明をした

「仮にあるとすれば、やはり箱か球の形が自然だな

 ある時間から移るとしたら、周囲の空気が殺到して爆縮が起こるに違いない

 だから空気がない高さまで上昇する形式にならざるを得ないだろう」

 

学生:

とても面白く拝聴しました

僕たちは遠い未来から来ました

はるか昔の学者が時間旅行をどう考えていたか調べています

 

3人は妙なカバンを持ち上げ消えてしまった

幻覚だと思っていると、また現れ、お礼だと紙幣の束を置いた

「未来のものだと面倒なことになるので  私どもが複製したので、決してバレません では」

幻覚に決まっている

 

隣りの紳士

友だちとの待ち合わせまで2時間もありアレンジボールをやり始めた

パチンコに似たもので、最近ハマっているが、今日はなかなか入らない

横の台の初老の紳士が山のように儲けているのでトイレで声をかけた

「みんな景品と替えたんですか?」

「普段あまり買わないものが手に入りますからね

 お金を出せば、それだけのものが確実に買えるが  このゲームだと手に入るかどうか分からないのが楽しい

 おかしなもので、あのゲームは懐が寂しいとよく負けるが

 200万ほど持っていて、10万くらい負けてもいいと思うと勝ってしまう」

 

友人が来て、彼は有名人で、あり余るほどのお金持ちだと言う

「それならもっと馴染みになればよかったな」

「君が得をするような無駄金は使わないと思うがね」

 

賭けの天才

Fは高校時代の同期生だった とても及ばない成績で、社会に出ても有能だ

理由を聞くと「普段から研究した計算のたまものさ」と言うばかり

僕とFはよく賭けをした 僕はいつも負けた Fはこれも仕事と同じだという

これは変だ 「何かからくりがあるんだろう?」

「ちゃんとデータを集めれば、必ず勝つ」

「君は未来が読めるんだろう?」 「だとしても誰も信じないよ」

Fは会社を辞めた 会社は引きとめたが、なぜかバイトでその日暮らしをしている

それ以外は空手、剣道を猛烈に学び始めた 理由を聞いても、腕を磨いておくとしか言わない

腕力が必要な時代が来るのか それが怖いのだ

 

彼女の手紙

ある試験に失敗し、夜のスナックで酒を飲んでいた

隣りにいた当時の彼女がなぐさめてくれた 彼女に言われると自信が出て、効果があるのだが長続きしない

「あんたはすぐに自分をダメだと思いこんでしまう  私があんたに励ましの手紙を出してあげる

それから毎週1本ずつ手紙がきた

「あなたには才能がある」などとお世辞と思いながらも自信が出て嬉しかった

彼女とは別れたが、その後も手紙が来た うんざりしながらも、不愉快ではないからそのままにしていた

仕事は軌道に乗り、結婚しても手紙は毎週届く 彼女に連絡を取ろうとしてもつかまらない

僕はもう70歳です 先月、彼女の死亡記事が出ていました

一生独身で通し、その道で有名になったようです

それなのに、やっぱり肉筆の手紙が来るんです

僕が亡くなるまでずっと続くんでしょうかねえ

 

速読術

僕がFM局のディレクターだった頃 部屋にバイトの安田が1人いて

山と積まれたハガキを分類するのが1枚あたり0.1秒もかからないのに驚く

理由を聞くと、ひとりでに速読術を身につけたのかもしれないと言う

その後、ただの速読術ではなく、超能力ではと思いテストする

企画書などを出して見せると、ちらりと見ただけで内容を当てるが、レコードのジャケットは分からないという

安田:

印刷したものだダメなんです 僕にはテレパシーを感じる力があるんじゃないか

なにかに書かれたものの思念を感じる「残存思念」 だから印刷やコピーではダメなんです

この力を利用しようとしても、大して使い道がないと判明しました 現代は何でもコピーの時代ですからね

 

この間、安田氏と出会った 今は大学の助教授だ

残存思念の力は残っていて、答案を見る時は助かるが、その程度だと言う

 

タスケテクレ

新幹線に乗っていると、山間の集落に太い赤い文字で「タスケテクレ」とある

歩道橋を歩いていた時には、少年が旗を振っていて

手旗信号を読み取ると「タスケテクレ」だった

慌てて少年のもとに行くと手には何も持っていない 「体操の練習をしていただけだよ」

その後も文字は現れては消える 誰が助けてほしいのだろう

僕もやっと就職が決まった 病原体の研究所だ 錯覚はまだ続いているが他人には喋らない

 

ある日記

きょうから日記をつけることにした 文章の練習のためだ

(朝何時に起きて、食べたもの、会社でとった電話の本数などを細かく記録する

日記を書くのは疲れる 明日からはもっとカンタンにしよう

「起床 食事 会社で仕事 帰宅 食事」が毎日続く

それも面倒になり「前日と同じ。」が続き

「×曜日だった」が続き それも空しくなり空白が続く

8月14日 きょう、宇宙人がやって来た めしを食わせた

8月15日 宇宙人に連れられて宇宙船に乗せてもらった もう地球へ帰れないと言われた 困る。

 

※この文章は、第45回銀河系第4辺緑地域探査隊が持ち帰ったもので、原住民は帰してやった

 なぜこの記録を残したか、よほど重要な意味があるとみて研究を続けている

 

「きみ、これじゃ使いものにならない まるでSF小説じゃないか

もらった注文はSF小説だ

右利きだった編集者は左利き 瞳は黄色だ

ぼくはいつの間にか、よく似た別の世界に来たのだろうか

 

 

 

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『ポケットのABC』眉村卓/著(角川文庫)[後編]

2019-04-07 13:46:01 | 

観察対象

担当係員「観察対象は目の前の少年だ 向こうからは我々の姿も機械も見えない」

ぼくは集中して観察した

 

先生は「なぜ宿題をやってこない?」と怒っている

「君は宿題が難しすぎるというから、やさしい宿題を出した  それでも分からないという

 昨日の問題は5+7だ これが分からないのか?」

少年「横に加えるのか縦なのか、半端はどうなるのか・・・」

先生「君はへりくつをこねて馬鹿にしてるのか いい加減にしろ!

 

担当係員「あの少年はカミオンエールだ」

「あれが26世紀に地球連邦を作り上げた伝説の哲学博士?」

担当係員:

世界史に名を残す人物が、いつも子どもの頃からずばぬけていたとは限らない

その時々の教育制度には特徴がある 才能を潰してしまう場合も少なくない

今度はエジソン 彼も子どもの頃は当時の学校教育に適応出来なくてね ・・・

だからいろんな時代の優秀な若者を選抜してタイム・パトロール員に仕立てるこのやりかたも

適当なのか、訓練しながら、ぼく自身疑問に思うんだ

 

最終テスト

先輩:どうやら、君はわが社に採用されそうだ だが最終テストがある

50のジャンルのうち1つ選んで正確さ、スピードを測定する

ぼくは動植物の部門を選び、試験場に行くと、もう14、5名が着席している

係員:やめろと言うまで答えをマークしてください それでははじめ

あらゆる問題が出て、ぼくは死に物狂いで続けた

 

先輩:受験者1人に1体ずつロボットがついている それと競争した 君は高得点だ! よかったな!

ロボット化率100%でも、ちっとも嬉しくなかった

 

実験開始

同じ素質を持つ人間が、教育・環境によりどう違ってくるかの実験開始

今回は3000人のクローン人間が、政治家や科学者などの教育を受ける 殺人のプロなどもいる

元は極めて平凡で個性のない男が選ばれた

今日、クローン人間たちに計画のことを告げたらショックを受けたようだ

仲間と行き来し、付き合うようになってきた 仲間意識が恐ろしく強い

反乱だ! 2650人のクローン人間が世の中をひっくり返そうとしている

自分たちにこんなことをした社会が許せないのだ それぞれのプロ集団でもはや抵抗できない

 

第1年×月×日 我々は実験を開始する

我々の体細胞から生まれた1万人の男の赤ん坊と、もっともふさわしいと決議した女の1万人の赤ん坊を

一番望ましい環境で、優れた人間になるよう育てる

我々が永久に権力を握るための第1年目なのだ

 

大秀才

課長「すごい秀才がわが課に来るぞ」

私は課内で唯一の女性だ 女子社員は管理職に昇進させないのが、わが社の不文律だ

石田さんが来て3ヶ月になる むしろ平凡で、きちんとした青年で気楽に付き合うようになった

好意を抱きはじめ、結婚して半年になる

石田が会社で見せる顔は、実はまったく演技だと知った

彼はすべて分かった上で、いずれ、自分が思うように手腕をふるえるようになったら本性を現すというが

他人の気持ちを汲める優しさも持っているのは不幸かもしれない

会社勤めなどやめてはどうかと言ったが、笑うばかりだ

ひょっとすると、私に示す優しさも演技ではないだろうか?

必要なだけ引きとめて、要らなくなれば放り出すつもりでは

どこまで本当で、嘘か分からなくなったが

世の中の男は、程度の差はあれ、似たようなことをしているのではないかと なぐさめたりするこの頃なのだ

 

スーパー・スター

秀才で、ハンサムな青年は「手紙を突っ返された」と話す 読むとスーパー・スターの話だ

アシダ・チグサは翔んでる女として有名でした 才能、美貌は超一流で私は何度も会おうとしたがダメでした

何年か過ぎても片思いは続き、彼女は政界に入り、日本の政治をすっかり変え

外交で手腕を発揮 若さと美しさは変わりません

十数年が経ち、彼女は世界のスーパー・スターです

とうとう地球を1つの連邦にまとめ、若さと美しさは変わりません

彼女は人間ではない みんなも言っています 宇宙人かロボットなのです

私の片恋に終わるでしょうが、それでいいのだと信じます

 

「君は小説スタイルで書いたんだね そりゃダメだよ

 宇宙人かロボットなんて言われて喜ぶ女はいない

 これはコピーで、名前のところだけかえたんだろ 怒るのが当たり前だよ」

「こうすれば能率的なんですがね」

 

イガロス・モンゴルベエ・ヤイト

ワイスカのところにゼウスが来て、人間の話をするとワイスカたちは喜んで聞き入る

ゼウス: 空へ帰るために人間はいろいろ試みた ボイジャーはコースを離れて別の世界へ飛んでしまった 本当に可哀相だった

ゼウスは泣き、ワイスカたちも泣いた

 

ゼウス:

次に空へ行こうとしたのはモンゴルベエという人間だ

どんどん上がって、今度は降りていき、池に落ち、息が出来なくなって死んだ

3人目はヤイトという プロペラを念力で回す仕掛けだ 念力で押し潰されて体が半分になった

 

ほかの隊員が彼の話を止めた

「やめて下さい隊長 酔っ払ってでたらめなことを喋るのは

 ワイスカたちは本気にするじゃないですか

 隊長の話のほうが、我々の講義より面白いから余計に迷惑です 自重してください」

 

Vさんのファンと

同業のSF作家Vさんについて聞かれる

ペンドービンタ惑星シリーズには、現実感があって好きだと

そういえば、Vさんのノートはとても変わっていた

いろんな点やら落書きで、それは星新一さんの作品についてでした その図が全部表しているそうです

そうです あなたが今お書きになった図形ですよ みな知っている? 懐かしい?

ペンドービンタ惑星が懐かしいんですか?

僕には分かりませんが、たまには僕の本も読んでくださいよ

 

テスト機

「何か面白いことはないかな」という口癖は珍しくない

友人は「度胸試しをする気はないか? テスト機に乗ってほしい 謝礼も出す」

約束の日、目隠しをしてどこかに連れられ、シートに座らされた

目隠しを取ると、客は僕だけだ 離陸の音がして、雲の上に出た

エアポケットに入り、エンジン音が不意に止まった スピーカーに向かって叫んだが答えがない

操縦室には誰もいない こんな馬鹿な(出た 眉村さんの口癖

スピーカーから友人の声 「これはラジオ・コントロール機だ 安全装置がついているラジコン旅客機のテストなんだ」

僕は絶叫した「助けてくれ! 人殺し!」

着陸と同時にドアが開くと、大きなスタジオで、乗っていたのはロープで吊られた箱だった

友人:

これはわが社自慢のシュミレーション装置だ

ラジコン旅客機に一般人が乗ったらどうなるか反応を調べたが

あんなにパニックになるんじゃどうしようもないな

 

特技

「A教授をからかわないか」と山田が言い出した

A教授は、いつも謹厳実直な態度を崩さず 退屈して落書きをした学生はひどく叱られた

山田と僕はどちらが彼を驚かせるか賭けた

山田は、A教授の講義をテープに録音して、ノートに書き、教卓に置いた

A教授は「大変よろしい 学生はこうノートをとるべきでしょう」 作戦は失敗だ

 

僕は細字書きの特技をいかして、最前列に座り2cmくらいのノートに書いた

「真面目に講義を受ける気があるのか?」 「ノートもとっています」

教授はルーペで覗き込み、驚いて感心した 賭けは勝ったが後が厄介だった

教授はこれをほかの人たちに話し、僕がいつカンニングするか分からない生徒としてマークされるようになった

試験の間中監視され、答案など書けやしない 僕は単位を半分以上落としてしまった

 

講義の相手

このクラスは初めてだなと思いながら、私は講義をはじめた

学生はとても真面目にノートをとっている しかし内容は分かっているのか?

レヴェルを上げてもみんなはついてくる 冗談を言うとみんなはどっと笑う

さらにレヴェルを上げても学生の態度は変わらない

私はつい気を緩めて、ほかの大学教授の愚痴を言い始めた 学生たちはノートをとっている

急にシンとなり、見ると、教室にいるのは、今、冗談にした教授たちだ

何も悪気はなかったんだ! いつもの夢だった

 

「あの先生、どうしてあんなに退屈な講義しかしないんだろう」

「あの先生が1度、冗談を言ったのを聞いたことがあるよ その後、気を許しちゃいかん、これは夢じゃないんだと呟いたんだ」

 

ノートの男

50歳くらいの男が手にノートとペンを持っている

「突然、声をかけてすみません 私はいろんな方と会い、ノートしているんです  ご協力いただけませんか?

 昔、国木田独歩が「忘れ得ぬ人々」という作品で出会った人をノートして

 それに習って、15年前から始めて、115冊目なんです」

「どうする?」と彼女に聞くと 「それで、私たち何かいただけるの?」

「いいえ これは私の趣味だけなんです」

彼女は断って、ぼくは残念だったが立ち去った

 

僕たちは結婚した 思ったより幸せでもなかったが こんなものだろうと年月が経っていった

ある時「私の出会ったすばらしい人たち」という本が刊行された 著者はあの時の男だ

書き溜めた中からいいものを選び本にしたのだ たちまちベストセラーになった

 

さて、今の妻は何と言ったか

「あなたがもっと私をリードして、やらせていればよかったのよ

 先の見通しが立たない人なんだわ チャンスがあってもいつも逃してしまう・・・」と延々続いた

やっぱり彼女と結婚すべきではなかったのか

でもぼくは先の見通しの立たない男だと認めることになるし

 

事情があります

僕は何人もの女と付き合い、別れた 挙句の果て、今の女房と結婚した

でもプレイボーイと非難するのはやめてほしい 事情があるんだ

ぼくは一時に何人も付き合ったのではない その相手に逃げられたのでもなく、恐ろしくなっただけだ

 

最初の彼女はとてもきれいで夢中になった

「まるで人間ではないみたいだ」

「よく分かったわね」 彼女は2mほどの煙柱になって消えた

その後、ぼくは彼女を町で見かけた また人間に化けているのだ

 

次の女性はしっかりしていた

「とても普通の人間とは思えない」

「どうして見破ったの? さよなら」 途端にあのタコの火星人そっくりになり

「他人に洩らしたら、どうなるか分かってるわね?」 僕は気絶した

その後、友人の家で彼女に会ったが、何も言えずに去った

 

その次の彼女は特徴のない人で 「君って人間らしい人だね」

見ると、彼女は金属のロボットであると明かした

「私の本性が分かったら逃げるの? あなたの愛はその程度なの?」 それからも追いかけられて、逃げるほかなかった

 

今の女房はずっと人間のままだ

でも、やっぱり化けていて、正体を現すようなヘマをしないだけかもしれない

正体を現すほうがまだ純情じゃないか?

 

友人を作る会

入学式が終わり、広場にはいろんなクラブが勧誘している

真面目な顔の男が「友人を作る会」という看板を立てている

「わが会では、ちゃんと友人を作ることが出来ます」 「面白そうですね」

「あなたは入会です! あさって第1回のミーティングがあります」

 

当日 お金を払い、テキストをもらった まず友人の定義が書いてある

こんなこと言われなくても分かっているのにということが細々と続く 周りは一心不乱に読んでいる

「あなたは読まないんですか?」 「こんなの常識じゃないですか」

「それなら、あなたはわが会には縁のない人です やめていただきます」

 

上級生:

あの会は「集中装置使用者」が仲間になってるんだよ

勉強以外で気が散らないようにする装置を頭に埋め込むんだ

近頃では小学生、その前から使う人もいるらしい

大学に入っても外さないから、人間的な付き合いが出来ないんだ

 

対面

「私が、きみの親だよ」 ぼくと同年配に見える男だ 「そうですか」

現代では、25歳になると老化が止まる装置が施されている

「そういえば、ここで親だという女の人に会いましたよ」

「いつ? 半年前なら親じゃないよ 君の女親は、2年前に南極都市に移住したそうだ

 遺伝子で適当なのを選んで人工交配するから、君は僕の16人目の子どもらしい

 君も自分の子どもと対面することになるよ それが定めだ 親子の絆を確認するんだ  じゃ、元気でな」

 

妙な儀式だった

でも、人工交配で、人工子宮で産まれる人間はこうしなければならない

クローン人間が増えると、僕たちみたいな人間は貴重なのだ

 

アルバイト その1

よく来てくれましたね、記者諸君

学生の頃、僕はバイトで生活していました

学校は卒業しても、就職する気はありませんでした

ぼくは何種類もの専門知識をもつバイト人間だったんです

それで日本を脱出して、このバランス国にやって来た

革命が起きて「自由バランス国」になった

みなさんは、ぼくを革命の戦士と考えていますが、違います バイトとして参加したんです バイトの将軍です

それに飽きて、バイトの行政府長官になり、また大変動の後、バイトの大統領にされてしまった

努力するうちに、バイトの初代王様にまつりあげられた

ぼくはもう飽きたんです これではもうバイトではないじゃないですか いい加減やめたいんです

そうはいかない? アルバイト王朝の創始者だから? そんな話を発表するわけにはいかない?

国王陛下なんてやめてくれ! ぼくはアルバイトなんだ やめさせてくれ!

 

アルバイト その2 昼休み

僕は金がなく、ランチを抜くしかない ギャンブルが好きで、強いつもりでいた

それで毎月の小遣いを稼いでいたが、今月は負けっぱなしで、なんとかしなければ

1年ほど前に退職したMから声をかけられた

「いいアルバイトがある 1時間3万円になる あさっての日曜日に10時間だけだ」

 

Mは当日、ぼくのアパートに来た

大きな四角いカバンを開けると 、その装置のへこんだ部分に顔をつけ、急に眠くなり寝てしまった

気づくと、体が動かない 目が覚めると大の字で寝ていた 夢だったのか?

ひどく酔っていた 枕元には30万円あった

風呂に入ろうと服を脱ぐと、お腹の皮膚の一部が変色している

 

翌日、出社するとOLが話すには、僕は昨夜、町で酔っ払って大げんかし

相手は3人もいて、ひとりが腹にナイフを刺して逃げたそうだ

 

M:

悪かったな あんたは体を貸すバイトをしたんだ

この地球には、実体もない宇宙人がたくさんいて 人間の体に入り、感覚を楽しみたいんだ

彼らが作る紙幣は本物だ 体はちゃんと修繕するから、またよかったら頼むよ

1ヶ月後 今月もツイてない またバイトしようかなと考えている

 

アルバイト その3

ぼくが奇妙な能力に気づいたのは高校に入ってからだ

バレーボールの試合を観戦していると、弱いうちの学校は準決勝までいった

その後、クラスメートと歩いていたら、彼は映画会社からスカウトされて、人気者になった

修学旅行でバスが玉突き事故に遭ったが、ぼくのいたバスは全員無事だった

ぼくは、幸運に恵まれた男と評判になった ただし、僕の周りに幸運が訪れるのだ

 

僕がようやく入社したのは、かなりのオンボロ会社だ

いつまでもこんな幸運を分け与えるのは損だとアルバイトすることにした

僕に何かを頼むと、お礼として1割もらう

それを始めると、幸運は消えた それで思い当たった

この能力はぼく自身にプラスに働かないのだ

もう能力をあてにするのは諦めようと、仕事に身を入れると業績があがり

昇進し、ぼくは会社に尽くした それがダメだった

自分のために会社に尽くし始めると業績は悪化し倒産した

苦労の末、ぼくは国家公務員になった

仕事に熱中しないようにしている

僕が仕事に精を出せば、この日本が倒れてしまうではないか

 

アルバイト その4

アルバイトセンター係員は

いい加減ではやれない仕事だ それだけ報酬もいいが」と言ったが、それを承知で引き受けた

仕事は「フルタイム・モニター」 24時間、見聞きし、体験するあらゆる商品のモニターだ

朝起きるとベッドの感じ、歯みがきの感触、洗面所の感じ・・・ すべて手帳に記していく

世間にはこの仕事を大勢がしていて、関連のメーカーやディーラーに報告される

数日経つとだんだん苦痛になってきたが頑張った

期間は1週間で、手帳を提出すると、もう1週間やってみないかと言われた

 

今度は、生活様式を先方の指定どおりにしてくれという

1日目、指定された最高級のホテルに泊まったが、食費などは自弁だ

2日目は地下道で寝ろという 友人に見つかり恥をかいた

3日目、夜行列車で寝ろといわれ、満員で通路に座り、ろくに眠れなかった

4日目にとうとう断念した

ある民宿で1泊の予定が、変な男がいつも観察している 聞き出すと

「私はモニターのモニターなのです」

(これと似た話を聞いたことがある スーパーの試食販売をちゃんとやっているか監視する仕事  噂かもだけど

 

辞めてからだいぶ経つ

金が不足すると、フルタイム・モニターの高報酬を思い出すが、もうやる気はない

あれだけフルタイム・モニターがいるのに、日常生活もサービスも ちっとも良くなったように感じられないからだ

あれは僕たちがどの程度まで不便に耐えられるか

どこまで商品やサービスの質が落とせるか そのために行われているように思えて仕方ないからだ

 

 

【著者あとがき 内容抜粋メモ】

この本に収録したのは昭和55年~57年にかけてFM大阪の「男のポケット」という番組のために

そのつど書き、放送で読んだ作品群の前半で、後半は『ポケットのXYZ』とした

そこでのショートショート群は、その前の『ぼくたちのポケット』として刊行し

今度の2冊はそのつづきと言えるが、だいぶ内容が変化している

 

『ぼくたちのポケット』は放送用だから、耳で聴いて分かりやすく

視聴者はSFやショートショートに馴染みのない人が多いから あまり得体の知れないものは書かなかった

しかし番組を続けるうち、そうした配慮も不要となり とにかく面白ければいいのではという気分になった

読み返してみると、その過程がいやでも見えてきて 自分でもなるほどという感じがする

読者にとってどうかは・・・やはりお読みいただくしかないのであろう

***

ラジオのパーソナリティを長年やったり、ほかのあとがきを書いた方々から浮かび上がる眉村さんて

「明るい大阪人」というキャラクターだが、作品はどちらかというと ダークで社会批判に鋭い文体と結びつかないのが興味深い

この「あとがき」を読んで、読む順番を間違えたことに気づいたけれども ま、いっか

ショートショートは、いつ、どこから読んでも1話完結が多いのが楽しみの1つ

 

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